キャリアインキュベーションを介してFASへご転職した方に、転職経緯や転職活動で苦労したこと、入社後の様子、中長期のキャリア等について具体的にお話を伺いましたので、ぜひ参考にしてみてください。
【転職前】総合商社 営業職
【現在】BIG4系FAS 事業再生部門
自己紹介をお願いいたします。
総合商社の営業部門で農業系の事業開発を4年経験した後に、FASの事業再生チームに転職しました。総合商社では、子会社の事業管理や事業開発、不採算事業の整理など、泥臭いこともかなりやっていました。
転職を考えた背景を教えてください。
元々商社に入った理由は、経営人材として経営の意思決定に携わることを目指していました。商社時代に、子会社の経営が苦境に陥っていた時期が長かったのですが、そういった状況での関与の方が経営の奥深さを味わえ、勉強になる部分が多かったので、平時よりも有事の経営を経験したいとは漠然とですが考えていました。
転職しようと思った時に、具体的にどのように情報収集されましたか。
最初に転職サイトに登録したところ、FASやM&A系の話を多く頂きましたが、応募を急かすエージェントが多く、あまり良いエージェントに出会えませんでした。仕切り直して、自分でFASについて調べ、キーワードを押さえた上で自分から詳しいエージェントにアプローチしたいと思いました。エージェントのプロフィールを詳細に見て、キャリアインキュベーションの担当の方にこちらからお声がけしました。色々調べていくと、エージェントには格があるのだな、ということがわかりました。キャリアインキュベーションはちょっとハードル高いな、と感じるぐらい老舗としての安心感、また業界経験が長い方が少数精鋭でやっていることも印象が良かったです。
志望業界の経緯やエージェント選びでの決め手はどのような点でしたか。
それまで事業再生のコンサルについてはあまり知らなかったのですが、御社の担当の方に詳しく教えていただき、興味を持ちました。BIG4FASの各社情報やおすすめの記事などを教えていただき、志望動機をしっかり形成できました。当初は転職ありきではなく現職を続けることも視野にいれていましたが、最終的に今の職場よりも断然面白そうだと思い、迷いなしで転職活動をスタートできました。担当の方がとても詳しかったので、FASを受けると決めたなら、他のエージェントにお世話になる必要はないなと思いました。
実際に転職活動をスタートしてからはどのようなことが大変でしたか?
まずはやはり面接の日程調整が一番難しかったです。当時毎日出社だった職場で、前もって平日のスロットを出すのは思っていたよりハードルが高かったです。
面接対策では、他の求職者と差をつけたいと考えた時に、内部の情報が役立ちました。各社のタイムリーな採用動向や、再生チームの本当の姿など、ネットで検索しても出てこないような情報を担当の方からいただきました。応募先の企業のパートナーと定例でミーティングされていると伺い、それは頭1つ抜けていると思い、信頼を置いてその情報を活かそうと思いました。事業再生とは何かをちゃんと正しく理解して、自分がそれに適任であるということを、自分の経験をつまみながら再構成していきました。
しっかりと準備もされ第一志望の会社とご縁がありましたが、現職に入社してからのことをお聞かせください。
入社後1ヶ月位は同期入社のメンバーでオンラインでのライブ研修がありました。他にはアーカイブされた録画研修を見る形も多かったです。思考法やExcel操作、PowerPoint操作など、スタッフとしての基本的なところをキャッチアップするような内容で、1ヶ月丁寧にやって頂け良かったです。
最初の案件としては経営管理高度化のプロジェクトに半年ほど参加しました。その後資産運用サイクル全体をサポートするような内容に発展し、さらに組織面の課題も見えてくるなどプロジェクトがどんどん長期化していきました。その後2ヶ月ぐらいの短い案件でしたが、BDDやBDDから派生した特殊なDDも経験し、PowerPointを大量に作成し、定性的な分析を経験しました。現在は事業再生案件をやっています。
入社前にイメージしていたこととのギャップがあれば教えてください。
これはコンサル未経験のスタッフクラスで入社したからかもしれませんが、社内の方に自分のパフォーマンスを見せ続けないといけないというプレッシャーは想像以上にありました。事業再生といっても、ある時は管理会計、ある時はBDD、ある時は事業のポートフォリオ評価など毎回モジュールが違う中で、何とか与えられた打席でヒットを打ち返さないといけません。そこでのパフォーマンスが次の打席に影響しますので、知識のない領域は週末に書籍を読んだり、自分なりにしっかり準備して臨んでいます。
もう1点は、これは入社してみないとわからないところもありますが、どういう上司・コーチの下につくかというのが、入社後の人間関係や成長に大きく影響するという点です。コンサルティングファーム全般、働き方が柔軟になり、プロジェクトによりますがリモート勤務の比率もまだまだ高いです。そのためコロナ以降は特に、いわゆる徒弟制度のようなものが築きにくくなっているようで、育成面で大きな課題にもなっていると感じます。総合商社で経験していたウェットな人間関係や、そこで生まれる良い会話から視座が上がるというようなことが起こりにくくなっていると感じています。
私はたまたま厳しくも可愛がっていただける上司に恵まれたのですが、コンサル業界では、厳しい仕事の指摘だけで、それをフォローするリアルでの接点が少ないと、プレッシャーにつぶれてしまう人も少なくないのでそれは非常にもったいないと感じます。個人的にはリモートの時はうまくいかなかった仕事が、出社したらかなりパフォーマンスが上がったという経験もあり、会社の慣習や制度はあるものの、仕事にどう向き合うかは自分次第だと思いました。
スキル的なところで入社前にやっておいた方がよかったと思うことはありますか?
エクセル、パワーポイントはもちろん、広い意味での財務会計など、絶対に使う分野の勉強は事前にもっとやっておけばよかったと思います。プロジェクトに入ってしまうと平日まとまった時間が取りづらくなるので、もっと勉強したいけど、なかなか時間が作れないというもどかしさがあります。
今後の目標はありますか?
より緊迫した状況にある会社の再生支援の打席に立てるようになりたいと思います。そういった案件は社内でもかなり精鋭が集められているのですが、そこではいろいろな財務スキームが出てきたり、ステークホルダーとの交渉もかなりタフになりますが、そういうところをたくさん経験したいですね。当社にはお客様にも躊躇なく意見を言う方が多いです。お客様と一枚岩になろうとするので、お客様を助けようという思いから、言うべきことは言うという姿勢です。社内にもその倍くらい厳しいのですが(笑)、そういう方から学ぶ機会があることはすごく貴重だと思います。お金を出して買いたいくらいの経験をさせてもらっています。
中長期で弊社に望むことはどのようなことでしょうか。
この先のキャリアの選択肢を是非色々な形で見せ続けてほしいと思っています。キャリアインキュベーションの書籍やプロ経営者のインタビューページも参考にさせてもらっていますが、自分が目指すべきこの先のキャリアを照らし続ける、羅針盤のような存在となって頂きたいです。