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プロ経営者インタビュー

伊藤 嘉明 氏

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

まったく要りません。今までこのインタビュー・シリーズにご登場された皆さんとは一線を画す返答かもしれませんが、「業界知見なんて要らない」と私は断言します。

私は自分の半生を「なにくそ」で生きてきましたが、もう1つキーワードがあります。それは「よそ者」人生です(笑)。よく経歴のことで聞かれるのが「なぜこれほど異業種転職ばかりしてきたんですか?」という質問。私は毎回答えます「あえて意識してそうしたんです」と。

実際には、デルに入社するまでは外的な環境も手伝い「結果的に異業種への転職になった」面もあるのですが、その後、デルと同業のレノボに移った時以外は、本当に「あえて異業種に」と考えて、自分のキャリアパスを歩んできました。ではなぜ「あえてそうした」のかといえば、外部から特別な使命を帯びて経営に参画する者にとって、業界知見などないほうがいいと考えているからです。

ある意味、私の性格的な部分もあります。日本コカ・コーラからデルへ移った時など、「砂糖水を売っていた人間にコンピュータの何がわかる?」というような空気が一部にはありました。「よし、わかった。ならば『よそ者』にどれだけのことができるか見てもらおうじゃないか」と燃えたわけです(笑)。そうした負けん気は、経営者を目指す以上、誰しも持っておくべきだと感じてはいますが、事はメンタルの問題ばかりではありません。

たとえば、ソニー・ピクチャーズには、販売するパッケージソフトに関する多様なデータを打ち込むことで、セールスの予測数値や目標とするべき販売数値を算出するプログラムが稼働していました。実際、その仕組みで打ち出された数値はかなりの精度を保ち、社内でも信頼されていたんです。

ところが、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』をリリースすることが決まった時、プログラムが出した販売目標は30万枚でした。長年エンタテインメントの世界に身を置くスタッフもそれを適正数値だと信じ切っていたのですが、「よそ者」の私は「天下のマイケルの記念すべきDVDだぞ。100万枚売れて当然だ」と考えたわけです。

しかし社内では誰もそれを真に受けず批判する声さえありました。そこでいつもの負けん気もあって「じゃあ200万枚売る」と宣言しました。結果として230万枚を超えるセールスを樹立し、今でもまだ売れ続けているわけですが、それもこれも、私が業界の「常識」や「セオリー」に支配されている人間ではなかったからだと確信しています。

放っておいても200万枚売れた、というわけではありません。「宣言したからには実現しないと」と考えた私は自ら動きました。それまで業界の常識にはない新たな販売手法や販売ルートを考えだし、過去の知見や経験も活かしながら、たとえば通常のセールス部隊が動かないスポーツジムやスポーツ用品店などにも営業をかけていき、ポスターを貼らせてもらい、その結果、社会現象化するまでになったのです。

これはあくまでも一例にすぎません。あえて「よそ者」を貫いてきたのは、「よそ者」にしか気づかない着想や行動に価値があることを、いくつもの会社で身を以て確かめてきたから。もちろん、業界に長年いた人を軽んじるつもりは一切ありません。ハイアールにも家電業界に何年も携わってきたプロフェッショナルがいますし、彼らの持つ力を信じています。

業界経験には素晴らしい価値がある。けれども「この業界ではこうなんだ」という風に経験に縛られている場面があるのだとすれば、それを打ち壊さなければ変革などあり得ません。打ち壊すことができるのは「よそ者」のリーダーなんです。変革実現を期待されるリーダーになろうというのならば、「業界知見なんて関係ない」と言い切れるくらいでいいのです。そうあるべきなのです。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください

試練はありません。幼少期に貧しいアジアの側面を見て育ってきたこともあり、少々の苦難が訪れても、それを試練だとは感じなくなりました。「どんなに仕事が大変でも、それで死ぬわけじゃない」と考える癖がついているんです。アジアの窮状を変えたいと決めたからには、「成長は責務」と思っていますので、「試練だ」とか「ストレッチだ」という風にいちいち意識するのではなく、粛々と今まで生きてきた、というのが本音です。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

ブレないことです。ブレずに貫き通す努力をひたすら続けてほしいと思います。

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付け加えれば、もう1つ。「金のために」という動機付けはダメだと思います。もちろんお金は大事です(笑)。けれども「お金を手にするためだけに頑張ろう」というモチベーションではリーダーになれないと思います。なぜならお金はブレるから。人の心を惑わせ、ブレさせる力を持っているからです。

5百万円をもらいながら、厳しい局面で「ブレずに信念を貫こう」と頑張っている時に、別のところから「5千万円出すからこっちに来ないか?」と誘われ、結局動いてしまうようでは、永遠に成長はできない。「だからガマンしましょう」とは言いません。

お金の魔力に負けないだけの動機付けを自分の中に持つことが重要だと思うんです。自分は何のために生きているのか、何のために働くのか。その信念を強く持つことが、すべての努力や学びのスタート地点になると考えています。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

私には尊敬する経営者が3人います。その筆頭が父です。日本コカ・コーラ時代に環境経営という聞き慣れない領域で孤軍奮闘していた私を引き上げてくれたドクター・ホフマン氏がもう1人。そして、デル時代に経営について様々なことを教えてくれたビル・アメリオ氏。この3人が表現の仕方は違えども、たびたび同じ内容のことを私に語ってくれました。

先に申し上げた「山は上へ行くほど空気が薄くなる。それでも頂点を望む者は上っていかなければいけないんだ」という父の言葉についても、後にホフマン氏もアメリオ氏も同じ意味のことを私に語りかけてくれました。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか?
それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

ここでもはっきり本音を言います。偶然なんてものはありません。偶然を期待している時点で、その人間はアウトです。日々の生活は必然の積み重ねの上で成立しています。きちんと頑張っている人間がいれば、必ずそれを見ている人はいるし、だからこそ良い人との出会いにもつながっていく。

何も頑張っていない人間を誰か素晴らしい人に紹介してあげよう、などと考える者なんていません。つまり、偶然の出会いなんて存在しないんです。大事なのは姿勢。姿勢を持っている者のもとに人やチャンスや選択肢というものが訪れるんです。

[16]なぜ起業ではなかったのでしょうか?

臆病だからです。無理だと思っているからです。「組織体の中で競争をしながら這い上がっていく」スタイルが私には向いていると思っていますし、やはり起業をして社長になったかたを見ていると、自分の財産から何からすべてを投げ打って経営をしています。そこまですることに対して、やはり私は臆病になります。実際に起業して大きな組織体を築き上げたかたとお会いすると、ただただリスペクトしてしまいます。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

ガンジーが遺した言葉、「永遠に生きると思って学びなさい。明日死ぬと思って生きなさい」です。

実はもう1つ好きな言葉があって、これはガンジーとは無関係な言葉なんですが「金メッキ、塗り続ければ金になる」。周囲からは、ガンジーの言葉の方が重みがあるから、そっちだけにしておけ、などと言われるのですが(笑)、この言葉も好きなんです。

よく「いえいえ、私はそれのプロではないので」などと言って何かのお願い事を避けようとする人がいますよね? 私はそれっておかしいと思うわけです。誰だって最初から何かのプロではない。イチロー選手だって、努力をしたから超一流のプロになったわけです。ですから生きる姿勢を示す言葉として、これも挙げておきたいと思います。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

アジアです。日本です。中国のハイアール・グループという非常に強い会社が日本のテクノロジーを買ってくれた。このチャンスに感謝し、アジアの成長と日本の再生を実現する。それが私の使命ですし、社員の皆も共感してくれています。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

何もありません。私はスティーブン・R・コヴィーが書いた『七つの習慣』という本が好きなのですが、この中で推奨されている習慣の1つに「Begin with the End in Mind」というのがあります。「終わりを意識し、目的を持って始めなさい」という意味なのですけれども、ハイアールアジアの経営者になった私について言うのならば、この会社をアジアを代表する会社に成長させるというのが私のEnd goalであり、それを目指して向かっていくだけです。

就任早々から私はこの会社の経営の振り子を大きく動かしました。今までにないチャレンジというものをいくつもスタートさせました。そうして動き始めた振り子が今後どんな風に振れていくのか、それを責任持って見つめながら、次々と変革を起こし、ブレずに振り子を動かし続けようと決めています。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします

先に紹介しました、父やドクター・ホフマンやビル・アメリオが異口同音に教えてくれた事柄を皆さんにも贈りたいと思います。

経営者を目指すということは、山の頂上を目指して上っていくのと同じ。上れば上るほど責任は重くなります。空気は薄くなり、登山のリスクは高まりますが、先頭を行く以上は誰よりもアンテナを張って危険や好機を察知する感度を磨いていかなければいけない。孤独感も募ります。それでもなお、皆を率いて先頭に立ち、高みを目指していきたいと心底思える気概がないのであれば、経営者を目指すべきではありません。覚悟はありますか? 自分に問いかけてみてほしいです。

もう1つ、私流のメッセージとして伝えるとするならば、「反対されたら喜びなさい」ですね。「なにくそ」精神も大切ですが、それだけではない。周囲が「やめておけ」と止めに入るような事柄、「勝てる確率は低い」と断定しているような事柄にこそ、本物の勝機がある。誰も手に入れていないような勝利は「反対する声」の向こう側にこそある。私はそう信じています。

最後に、「コンフォートゾーンから飛び出す勇気を持ってほしい」ということを伝えたいと思います。私は常に難易度が高くかつ厳しい選択をしてきたと思っていますが、それが自分自身を鍛え、結果として今の自分を形成しています。

20代、30代のビジネスパーソン、特に将来経営を担うことを目標としているみなさんは、自らコンフォートゾーンから出てほしいと思います。またそのために、まず自分が市場でどのような価値を持っているかを知り、自分のキャリア形成を真剣に考え、ビジネスにおける自分の『道具』を磨いてほしいと思います。

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