ファイナンシャル アドバイザリー サービス(FAS)について
■ ファイナンシャル アドバイザリー サービス(FAS)とは
近年のM&A増加により、「ファイナンシャル アドバイザリー サービス/通称FAS(ファス)」と呼ばれるプロフェッショナルファームが組織を拡大し、転職マーケットの中でも注目を集めております。
FASは現在数多くのプレイヤーが存在しますが、大きくは、BIG4系と独立系・ブティックに分類され、それぞれ提供しているサービスメニューや特徴が異なります。
● BIG4系のFASについて
陣容、案件数、売上げ等が大きく、業界トップの座に君臨しているのがBIG4系のFASです。
BIG4系というのは4大監査法人である、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、PwC Japan有限責任監査法人、のグループに属しているという事を指しております。元々は、監査法人内の一部門としてサービスを提供しておりましたが、既存クライアントとの利益相反に対する懸念やエンロン事件を背景に、2000年前後に法人化されています。
BIG4系FASの提供サービス
主に下記のようなサービスを提供しております。
[1]M&Aアドバイザリー、FA(ファイナンシャルアドバイザー)
[2]各種デューデリジェンス
[3]各種バリュエーション、モデリング
[4]M&A戦略、PMI
[5]事業再生
[6]不正調査、フォレンジック(会計、IT)
[7]インフラアドバイザリー(PPP、PFI)
特に近年では、ビジネスニーズの急増に伴い、M&Aの前後におけるコンサルティングサービス(M&A戦略立案サポート、PMIサポート)や不正調査・フォレンジックサービスなどはBIG4系FASの中でも急拡大しております。またFASで提供する各種サービスをデジタルテクノロジーで革新するデータアナリティクスチームを各社で立ち上げており、グローバルファームならではのサービス領域を広げております。
BIG4系FASの強み、魅力について
BIG4系のFASの強みや特徴は主に下記のような点であると言われます。
・高いブランド力があり、グローバルに広がるメンバーファームや、監査・TAX・コンサルティング等のグループのネットワークを活用できる
・各サービス領域・クライアント業界ごとの組織を構え高い専門性と業界ナレッジを有している
・M&A戦略策定、エクゼキューション、PMIまでM&Aの全プロセスをワンストップで提供できる
また、BIG4系FASへ転職することの魅力には以下のようなものがあげられます。
・M&Aや事業再生などクライアントの有事を支援する高い専門性が身につく
・クロスボーダー(日本企業による海外企業の買収など、国境をまたぐ取引)案件の比率が高く、英語での業務経験が積める
・グループ間の異動や海外駐在などキャリアデベロップメントの機会が豊富
・リモートワークの体制が完備され柔軟な働き方が可能
・平均すると監査法人や総合系コンサルファームより若干高い給与水準
BIG4系FASの具体的なプレイヤーについて
- デロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー合同会社
社員数1656名(2023年5月末日時点)
スローガン:「日本のビジネスを強く、世界へ。」
BIG4FASの中でも圧倒的な人員数を誇る。M&Aの部門はBIG4で先んじて業界フォーカスのセクター制のマトリックス組織になっているのが大きな特徴。近年はコロナ渦の政府給付金事業の受注や、新聞を賑わす不祥事/事業再生案件など時代を象徴する有事案件に強いのもデロイトならでは。他のFASでは手がけていないイノベーション領域(ex.M&Aマッチングプラットフォーム、人材育成事業、未来起点のシナリオ・プランニング)など、企業買収の当事者として自社のM&Aにも積極的。 - PwCアドバイザリー合同会社
社員数 約900名(2023年6月30日時点)
パーパス:「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」
BIG4FASの中でも事業再生のパイオニアであり、Business Recovery Services(BRS)は国内最大規模の100名以上、グローバルでは2000名以上の事業再生の専門家を擁する。FY22より人材育成の観点から、マネージャー以下の社員は、Deals Execution Team(DET)に所属し、入社時のサービスラインに限定せず、希望すれば他の専門分野のプロジェクトにもアサインしやすい体制を整えている。シニアマネージャ以上はクライアント業界ごとのセクターチームにも所属する。2019年7月BIG4FASで初の女性代表執行役に吉田あかね氏が就任。 - 株式会社KPMG FAS
社員数 845名(2023年5月1日時点)
パーパス:Inspire confidence. Empower change. 社会に信頼を、変革に力を
BIG4FASの中でも設立が早く2001年よりFASとしてサービスを提供し、設立当初より少数精鋭、クオリティ重視を掲げている。サービスラインの組織ではBIG4では唯一「M&Aアドバイザリー」と「バリュエーション」の機能を「コーポレートファイナンス」という一つの組織にて提供する。ここ数年ではStrategyやPMIの組織拡大がめざましく、データサイエンティストやAIエンジニア等を積極的に採用し先進的なデータアナリティクスの活用も推進している。一部の部門ではマネージャ以上は担当業界を決めセクター活動も強化している。 - EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
社員数 全体4027名(2023年9月1日時点)FAS領域約650名
パーパス:Building a better working world より良い社会の構築を目指して
BIG4では唯一コンサルティングとFAS機能を2020年10月同一法人に統合。それに伴いStrategy、Transformation、PMI、事業再生の機能をEY-Parthenonに集約し、M&A・インフラアドバイザリー、エクゼキューションはTransaction & Corporate Finance(TCF)に所属。One Profit Poolで目標を共通化し、人事給与制度も統一。真のOne Firmとしてクライアントのニーズに対応できる体制を整えている。他BIG4FASに比べ人員規模はまだ小さいものの、グローバルからJapanへの積極的な投資もあり、新しいサービスの開発や、セクター組織を強化している。2022年よりグローバルで監査との分離(プロジェクト名「Everest」)を検討してきたが2023年4月中止を発表している。
● 独立系・ブティックFASについて
M&A、事業再生、IPO支援などの領域において、少数精鋭体制で専門性の高いサービスを提供している企業の俗称です。代表がBIG4監査法人やFAS、大手証券会社出身というところも多く、ミドルマーケットに主軸を置いてサービス提供を行っているイメージです。また税理士法人併設のFASの場合、税務デューデリジェンスや相続・事業承継対策なども一気通貫で対応している体制となっています。
独立系・ブティックFASの強み、魅力について
・少数精鋭組織では部門がそもそも細分化されていなかったり、部門やチームを横断して業務アサインがしやすい体制である事も多く、比較的短期間で幅広い経験が積みやすい。
・将来独立を考えている人にとっては、業務だけでなく組織づくりや営業手法など学ぶところが多い。
・概ねBIG4よりは低めの年収レンジではあるものの、少数精鋭がゆえに一人当たりの利益率が高いファームは高年収を実現している。
・経営全体を俯瞰して見るような能力が身につき、若手でも経営のトップ層とリレーション構築が可能。(将来性のあるベンチャー等に入り込むことによる学びも大きく、そのまま社長からCFOや経営企画ポジションなどで声をかけられる、というケースもあります)
・中小・ベンチャー企業などを中心に、一気通貫のコンサルティングを提供しやすい。
※エグゼキューション(ストラクチャー構築、財務DD、バリュエーションなど)を中心に、M&A戦略立案、オリジネーション、そしてPMI(買収後の経営統合)支援、更にはその後の資本政策やIPOコンサルまで、息長くクライアントの経営課題に対してソリューションを提供できるファームも存在します。
独立系・ブティックFASの具体的なプレイヤーについて
FASの提供するサービスは年々進化しており、外から見ただけでは各社の違いや特徴が分かりにくい業界です。だからこそ、FASへの転職サポート実績を豊富に有する、弊社コンサルタントと一緒にしっかりと準備、対策を行う事で転職を成功させましょう。
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