新年あけましておめでとうございます。ヘルスケア業界担当のヘルスケア業界担当の喜田です。昨年末にかけても多数の求人をお預かりし、また多くの業界ニュースがリリースされました。2025年も変化が多くなることが予想されます。
今回は昨年末までにリリースされた最新のヘルスケア業界情報をお届けします。情報収集や転職活動のご参考にしていただければ幸いです。
弊社ヘルスケア担当との面談をご希望の方は、喜田までお気軽にご連絡ください。
1.今月のピックアップ求人
直近お預かりした求人は非公開求人が非常に多く、ホームページ掲載がかなわない求人ばかりとなりました。
詳細は御面談の際にお伝えしますが、以下のような求人がございます。
① 中堅日系製薬メーカー 生産渉外部長
自社での製造販売に加えて、医薬品受託製造を行っている企業でのポジションとなります。医薬品生産委受託関連の受託、委託先との価格などの交渉、契約締結等全般、その後のルーチン業務も管理頂く組織のマネジメントポジションです。
【想定年収】1200万円~1400万円
② ベンチャーキャピタル投資先 創薬ベンチャーCEO
スタートアップフェーズの創薬ベンチャーでのCEOポジションです。2022年に設立された核酸をベースにした創薬の種を持つ大学発ベンチャーです。
まだ投資フェーズとしてはシードラウンドとなります。ご自身で事業戦略~導出交渉等ハンズオンで携わって頂くことが可能です。
【想定年収】1000万円前後+株式を検討
③ 日系CDMO 事業開発担当者
日系大手機械メーカー内で重要な新規事業として位置づけられている医薬品受託製造事業(CDMO)にて事業開発担当者(営業・マーケティング担当)の募集です。同社が買収したmRNA、およびmRNA医薬品のCDMO事業の国内外における事業開発・営業・マーケティング活動等、幅広く担っていただきます。
【想定年収】800万円前後
④ 製剤開発部長
富山県所在の国内中堅製薬企業にて、製剤開発組織のマネジメントをになって頂ける人材を探しております。同社は医療用医薬品のみならず、一般用医薬品や受託製造等幅広く対応をしております。事業規模としては、非常に大きく幅広い企業群です。業界のシニア人材にお越し頂き、組織全体の底上げを期待されているポジションとなります。
【想定年収】1100~1300万円
⑤ 外資系製薬メーカー医療政策シニアマネージャー
外資系の医薬品メーカーにて、医療政策部門の募集となります。特にコンサルティングファームご出身をサーチ対象としており、医療政策のオペレーションのみならず会社全体の医療政策の方向性を策定し、実施に向けた施策を実行できる方を探しております。
【想定年収】1300~1600万円
2.ヘルスケア業界ニュース
キャリアインキュベーションヘルスケアチームでは、自社ブログ以外にもLinkedInで頻繁に業界ニュースを発信しています。2024年年末までに発信したニュースを総括しました。早期退職のニュースがひと段落し、未来に向けた事業展開や新しいビジネス、製品等のニュースが目立つ1か月でした。採用市場としては、4月入社を目指す動きが既に活性化しております。また前項目の求人にも記載しましたが、VCよりCEOサーチの案件をお問合せ頂くケースも増えております。全体的に50代前後をターゲットにしたシニア人材のサーチ依頼も増えております。例年、冬季ボーナス前後は転職をお考えになる方も多い時期ですので、是非お気軽にお問合せください。
・「痛くない」インフルエンザワクチン 国内初承認の鼻に噴霧するタイプ、子どもを対象に今季からスタート(2024/11/5)
今期承認され、子供向けの投与が開始された経鼻タイプのインフルエンザワクチン投与。私も小学校低学年と未就学の子どもがおりますが、既に注目度は高く私の住んでいる地域のクリニックでは欠品が出ていました。
ワクチンは保存が難しく、生産調整も容易ではない製品です。そのため、需要と供給のバランスを取ることが困難でした。しかし、今年の状況を踏まえると、来年以降は生産量が増加する可能性が高いと考えられます。また本ワクチンは生ワクチンであることから、投与後に周囲の方に感染をする可能性もあるため高齢者や妊娠中の方と同居している場合は投与を避けるべき等注意事項もあります。
・肥満治療 飲み薬が主戦場(2024/11/10)
世界的に非常に大きな注目を集めている抗肥満薬。日本でも保険適用が開始され、今後市場の拡大が見込まれます。ノボノルディスクを皮切りにイーライリリー、ロシュ、ファイザー等名だたる会社が参入を表明し、開発を進めているベンチャーも複数存在する、今後の開発の主戦場となりそうなマーケットです。
現在承認されているのは注射剤のみですが、今後は飲み薬の開発・上市も進むと予想されています。注射剤は投与に際して医療従事者の介助が必要であり、また痛みを伴うことが多い投与方法です。一方、経口薬であれば、そのような懸念はなく比較的容易に服用できる点が大きな利点となります。この利便性により、薬の普及がさらに加速する可能性が高いでしょう。
一方で、抗肥満薬は医師の処方箋が必要な薬であり、気軽に摂取できるものではありません。単なるやせ薬と思われがちですが、実際にはあくまで病気を治療するための医薬品です。この点は忘れずに認識しておく必要があります。薬は治療のための手段の一つです。しかし、できれば薬に頼らずに過ごせるよう、日頃から予防策を講じることも重要です。
・製薬全社に欠品防止「責任者」義務付け 供給不安に対応(2024/11/26)
医薬品の供給不安が長期化する中、国も様々な対応策を模索しています。皆様の中にも、必要な時に希望する薬剤が処方されなかった経験をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。施策の一つの案として検討されているのが、新たに「安定供給責任者」の設置であり国会に法案を提出する方向性のようです。
製薬業界ではいわゆる三役「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」の設置が義務付けられていますが、新たな責任者が必要になる可能性があります。
「安定供給責任者」を設置することで現状からどの程度効果が見込めるかはわかりかねますが、製薬業界は新たな対応を迫られる可能性がありそうです。
・創薬スタートアップ支援1000億円 政府、成長環境を整備(2024/11/27)
日本の医薬品の市場規模はかつて米国に次ぐ2位でしたが現在は中国に抜かれており、2026年にはドイツに抜かれて4位となる可能性があります。
しかし、国際的にみても国内で医薬品を創薬し製造し販売できる国はそう多くありません。さらに、そのような能力を持つ企業が複数ある国も限られています。その意味では、日本はまだ存在感のある国であり、日本企業は今後も国際舞台で重要な役割を果たすべきです。今後の実績に期待が寄せられています。
・武田薬品工業、ジェネリックの武田テバ株売却(2024/12/6)
武田薬品はジェネリックメーカー大手の武田テバの株式をジェイウィルパートナーズ(JWP)へ売却するとのことを発表しました。。それに伴い、社名も武田テバからT'sファーマへ変更される予定です。。JWPは本件以外にも、国内でメディパルホールディングスとの共同出資で日医工や共和薬品工業といった国内ジェネリックメーカーへの出資を行っております。
ジェネリック業界は昨今供給不安や小規模メーカーが多すぎることなどを理由として、業界再編が取りざたされておりますが、JWPが今後業界再編に向けて一定の存在感を示すことが予想されます。2025年もまだ供給不安は続いておりますが、目が離せない状況です。
・住友化学、住友ファーマと再生・細胞医薬の新会社(2024/12/17)
大阪の老舗製薬メーカー、住友ファーマは主力となる製品の特許切れによって昨年は早期退職を実施する等、業績面では苦境に立たされております。
経営メッセージとしても、今後は再生医療を軸とした事業展開を謳っておられその一環として住友化学と住友ファーマで再生・細胞医療分野の新会社を設立すると発表しました。10年後の2030年代半ばには1000億円、2040年には3500億円を目指すという野心的な計画となっています。
具体的にはパーキンソン病の治療となる再生医療製品のiPS細胞由来の製品の開発を行うとされています。
パーキンソン病は難病であり、現在も有効な治療法が確立されてない疾患の一つです。再生医療はこういった、難病治療の他にも損傷した脊髄や脳の回復などこれまででは考えられなかった新しい治療法の確立が期待される一方、原料が生き物という点で品質の同一性を担保することが化学品由来の製品と比べても圧倒的に難しいことなど、技術的な面やエビデンスを確保する面でもハードルが高い印象です。
住友ファーマが再生医療の業界で実績を残すことによって、国内のみならずグローバル規模での再生医療治療のリーディングカンパニーとなりうる可能性があります。困難は多いかと思いますが、成果が期待されています。
3.あとがき
2024年は様々な企業で事業売却等、事業体制の変化のnewsが多い一年でした。業界全体の動向を見ておりますと、2025年も業界の変化はまだまだ起こると予想しております。
ヘルスケア業界は安定業界と言われて続けており、業界全体では決してなくなることはない業界ですが、個社レベルで考えますと事業構造の変化や組織の再構築、特定事業の売却買収再編等、今後も様々な変化は十分考えられます。またひいては個人のキャリアにも影響を及ぼすものと考えられます。
弊社のMissionでもあります「人と企業の志に伴走し、可能性を拓く」を念頭に、短期的ではなく中長期的なご支援ができればと考えております。余談ではございますが、直近ご支援をさせて頂きました案件の半数以上においては、転職をご支援差し上げた方とは年単位でのお付き合いをさせて頂いている方となります。
今すぐの転職である必要は全くございませんが、今後の変化に対応頂くためにも第三者的なアンテナを持っていただくことをお勧めいたします。そのアンテナに弊社を含めて頂けますと大変ありがたく存じます。ぜひお気軽にご連絡ください。
引き続き、LinkedInや自社ブログでの情報発信にご注目ください。よろしくお願いいたします。
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