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プロ経営者インタビュー ゆこゆこホールディングス株式会社 代表取締役 COO 徳田 和嘉子 氏

プロ経営者インタビュー

徳田 和嘉子 氏

シニア世代を対象に、季節感のある旬な温泉地や宿泊施設の情報を発信するだけでなく、ウェブや電話で予約をワンストップで受け付ける温泉コンシェルジュサービス「ゆこゆこ」。
2020年4月の緊急事態宣言以降、観光業は厳しい経営状況を強いられているが、ゆこゆこホールディングスの徳田和嘉子代表取締役COOの表情は明るい。その視線の先には、すでにコロナ禍から脱却した未来が見えているからだ。
投資銀行からPEファンドを経てプロ経営者の道を歩み出した徳田氏に20の質問に答えてもらった。

徳田 和嘉子 氏
ゆこゆこホールディングス株式会社 代表取締役 COO
https://www.yukoyuko.net/

1983年、茨城県生まれ。水戸一高、東京大学法学部卒。在学中に書いた『東大生が教える! 超暗記術』(ダイヤモンド社)がベストセラーに。ゴールドマン・サックスを経て、PEファンドのネクスト・キャピタル・パートナーズに入社。福岡のFM放送局「CROSS FM」の再建に従事。2020年4月、ユニゾンキャピタルが出資するゆこゆこホールディングスに転じ取締役に就任。同年9月から現職。

[1]自己紹介をお願いします

高校2年生の頃、当時、国連の難民高等弁務官だった緒方貞子さんの講演を観て感銘を覚え、国連を志すようになりました。その一歩として進学先の大学で国際関係のゼミに入ったのですが、国連について学べば学ぶほどイメージとのギャップを感じるようになりました。そこで考え方を180度転換。卒業後の進路は投資銀行のゴールドマン・サックスを選びました。世界を動かしているのは、国連ではなく、ビジネスでありアメリカなんだと思い知らされたからです。

内定中、ゴールドマン・サックスの女性の先輩から、入社前にやるべきこととして「激務だから入社前に結婚相手を探しておきなさい」と強く勧められたこともあって、会社には「結婚相手を探してきます」と申し出て、入社時期を遅らせてもらって旅に出ました。

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在学中、教育系ベンチャーに関わり出版した『東大生が教える!超暗記術』という本で得た印税を元手に、52カ国を巡り、南極にも足を伸ばす長旅です。

まったく知らなかった生活スタイルや宗教観、カルチャーと出会って凄く刺激になりましたし、旅の目的だった結婚相手の候補にも巡り会うこともできました。

彼と一緒に意気揚々と帰国して働き出して3カ月ほど経つ頃だったでしょうか。彼は残業続きだった私に「Too busy 」と一言いい残してイギリスに帰ってしまいました。上司や同僚の手前、ちょっと恥ずかしかったですね(笑)。

自分が進むべき道はビジネスだと狙い定めて、アメリカに本社がある投資銀行に進んだわけですが、入社した2008年はリーマンショックがあった年。思っていた状況とはかなりかけ離れていました。私のような入社したての若手とベテランのシニア層以外はリストラされるような厳しい状況でしたし、世間からは「強欲」だと白眼視されることが多かったので当時はとても辛かったです。

入社したての頃は、モデルを回してM&Aのバリュエーションを出すみたいな仕事を任せられることが多かったんですが、やってみてわかったのは、私自身は合併した会社でどんなふうに働く人が幸せになっていくのか、むしろそっちのほうに関心があるということ。

投資銀行業務にはあまり向いていないと感じて入社から1年ほどで退職。その後はゴールドマン・サックス時代の先輩が作ったベンチャーを手伝ったりしていたのですが、縁あってネクスト・キャピタル・パートナーズというPEファンドを紹介してもらい入社することになりました。投資先に入って経営に携われるチャンスだと思ったからです。

投資先だった福岡のFM放送局「CROSS FM」に出向し、最後は社長として経営の立て直しに奮闘したのもこの時期のことです。

2017年にネクスト・キャピタル・パートナーズを辞め、CROSS FMから離れてからは、茨城県の総合計画審議会や九州大学のQRECという人材輩出プロジェクトに携わったり、友人のベンチャーを手伝ったりしていました。

九州の案件で人を探していたPEファンドのユニゾン・キャピタルに出会ったのもこの時期のことです。1年ほどアドバイザーとして、福岡時代に知り合った人たちを紹介したり、おつなぎしたりする程度の緩やかなお付き合いだったのですが、先方からユニゾン・キャピタルの投資先の1つである、ゆこゆこホールディングスで経営に携わってみないかというお誘いをいただき、2020年4月に入社することになりました。

[2]現在のご自身の役割について教えてください

現在は、シニア向けの旅の宿泊予約事業を営むゆこゆこホールディングスで代表取締役COOを務めています。直近では、足元のコロナを乗り越える策を経営面・資金面・事業面で主導しながら、withコロナ・afterコロナを睨んで自社の強みを生かした宿泊予約事業の進化と新規ビジネスの種蒔きをしています。これらと併行して経営理念・行動規範と組織カルチャーのテコ入れと育成強化にも注力しているところです。

入社したのはコロナ禍の影響が本格化し始めたタイミングだったのですが、顧客重視のカルチャーや累計800万人を超えるシニア層の購買データ、自社で発行する100万部の会員誌や電話受付の仕組みなど、ゆこゆこには、他社にはないユニークなアセットが数多くあります。コロナ禍が去ればきっと面白いビジネスができるに違いないと思い入社を決めました。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

私は、女男女男の一番上ということもあって、比較的面倒見のいい子だったと思います。近所に住んでいる子どもたちを集めて、一緒に楽しめる遊びをいつも考えているような子でしたね。だからあだ名は「親分」(笑)。回覧板を作って回したり、運動会を勝手に主催してみたり。何しろ大人数で何かするのが好きな子でした。

[4]高校、大学時代はいかがですか? リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

高校時代はバスケットボール部のキャプテンでした。当時の監督は凄く厳しくて「お前がちゃんとしてないから、強くなれないんだ」とよくいわれていたので、強いチームを作るにはどうしたらいいのか常に考えていましたね。バスケットボールのレギュラー枠はたった5人。ですから、どんなにがんばっていても試合に出られないメンバーが出てきてしまいます。どうしたら腐らずに努力を続けてもらえるか、ひとり1人に気を配っていたつもりでしたが、思い通りに動いてくれなかったメンバーをみんなの前で叱責するようなこともありました。今にして思うと未熟だったと思います。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

母は専業主婦で父は会社勤め。遠い親戚に会社を経営している人は何人かいましたが、ビジネスの話をしたことはありません。社会に出るまで経営者は身近な存在ではありませんでした。

[6]ご自身の性格について教えてください

基本的には楽観的な性格だと思います。ただメンバーマネジメントに関していうと少し心配性なところもありますね。うまくいっている分には何もいいませんが、困っていることはないか確認することは割と多いかも知れません。

経営者としては、物事を緻密に組み上げる「官僚」タイプでも、人々の連帯を重視する「人たらし」タイプでもなく、ヒラメキを重んじる「変革者」タイプだと思っています。この要素とこの要素を掛け合わせたら、もっとうまくいくんじゃないかとか、こういうアイデアを新たに加えたらさらに面白くできるんじゃないかと常に考えています。家事をしていたり、シャワーを浴びていたりしていたりすると不意にアイデアが「降りて」くることがよくあります。私が一番ワクワクするのは、ヒラメいたアイデアで状況を打開することなんです。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

経営者に向いているかも知れないと思ったのは、CROSS FMの再生が一区切りついたタイミングでした。ただ、その後、ネクスト・キャピタル・パートナーズを辞め、CROSS FMの経営から離れた後、これからどう経営と関わっていくべきか、迷いがあったのも事実です。ゆこゆこホールディングスの経営者を任せたいとおっしゃっていただかなければ、きっと今とはまた違ったキャリアを歩んでいたことでしょう。そういう意味では本当にラッキーだったと思います。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

突き詰めると「数字」「人事」「決断」の3つだと思います。経営者である以上、数字にコミットすることは不可避ですし、フェアな人事も重要です。最後に挙げた「決断」は、重大な局面で期を逃さず的確な判断を下せるかどうか。経営者の力量を左右するもっとも大切な資質だと思います。

経験豊富な先輩経営者のみなさんのお話をうかがっていると、このコロナ禍においても先を読み、みなさんどんどん戦術を実行に移していらっしゃいます。私自身は経営者としての蓄積に乏しいという自覚があるので、先輩方の決断から学んだり、歴史から学んだりすることが多いですね。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

最近、とくに意識しているのは、現場に立脚し未来を描き自分たちが進むべき方向性を提唱する力です。とりわけ、私たちが携わっている旅行ビジネスはコロナ禍で危機的な状況にあります。この苦境を乗り越えるために必要なのは、絵に描いた餅ではなく現実味を持った明るい未来の希望を提示すること。これが経営者とマネージャーの決定的な違いだと思います。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

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ネクスト・キャピタル・パートナーズですね。CROSS FMで経営に携わる前、社長を含む4人の先輩方と一緒に大阪のメーカーの再生に携わったことがありました。私は一番の下っ端だっただけに、プロジェクトのリーダーを務めていた社長の言動や振る舞いから学んだことは少なくありません。目の前にある課題がすぐにでも取り組むべきものなのか、それとも枝葉に過ぎないのか、どうやったらメンバーを鼓舞して職場に前向きなムードを醸成できるのか----。

CROSS FM時代、判断に悩むと当時を思い出して判断の糧にしていましたね。現場を軽視せず、かといってマイクロマネジメントに陥らず、社長にしかできないことに注力する。そんな姿勢をこのとき、学ばせていただきました。「徳田、功を焦るな」とよく叱られたことをいまも思い出します。

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

経営の本質は普遍的なものです。最初からその業界経験や知見はなくても構わないと思います。ただ、業界の構造やビジネスモデル、顧客のイメージを直感的につかめないと先行きは厳しいかも知れません。

私の場合で申し上げると、まったく経験のなかったラジオ局や宿泊予約業の経営に携われているのは、投資期限があるファンド案件で、エンドユーザーを意識しながら、企業にアプローチするB to B to Cに適性があるのだと思います。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください

CROSS FMに赴任したばかりの頃は、日本語が通じるはずのこの国でここまで意思疎通が難しいことがあるのかと思うほど、コミュニケーションに苦しみました。そもそも事業再生のさなかで社内の雰囲気がよくなかったですし、経営者として未熟なのはわかっていましたから、3日くらいかけて掃除をしてみたり、ひとり1人に頭を下げて話を聞かせてもらったり、できることは何でもしました。

自分で広告案件を取ってきてから少しずつ周囲の信頼が得られるようになりましたが、それまでの数カ月間は空回りばかりでしたね。リスナープレゼントを間違って捨ててしまって怒られたりしたこともありました(笑)。自分の存在を認めてもらうまでのあの期間が、経営者としての最初の試練だったように思います。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

経営者は不確かな状況のなかでも常に判断を仰がれる立場です。タイミングを逃さないよう的確な決断を下せるようになるには、自分が同じ立場ならどうするか考えるような訓練は必要でしょうね。

経営者なら数字に鈍感ではいられませんが、かといって数字を振りかざすだけではだれもついてきてはくれません。とくにプロ経営者は後からその会社に入っていくわけです。現場に脈々と受け継がれている思いや培ってきた経験に、尊敬の念や、尊重の気持ちを持って、社員に接することは大事なことだと思います。そうした謙虚な姿勢がひいては状況を正確に把握し、適切な解決策を打ち出すことにもつながるからです。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

JALの再生にも携わった女性で、私をPEファンドの世界に誘ってくださった方と、私に経営者の何たるかを最初に教えてくださったネクスト・キャピタル・パートナーズ時代の上司。その後、ゆこゆこホールディングスへのパスを作ってくださった、ユニゾン・キャピタルのパートナーのお2人です。みなさんからは大きな影響を受けましたし、とくにユニゾン・キャピタルのお2人には、ゆこゆこホールディングスへの取締役にも加わってくださっているので、現在進行形で学ばせていただいています。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか? それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

必ずしも計画通りいかないものでしょうし、偶然の出会いから新たな道が切り拓かれることは多いと思います。私自身もまさか自分が、旅行予約業の経営者になるとは想像もしていませんでした。ゴールドマン・サックスを辞めたときも、ネクスト・キャピタル・パートナーズを辞めたときもそうでしたが、この先どうすればいいか考えあぐねているさなかに、道を示してくださる方と出会いがありました。月並みないい方かも知れませんが、一所懸命にやっていたら、その働きぶりを評価してくれる方に出会えるということなんだと思います。

[16]なぜ起業ではなかったのでしょうか?

実は一度、起業を考えたことがあります。どんな事業を興すべきか考える手がかりがほしくて、ある方に相談を持ちかけたところ「あなたにとってのWHYを探すべき」とアドバイスされました。「人々の心の拠り所になるような事業がいい」という考えは浮かんだのですが、どれも一長一短があって最後まで決めきることができませんでした。生来の起業家なら、これはと思ったらリスクを取ってでも突っ込んでいくのでしょうが、私にはそうした気質が乏しいようです。それで自分は起業には向いていないと悟りました。でもそのおかげで、自分が求めているものが何かよくわかった気がします。私が求めているのは、暗く沈んでいる人たちをモチベートして、キラキラした目を見ることなんだと。起業を諦めたことで、事業再生フェーズの企業で経営に携わる理由が明確になったといえるかも知れません。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

私自身、数字にコミットして結果を出すことがすごく好きなのですが、こと企業の成長を考えると、業績とカルチャーはまさに両輪だと思っています。どちらかが先行することはあっても、片方が欠けたままでは永続的な成長は望めないからです。業績が回復すると当然のことながら会社の雰囲気は明るく前向きになりますし、それがまた業績を後押ししてくれる原動力にもなります。コストをカットして短期的な収益を求めることはできますが、カルチャーを犠牲にしてまでやるべきではないというのが信条です。数字を作りつつ前向きなカルチャーをいかに維持するか。その難しいバランスをいかにとるかが経営者の腕の見せ所だと信じています。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

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心から願っているのは、ゆこゆこの復活とさらなる成長です。コロナ禍の影響でままならないことも多いですが、この1年でこの会社には、新規事業のタネになるような有望なデータ、デジタルとアナログを組み合わせた発信力、顧客に対する深い理解など、他社にはないアセットがたくさんあることがわかりました。幸いなことに自社のビジネスに情熱と誇り、愛情を持って取り組んでいる社員が大勢います。彼らとともにこのコロナ禍を凌いだ先にある明るい未来を示し、突破口を切り拓いていくつもりです。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

苦楽をともにした人たちに、たまに思い出してもらえたら嬉しいと思いますが、この会社が自走できる状況になって、私自身お役御免ということになったらそれで十分。きっと楽しい思い出がたくさんできているはずなので思い残すことはありません。でももし可能なら、ここでの経験を生かして、長期的に成長する会社を増やせることに貢献できたら最高でしょうね。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします

広く20代、30代のみなさんにお伝えしたいのは「他人のキャリアを生きようとするな」ということです。

目標を持つことはとても大事なことですが、たとえ登る山が同じだとしても登り方は千差万別。そもそも人によって持っているものも立場も違うわけですから、同じ道を辿ることはできません。周囲と比較したくなる気持ちもわかりますが、道は自分で切り開くしかないと理解して、もし迷ったら何をすべきか自分に問いかけてみてください。努力していればきっと周囲から助力は得られます。人真似は止めて常に自分を真ん中に置いて考える。それが私からのアドバイスです。

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