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プロ経営者インタビュー

土合 朋宏 氏

[2]現在のご自身の役割について教えてください

大きな役割が3つある、と考えています。

1つは、日本の組織を安定させながら、同時に常に目標を上回る売上と利益を達成していくことです。当社にとって前社長の内藤は偉大な存在でした。それが突然いなくなってしまったので組織にもメンバーにも動揺が走りました。なので、私と川合の2人による新しい組織の構築と安定化は、やはり大きな課題です。そして経営者としてどのような厳しい状況であっても、常に本社と合意した売上目標・利益目標を上回る結果を出していくこと。これが1番目の役割だと考えています。

2つめは、映像パッケージの世界が新しい時代、転換期を迎えようとしていますので、次代につながる体制作りを着々と進めていくことが私と川合の役割だと考えています。具体的にどんな転換期がやってきているのかといえば、パッケージ商品だけに頼らない経営が求められようとしているということです。映画のパッケージを例にすれば、かつてビデオテープだったものがディスクメディアになり、そのディスクもDVDからブルーレイへと進化していく過程で、パッケージビジネスはその都度大きな変化を乗り越えてきました。

しかし、これからやってこようとしているのは、アップルのiTunesなどに代表されるようなデータ配信であったり、その他様々な方式による新しいコンテンツ提供の形です。組織のあり方や、事業の進め方などに及ぼす影響は非常に大きなものになります。もちろん、すでに対応は進めていますが、この新しい時代に相応しい企業経営を私たちは作り上げていかなければいけないのです。

3つめはグローバリズムを認めつつも、日本というマーケットの独自性や先進性といった価値を、グループ内で高く評価してもらい、そのポジションを確固たるものにしていく役割です。現状、ジャパン・オフィスの業績は好調ですが、これから先を考えていく時、単に売上の成長性だけを見れば、少子化の日本よりも人口の多い中国などにグローバル企業の重心は傾いていくものです。しかし、私たちは日本市場に特別な価値があることを知っています。それを誰もが納得する結果や形にして、アピールしていく責任が私たちにはあるのだと自覚しています。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

「落ち着きのない子」だったと思います(笑)。皆さんも記憶の中にありますよね、クラスに必ずそういう子がいたはずです。私はまさにそれでした(笑)。ただし、要領は良かったんです。ですから、授業中におしゃべりをして、先生に注意されたりしていても、成績のほうはそこそこ良かった。幸い小中高一貫の私立に通っていたおかげもあって、かなりのびのびと育った気がします。

[4]高校、大学時代はいかがですか?

リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

中学高校を通じてバレーボール部に入っていましたが、特にキャプテンを任されたりはしませんでした。級長ではありませんが副級長をやっていたことはあったのですが、ここでも特に「リーダーになる」という意識は持っていませんでした。大学に入った頃は、日本がバブル真っ盛りでしたから、ご多分に漏れず、時間があれば遊んでいました。

部活でもクラスでも、高校・大学ではリーダーシップに目覚めるようなことはなかったんです。というよりも、リーダーシップをとるのは目立ちたがり屋のような感じがしてとてもいやで、リーダーに対して斜に構えているような感じだったと思います。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

祖父が自ら起業をして大手カメラメーカーの販売代理店を経営していました。まあ、だからといって会社経営に子どもの頃から興味を持っていたかといえば、そんなことはないのですが、1つ大きな影響は受けたと思います。それは学校では味わうことがなかったリーダーシップにつながるような影響です。

私が子どもの頃の日本の小さな会社には多かったのですが、会社と家が隣接していたんです。祖父が起業し、父が受け継いだ会社は家のすぐ近所にあり、うちの家族と社員の人たちとが、いつものように一緒にいました。上下の隔てなく、まるで1つの大きな家族のようにつながっている。それがとても自然で心地好かったわけです。おかげでその後、私が社会に出てリーダーを務めるようになっても、肩書きや立場による違いを取り払って、本音でつきあえるような環境を意識的に作るようになったんです。

[6]ご自身の性格について教えてください

私の性格面での特徴は3つあると思っています。

1つめはバランスをとるのが好きです。「ものの見方というのは1通りじゃない」という気持ちが常にあります。もちろん、「この件については自分はこうだと思う」という自分の考えは常に持っているのですが、だからといって「それしかない。これが絶対だ」とは考えないんです。「他の見方・考え方もあるよね」と思っていて、周りの意見を聞きたがる。そういう性格です。

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2つめは、出来る限り効率的に結果を出すことが好きです。自分が向かうべきゴールや目標がわかると、どうすれば最も効率良くそこに到達できるかを考え、行動を起こすことが多いです。自分だけでなく他人の時間や苦労を無駄にしたり同じことを2度繰り返すのがいやなので、出来る限り効率的になるよう事前にプロセスや優先順位をいろいろ考えます。ただし、家にいる時は別人格のようです(笑)。効率性とはおよそ無縁な過ごし方をしていると思います。

3つめは物事の根幹にある「原理」とか「構造」というものを考えていくのが好きだ、という点です。気がついたらそういうことを考える癖がついていたのですが、効率的に動くのが好きなところから物事の「原理」を考え出すようになったのかもしれません。ですから子どもの頃は数学や物理が好きでしたし、コンセプトを考えるマーケティングというものに出会って夢中になったのも、こういう性格が原因だったのだと思います。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

「社長になりたい」と強く望んだことは、一度もなかったと思います。外資系企業にばかり在籍してきたのに変かもしれませんが、「社長というものは、自分がなりたいと思ってなれるものではなく、ある時自分の意思と関係なく天から拝命するもの」というような、とても日本的な考えで過ごしてきたんです。やるべきことをちゃんとやっていれば、誰かはみてくれているだろう、というような気持ちでいました。

マーケティング部門のトップであるCMOというポジションに就いて、その立場から全社の経営にも関わっていきたい、と考えた時期ならばありました。それが冒頭でもお話をした日本コカ・コーラから20世紀フォックスへと移る時期でした。

ともあれ、気がついたら会社の経営を任される立場になった私ではありますが、今はこの経営者という仕事を存分に楽しんでいます。これまで慣れ親しんだマーケティングとはまったく別の知的なドキドキ感の連続とでも言えばいいのでしょうか。責任ある立場なので緊張感が途切れることはなく、リラックスできることはあまりないですが、新しい経験をいろいろすることが出来て、充実していると思います。

[8]経営者に必要なメンタリティー、スキル、経験とは何でしょう?

経営者に必要な要素は4つだと、私は考えています。

1つは、意思決定ができること。経営は算数や科学ではありませんから、時には直感的に何をすべきか決断することもあります。しかし、多くの場合は調査結果やロジックや予測をできるだけ論理的に組み立ててから意思決定していくことになります。始める前に結果がはっきりと見えていることなど皆無です。プラス材料もマイナス材料もどちらもあるもやもやした中で、ある根拠に基づいて思い切って決断をくだしていく、このことこそ経営者には必須のスキルだと考えています。

2つめは、優先順位をつけられることです。経営者という立場になれば、会社の全ての部門からあらゆるビジネス課題が届けられ、意思決定を求められます。たくさんのチームや個人が「すぐに決めてください」と迫ってきますが、それは当然のことです。各々の現場にしてみれば、社長に上げる案件は常に「わが部門での最優先課題」なんです。

けれども、それらを全て同時に行うことはできません。だから、「会社全体で見たときには、何が最優先で、その次は何で」というように優先順位をつけていく能力が必要になるわけです。優先順位の良し悪しによって、関係する全社員の仕事量や効率が大きく変動してしまうわけですから、経営者の責任は重大です。

3つめは、前向きであること。私は経営者というものを「組織を管理する人」ではなく「組織を引っ張っていく人」だと捉えています。「あそこに豊かな大地がある。一緒に行こう」と皆に声をかけるのが経営者の役目。そして、皆に動いてもらうために、どんなに現在の状況が厳しくとも前向きに明るい未来を語り、「あそこに行ったら、いいことがある」と信じさせるのも役目です。

人というのは、「その先には必ず今よりいいことがある」と信じることができれば、どんなに厳しい状況でも、「もうちょっとだけがんばってみよう」という気力が沸いてきます。あるいは今うまくいっていたとしたら「よし、もっともっと成功してやろう」とますます波に乗れるものなのです。ですから、社員を引っ張っていくための重要なファクターとして不透明な未来の中で明るい局面に光を当て、その可能性を信じる「前向き」なメンタリティーが重要だと思っています。

最後の4つめは、タフであること。経営の最終責任者である以上、自分の信条や好き嫌いに関係なくいろいろなものを背負わなければならなくなります。だから、心身ともにかなり強くなければ勤まらないと思います。どのような決断でも関係者が全員満足するということはあまりありませんから、ある時点で腹をくくって覚悟を決めることが必要になります。そしてその決断が常に成功するわけでありません。中には失敗に終わるものも必ず出てきます。だから失敗を恐れない、そして失敗したときには責任をとるタフさが必要になるのです。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

前の質問の返答の3つめとも関わってくるのですが、やはり経営者になろうという人間には、「周囲を取り巻く人たちを魅了する人たらし」の要素がないと務まらない、そう実感しています。数字に表れるものではないので、今現在、自分がどの程度この要件を満たしているかはわかりませんが、とにかく「社員の皆を少しでも魅了できる存在にならなければ」と心に刻んでいます。

「あの人がやろうと言うのなら、信じてみよう、やってみよう」と思ってもらえたら、経営者として理想だと思いますし、今後もそういう魅力ある経営者を目指していきたいと思います。 

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

すべてこれまでの仕事を通して身につけることができたと考えています。

日本コカ・コーラで現場の担当者だった頃は、部下の立場から上司やリーダーの動きや発言や気配りなどなどをみていました。「このタイミングでこういうことをするから、皆が働きやすくなるんだな」というような気づきを得るのが面白かったし、自分を高めてくれたと思っています。

それなりにチームを任され、リーダーを務めるようになってからは、「どうすれば皆の助けになるか」という視点で仕事をするようになりました。部下である人たちと積極的に話をしていくようになりました。やはり、こういうことの繰り返しを重ねていくことが、何よりの学びになるのだと思います。

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