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プロ経営者インタビュー

小出 斉 氏

[2]現在のご自身の役割について教えてください

経営トップになった以上、すべての意思決定局面で最終判断を下していくのが私の役割です。しかし、それだけが私の役割ではありません。東証一部に上場できたとはいっても、イーブックはまだまだ発展途上にあるベンチャー企業ですし、電子書籍という業界自体が「これから本格的に花開く」ような段階にいますので、やらなければいけない仕事は山のようにあります。

ですから私のもう1つの重要な役割は「ピースが足りない事業やプロジェクトがあれば、自分も現場の一員となって参加する」というもの。上場の際には、その準備に多忙を極めた者の業務を一部肩代わりしましたし、ユーザーの声をもっとダイレクトに聞いた方が良いと思ってユーザーアンケートを自ら作ったりしました。

椅子にどっかと座って指示を出すような経営者ではありませんが、それが許されるほど成熟した市場も出来上がっていませんから、社長も時には1つのピースとなって動くのは当然のこと。私としては、むしろそういう役割でいることを楽しんでいます。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

普通の子どもでしたよ。「成績はわりと良くて、運動は苦手だった」というと、いじめられたりしたのではないかと思われがちですが、どこかずる賢いところもあって(笑)、むしろ悪ガキどもの輪の中にいつもいました。それでも生徒会長をやったりもしたので、どこか独特のポジションにいたのかもしれませんが、ともあれ総じて「普通」だったと思います。

小学校を卒業後、中高一貫の麻布高校に入学できたことは、今でも非常に幸運だったと思っています。エリート進学校のイメージで見られることも多いのですが、麻布には伝統的な校風・価値観が根付いていて、自立心や自由を尊重してくれる環境だったんです。個性のある仲間がたくさんできて、実に充実した6年間を過ごしました。当時の友人とは今でも強いつながりを持っているほどです。

[4]高校、大学時代はいかがですか?
リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

先にも少し触れましたが、私は子どもの頃から電子工作が大好きでした。「お小遣いを握りしめて秋葉原に通っていた」などというと、いまどきはアニメおたくのように思われてしまうかもしれませんが、当時の秋葉原は今と違い電子工作好きな老若男女が集う街。トランジスタやダイオードなどの部品を秋葉原で買い求めては自分の部屋でハンダごて片手に工作に没頭していました。そして学校でも電子工作の部活で部長をしていました。

大学に入ると、今度はテニスサークルを仲間たちと一緒に創設して部長もしていましたから、こうした経験が多少はリーダーシップにつながったかもしれません。けれども、正直なところ、本当の意味でのリーダーシップに目覚めたのは社会に出てからのことです。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

父が仕立屋を営んでいました。当時、婦人服の縫製業は大手メーカーによる既製服の浸透によって徐々に時代から取り残され始めていました。ですから、「父親の様子を見ながら会社経営に魅力を感じた」というよりも、「ビジネスというものには浮き沈みがあるものなんだな」というような切ない感慨を、子どもながらに持っていました。

ただし、だからこそ「これって何とかならないのかな」という気持ちも湧いてきましたし、じわじわと、経営というものへの興味をかきたてられていくきっかけにはなったかもしれません。大学への進学時に、電子工作少年でありながら理系ではなく文系の経済学部を選んだのも、そうした流れがあってのことでした。

[6]ご自身の性格について教えてください

明るい。でも、しつこい面もある......そこまでは自分で何となく思い浮かべたのですが、だんだんわからなくなってしまい、実は幾人かの社員に聞いてしまいました(笑)。

結果をそのまま報告しますと、「老獪だけれど天然」、「細かいけれども大胆」、「気が短いけれども我慢強い」というように、矛盾する2つの要素を並べて私の性格を表現する声ばかりでした。二面性というものは誰にでもあるものですよね。本人としては、どの意見にも大いに賛同していますので、これが私の性格なのだと思ってください(笑)。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

「経営の仕事に携わりたい」という気持ちは、先に申し上げた子どもの頃の感覚から始まって、年を追うごとに少しずつ高まっていきました。大学であえて経済学部を選び、そこで学んだことが次のステップへつながりましたし、公認会計士試験を経て企業の会計に直接携わるようになって、また新たな関心が生まれました。

三菱重工で事業会社の最前線ならではの気づきや学びも得て、ビジネススクールではさらに高度な学習をし、コンサルティングファームで経営をより身近なテーマとして働くことができました。これらすべての経緯を通じて「経営の仕事がしたい」という気持ちが固まっていったんです。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

会社というものには良い時も悪い時もあります。経営者は、その双方の時間とつき合っていく責任があります。良い時も悪い時も、社員は常に経営者の顔を見ています。ですから、まず私が自分の流儀としてお伝えしたいのは「常に笑顔でいられるメンタリティと資質」が不可欠だということです。

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良い時も悪い時も、社員に信じてもらい、戦ってもらえる存在でなければいけませんから、笑顔が大切なんです。その笑顔を支えるスキルとして、たとえば短期的な視点と中長期を見越す視点の両方をバランス良く備えていることが必要になってくるとも考えています。

では「経営者に必要な経験」とは何か、というと、私の答えは「へたな経験ならば、ないほうがマシな場合もある」です。最適な経営姿勢、最善の経営手法といったものは、その会社が置かれている状況や、構成しているメンバー、あるいは外的な環境などなどによって大きく変わってきます。

日本にはそもそも「よその会社で経営者を経験した人が、違う会社の経営者になる」という事例自体少ないわけですが、仮に前職で素晴らしい経営を行った人が他の会社へ移って、再び経営者になったとしても一事例での成功体験を別事例にあてはめて失敗してしまうリスクは十分あります。

また、私自身がコンサルタント出身者なわけですが、コンサルティング経験というものを重視し過ぎてしまえば、「あえてリスクをとってチャレンジする」というような経営には消極的になるかもしれません。できる限り失敗しない体制作りや戦略実行を選択していくケースがコンサルタントには多いからです。

つまり私が言いたいのは、「経営者としての経験を他の会社で積んできた」ことが、今の会社の「良い経営者になる」ことに必ず結びつくとは限らないし、「コンサルタントとしていくつもの企業の経営に携わった経験の持ち主」が、いつも必ず「事業会社の良い経営者」になれるとも限らないということ。

逆に「就任当時は経営のことを何も経験していなかったのに、後に偉大な経営者になった」という先達の例が世の中にはたくさんあります。ですから「これを経験すれば良い経営者になれる」などという法則らしきものを過度に信じたり、期待しないでほしい。私はそう考えています。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

「社員や取引先も含めたステークホルダーの皆と同じ船に乗っている」という感覚。これを共有できなければ、その船は停まってしまう、と考えています。ステークホルダーごとに求めることは異なるものの、全メンバーに対する愛と敬意を根底に抱きながら「同じ船に乗って前に進んでいく」感覚を保つことで、自信を持って全体最適な判断をくだせるのだと思います。それが経営者には何よりも必要だと私は信じています。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

これまでに手がけたすべての仕事、参画してきたすべての企業、関わってきたすべての人々、読んできた書物から学びました。

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう?
やはり必要だとお考えですか?

一般論として答えるならば「ないよりもあった方がいい」になるでしょう。ただし何事にも「善し悪し」があります。業種固有の知識や業界のプロとして培ってきた知見を持っている人が経営者になったならば、その部分についてのラーニングは短時間で済むでしょうけれども、ともすれば「業界の常識、固定観念」に依存するあまり、環境変化への対応で後れを取ってしまう危険性もあります。

一方、「業界のプロではなくても、経営のプロとしての知見があればやっていける」という発想の人もいることでしょう。しかし、それについても「善し悪し」です。理屈は同じです。経営という独特な仕事についての知見をすでに持っていれば、これについてのラーニングは短時間で済むはず。ところがその成功体験が災いして、異なる環境、新しい変化というものへの適応を遅らせてしまう危険性があります。

私の場合は恵まれていました。イーブック入社時は副社長の肩書きはあったものの、前任の鈴木が経営の総指揮を執っていました。電子書籍ビジネスの知見をまったく持っていなかった私にしてみれば、鈴木をサポートして経営のプロとしての仕事をしていきながら、同時に業界の知見をラーニングできる時間も手に入れることができました。

もちろん今でも社員たちにいろいろ教わっていますから、今なお勉強中の身ではありますが、反面、出版業界に染み渡ってきた「常識」というものに、素直に疑問を感じることもできています。「外から来た素人」であるがゆえに「常識」を疑うことができ、それが新しいチャンスにつながったケースというのもあるんです。

たとえば、漫画雑誌が全盛だった時代には「1つのマンガがヒットすれば5度おいしい」という発想が「当たり前」だったそうです。雑誌などへの連載中に収益を生んだ作品が、次に単行本となって新たな収益を生み、次は豪華本と称したデラックスバージョンでさらに収益を上げ......といった具合です。

イーブックでは競合に先んじて2007年から「1度購入すれば、その作品を複数のデバイスで読める」というサービスを開始し、多くのエンドユーザーに支持をしていただいていましたが、私もこれを全面的に後押しし、2010年のiPad発売以降のタブレットブームに乗ることが出来ました。

もしも「5度おいしい」の常識に私自身が染まっていたら、こうしたサービスの実現は難しかったのではないかと思います。

ですから、私の結論は「何事もないよりはあった方がいい」、ただし「あるからといって、それが必ずメリットだけを生むのだと慢心してはいけない」ということになりますね。

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