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プロ経営者インタビュー

栗原 一博 氏

[2]現在のご自身の役割について教えてください

私が社長に就任したのは2014年の3月です。役割は大きく変わりました。いわばCOOからCEOになったのですから「やらねばならないこと」は違います。この会社が向かうべき方向性をビジョン、戦略等で社内外に明確に示す事、そして、組織全体に浸透させて実行しきること、CEOとしての一番重要な仕事です。

当社は中小企業ですので、単に号令を掛けるだけでなく、自ら実行して範を示していくことが何よりも重要で、一体感をもった戦略実行組織を醸成するには、手垢のある現場感が不可欠と感じています。

「日本一企業」から「世界一企業へ」

日本のニッチTOP企業がグローバル化し、世界一になる為には、CEOの強力なリーダーシップが不可欠です。ビジネス環境が大きく変化する中で、当社自ら変革し、進化を遂げる為に、時には従来の成功体験を否定し、組織をリードしていきます。決して簡単な仕事ではありませんが、その分やりがいがあって素晴らしいと考えています。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

私は東京の下町・鶯谷の日本茶小売店の長男として生まれ、いかにも下町の子どもと言えるような少年期をすごしました。運動が好きで野球をやったり、リレーの選手になったりしましたが、負けず嫌いで勝ち気でしたからケンカもしょっちゅうしていました。

成績は、低学年の頃は可もなく不可もなくでしたが、いつしか、「いつも学校で一番」という子が現れ、持ち前の負けず嫌いな性格に火がつきました(笑)。おかげで4年生以降は成績がみるみる良くなっていきました。結局その一番だった子は私立開成中学に入学。私は地元の公立中学へ進学することになりました。中学に入ってからは陸上部に入り、短距離走や駅伝に夢中になった生活をしていました。

[4]高校、大学時代はいかがですか?

リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

高校受験では第一希望校への進学叶わず、都立上野高校に進みました。軟式野球部に入ったものの、「大学こそ希望校進学を成功させたい」という思いもあり、高校2年の早い時期から大学受験に備えた勉強を開始しました。父からも「大学に行きたいなら行け。ただし、自分の志望校に現役合格するのが条件。浪人する位なら、家業を継ぐ事。その場合は静岡(日本茶産地)にて修行に行く事」と釘を刺されましたので、必死でした。

父としての本音は、長男である私に家を継いでほしかったのだと思います。言葉には出しませんでしたが、気持ちは伝わってきました。それでも「現役合格したら自分の道を歩め」と快く背中を教えてくれた父にとても感謝しています。

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第一志望の大学は慶應義塾でした。なんとなく、当時から私は「外国」というものに惹かれていました。下町生まれの下町育ちですから、こよなく日本を愛してはいましたが、町を見渡してみると、ガイコクジンが少ない(笑)。「なんて小さな世界なんだろう」「もっと世界は広いはず」と思うようになった。「グローバル商人」になりたいと、おぼろげながら感じていた当時、国際性豊かな「慶應義塾」なら実現しやすいと考えたもの志望理由の一つです。

入学後は、海への憧れも手伝い、ボードセーリング部に入部しました。やや遊びたいという気持ちもあったのですが、この部が実に厳しかった。体育会ではないのですが、部の面々は真剣そのもので練習に励み、インカレ等の大きな大会で優勝したりしていたんです。

私の中途半端な動機はすぐに砕け散り(笑)、練習、練習の毎日。最初の2年は泣かず飛ばずでしたが、引退直前の大学3年最後で団体インカレで優勝することができ、これが自信につながりました。受験、クラブ活動どこでも「ゴールを見据えて必死で取り組み、あきらめないでいれば、必ず最後には達成出来る」というような信念というか、人生感を持ったのはこのころです。

リーダーシップという意味では、3年生時にボードセーリング部でキャプテンになりました。小中高では経験しなかったリーダーとしての学びは、大きかったと思っています。大きなゴールに向かって、様々な性格、能力の各部員をまとめる難しさなども経験しました。なにより、一人よりも、チームで獲得出来た成果に対する喜びの方が大きいんだということを体感できた。これもその後の私の人生に良い影響を与えてくれたと思っています。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

先ほども申し上げました通り、父が下町でお茶の小売業を営んでおりました。自宅を兼ねた商店経営だったおかげで、常に父の働いて努力する姿を見ることができました。私には分かり得ない色々な経営上の苦労があったのではないかと思えます。

田舎から上京して修業して、暖簾分け、独立した父は、小さいながらも朝から晩まで店先でお客様へ、より美味しい「オリジナル日本茶」を提供することに全てをかけていました。季節感のあるお茶を提供する為に、産地へ直接出向いて買い付け、茶葉を選び抜き、独自ブレンドによる「世界ここにしかないお茶」を販売していた。多くの長年のお得意先に大変喜ばれていました。

振り返ると、立派な理論はなくとも完全に差別化されたバリュープロポジションを実践していたと思えます。規模の大小はあっても、経営の基本は同じ、身近なところで「お客様」と「企業」の関係性を見て来たことは、私の経営にとても大きな含意やセンスを貰っていると考えています。結局お茶屋を継ぎはしませんでしたが、私にとって親父は、人としても経営者としても大きな学びをくれた恩人であります。

[6]ご自身の性格について教えてください

あまり器用な方ではないかと思います。良くも悪くも、素直にしつこく愚直に進むので、時には「打たれ強い」と言われる事もありますが、本人的にはそこそこ「凹む」こともあります(笑)。でも翌日はそれなりに気持ちを切り替えられて、再チャレンジしています。基本的に楽観的なのでしょうか。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

社会人になって数年経ったあとでないかと思います。ただそれまでに父親の影響あり、どこかで一国の城主になりたいとは漠然と思っていました。
なぜ経営者かというと、自分が実現したいことで、多くの人に幸せを与える事が出来るから。お客様に喜んで頂けるから。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

私が経営者の必須条件だと考えているもの3つあります。

第1は、多くの人々に共感を与えながら引っ張っていく能力や資質。これまで私は様々な業種で様々な規模の集団、人々と一緒に仕事をさせて頂きましたが、痛感するのは「人は理屈や力だけでは決して動かない。共感あってこそ個人力が組織力に結実する」という点です。一部のスーパープレーヤーが活躍する組織ではなく、各々が持ち場の役割をしっかり果たせば、一滴の水も大海になりえます。共感が無ければ、一滴の水のままです。ですから共感を生み出す力は、経営者にとって不可欠だと思っているんです。

マークテックに来て以来、この共感作りを強く意識しました。そもそもこの会社は成功体験をもっている会社であり、業界TOP企業です。でも社員の多くはこのままではだめだと思っている。時代の変化に伴い、どんな企業でも変革しなければならない事はあります。社員の思いにしっかり応え、変えて行こうとする意思を具体的に示すことが大切ですね。

第2の条件は、しつこさです。今のビジネス世界で確実な事なんて何一つないです。でも成功する人とそうでない人がいる。この差は実は小さな違いで、要はしつこく諦めずにやり抜くか、途中で諦めるかなのかなと思っています。「諦めない限り失敗とならず、最後は成功になる」しつこくじっくり構えられるメンタリティがリーダーには必要だと考えています。

第3は、先のしつこさとも通じますが、打たれ強さだと考えています。環境の変化に合わせながら、自らを変革していくことが経営者、会社に求められています。自らを変革していくには、それなりの痛みが伴います。グローバル環境でもタフネスが無いと到底成り立ちません。

住友商事時代、中国企業への鋼管販売契約で数億円規模の焦げ付きが発生、急遽中国へ飛び中国顧客に支払いを約束させる交渉に出向くことになりました。もし支払いが滞れば大きな経済的損失に繋がるという事もあり、解決出来るまでは帰国しない思いで現地に乗り込みました。

現地では40人以上の中国人関係者に囲まれ、身の危険を感じた瞬間もありましたが、粘り強く様々な観点、ルートから条件交渉を行い、最後の最後に何とか減額条件付きで支払いを取り付ける事ができました。翌日帰国を果たしました。打たれ強いと幸運も味方に出来るかもしれません(笑)。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

プロ経営者という観点からすると、環境順応能力は最も重要、不可欠な要素です。起業のケースは除いて、既に何らかの基盤がある「人の庭」に入って行く訳です。意味が無い様に見える多くの事柄、決め事には実はそれなりに歴史的な背景があり、固有の条理がある場合が多いです。

まずは先方の「生態系」を深く洞察し、良い処は極力生かすことが正しく経営出来る前提条件だと考えます。別会社での自らの経営成功体験を振りかざせず、否定せざるをえない局面も出て来ます。余りに自らの能力や経験に依拠する余りに、この環境順応を怠たり、優秀なプロ経営者が期待した通りの成果を出せない事例は枚挙に暇がないと聞き及びます。

「現場の論理や価値観」は何か、なぜそうなのか、本来どうあるべきなのかを考える事も、環境適応能力ではないかと思います。「自分の過去、自分の成功体験」を振り回したところで、共感など生まれません。極論すれば、過去の自分を否定できるかどうか。それが環境順応能力であり、プロ経営者に求められる資質だと、私は信じています。

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