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プロ経営者インタビュー

プロ経営者になるための要件について

(2013年 10月23日)
「プロ経営者になるための要件について」 小杉 俊哉

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まずは、プロ経営者インタビューから優秀な若手にロールモデルを提供し、奮起を促す、ひいては企業・日本を元気にするという画期的な企画に大いに賛同します。
 
荒井社長の指摘のとおり、多くの日本企業ではまだまだ生え抜きの人材が上がりのポジションとして社長に就くというのが一般的です。社長の就任年齢が近年ずいぶん若返ったとは言え、依然として経験を積み、出世の順番を待つグレーヘアでなければその権利を得られません。そして、そのプロモーションのシステムは曖昧模糊としており、総じてブラックボックスであり、どのようにすれば社長になれるのかは誰に聞いても分からないというのが実態です。
 
そうすると、どんなに優秀であっても、若いというだけで社長の座にチャレンジすることは実質的に不可能となっています。

さて、プロ経営者のインタビューを非常に興味深く読ませてもらいました。

まず指摘しなければならないことがあります。それはみなさんがお気づきのように、ほとんどの人が経営コンサルタントとビジネススクール留学経験があり、どちらも経験していない人は皆無ということです。
 
これには2つの側面があると思います。

1つが、採用企業からの評価です。
前職でどんなに実績を上げていても、企業が経営者として人材を採用するには不安があります。それは、果たして当社でも実績をあげられるのだろうか?という点です。しかし、経営コンサルタントとしてさまざまな企業に経営上のアドバイスを行なって来た、あるいはビジネススクールで経営に必要な戦略思考を身につけているから任せられる、ということです。実際には、経営のアドバイスをするのと、経営そのものを行なうのはまったく異なるもので、コンサルタント経験があるからと行って経営者として機能するかどうかは別の話です。また、実際にはビジネススクールに行ったからと言って、戦略思考が身に付く訳でもありません。しかし、そういう安心感を与えるという、ブランド・イメージは大きいのです。

もう1つの点が、本人の意識です。
様々な企業をコンサルタントとして見て来ている、あるいは少なくともビジネススクールで経営に必要な視点を得ている(これは上述のように必ずしもそうではないのですが)から、全く別の業界・会社に飛び込むということに対するハードルが低いということです。それは、「業界のプロとしての知見」に関する答えに表れていると思います。一律に不要、あるいはあってもよい、程度に捉えていることです。むしろ、その会社や業界に対して既存の枠に囚われず客観的に見られるというメリットを強調している人が多いのです。

さて、そうすると、いずれにしてもコンサルタントや留学経験はプロ経営者に必須の要件なのか、という疑問が浮かび上がります。

ご存知のようにビジネススクールに留学する日本人は15〜10年前と比べて格段に減っています。一方、20代から30代前半に留学した人がプロ経営者として活躍できる40代になったこと、企業派遣で留学した人が普通に転職をするようになったことが考えられます。また、かつては特殊な職業であった経営コンサルタントが広く知られるようになり、またコンサルティング会社も多くの人材を採用するようになり、新卒時も含め経験する人の母数が以前と比べ格段に増えているということが考えられます。

私の実感では、現在60〜70代の大物経営者を見ると、コンサルタント・ビジネススクール経験者はむしろ少数派です。彼らがコンサルタントや留学経験がないからと言って経営手腕に劣っていると捉える人はいないでしょう。
 
では、プロ経営者はなぜ経営者になり得たのか?

それは、「経営者になろう」と考えたからだと思います。必ずしも、若い頃から目指すという意味ではなく、そのような機会に巡り合ったときに"やろう"と思うかどうかということです。

そのことは、インタビューの中で「決定する」「継続する」「結果出す」「他責にしない」「運は努力があってこそ巡ってくるもの」ということを異口同音に皆さんが語っていることからも裏付けられます。すなわち、会社から言われたことをただこなしているだけの人はひとりもいないということです。

ロンドンビジネススクール教授のロバート・ゴーフィーとINSEAD教授のガレス・ジョーンズは、「誰でもリーダーになれるのか」という命題に対して、否と言っています。
リーダーになるにはリーダーになりたいという欲求と、責任を引き受ける覚悟が必要だということです。

我田引水で恐縮ですが、私の近著「起業家のように企業で働く」(クロスメディア・パブリケーション)の中でインタビューをした企業の中で出世をしていく人、やらされ感なく楽しそうに働いている人は皆共通の行動があることを示しています。それは、独立起業しなくともアントレプレナーシップ、そしてプロフェッショナリズムをもって自立的に働いているということです。

また、同書では活躍する人の特徴として「自分がどうなりたいか」よりも「組織を使って何を成し遂げたいのか、貢献したいのかを考える」ということを挙げています。これは、プロ経営者のインタビューの中でどういう経営者として記憶されたいかという質問にたいして、異口同音に名前を残したいわけではなく、自分がいなくなったあとも組織が機能する、ことを挙げているのと一致していると思います。

インタビューの中で最も印象に残ったのが、経営者になるべき人が経験しておくべきことは「失敗」というコメントでした。失敗から学ぶということが重要であるということです。南カリフォルニア大学教授のモーガン・マッコールは、リーダーシップに関する才能の最低必要条件を「経験から学ぶことを学ぶ能力」と言っています。

プロ経営者に限らず、キャリア開発のキーワードは「学習」であるということに異論はないでしょう。逆説的ですがコンサルタントやビジネススクール留学の経験を持ちながら、かつそれに固執せず、いやむしろアンラーンして絶えず学習し続けること、それがプロ経営者の条件ではないかという仮説をもっています。

コンサルタントや留学経験が要件なのか、については今後さらに多くのプロ経営者のインタビューを重ねることで、様々なバックグラウンドを持った人の実例を皆さんと一緒に楽しみにして待ちたいと思います。

(2013年 10月23日)

小杉 俊哉
慶應義塾大学SFC研究所上席所員。合同会社THS経営組織研究所代表社員。
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NECに入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後、独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て、現在、同大学SFC研究所上席所員、立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科客員教授。
[近著]『2%のエース思考 - あなたはいつまで「同期」の中に埋もれているのか?』(ワニブックス)、『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング)、『リーダーシップ3.0~カリスマから支援者へ』(祥伝社新書)など。

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