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プロ経営者インタビュー

迫 俊亮 氏

[2]現在のご自身の役割について教えてください

ビジネス誌やテレビなどでも紹介されてきた通り、私は社長になる前から現場に足を運ぶことを重視してきました。この会社が持つ魅力、強みのすべてが現場の店舗にあるから、という部分もあります。マザーハウスでBtoCのビジネスをしてきたとはいえ、ミスター・ミニットが展開する独自のサービス事業に精通しているわけではありませんから、しっかりとそれを自分の身体で理解していきたかったという部分もあります。

でも、それだけではありません。先にお話をしたアジアの拠点ばかりでなく、ミニット・アジア・パシフィックには「現場と経営サイドとお客様」における関係性に課題があると考えていたんです。どんなビジネスにおいても、何より大切なのはお客様を満足させること。ミスター・ミニットの各店舗はこの原則に従い、それぞれが真面目に真摯に様々なサービスや工夫を実行しています。

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ところが現場のお店で行われていることを経営陣が知らなかったり、経営陣の思惑が各店舗に伝わっていなかったり、という問題があれば、その影響はお客様にも波及します。ですから私は自らお店に出向き、実行されているサービスの現状やお客様からの声、現場で用いられている技術などなどを自分の目で確かめ、可能性を追いかけてきたのです。

昨年から全店でスタートした女性にフォーカスした靴磨きのサービス展開も、実はある現場からの教訓をもとに始まりました。修理を依頼してきたお客様の靴を、「少しでも喜んでもらえれば」の気持ちから磨いてさしあげていた店舗があり、お客様からの評判を聞くと、とても好評だというのです。

考えてみれば、男性以上に細やかに服装に気を配る女性たちの靴を磨いてさしあげるサービスというのは、あるようでなかった。従来からある靴磨きサービスのお店は、どうしても男性向きのイメージが強く、女性には行きづらい印象を与えている。「それならばビジネスとして成立するサービスのはず」と考え、これをすべての店舗で実施することを決めました。

おかげさまでこのサービスは好評を得ています。お客様のことを一心に思い、より良いサービスを実行する。これはBtoCビジネスの鉄則であり、基本です。この当たり前の姿勢が勝利につながることを、ハンズオンの姿勢で次々と生み出していきたい。そんな思いもあるからこそ、私は現場に足を運ぶようにしています。

では今後、経営者としてどんな役割を果たしていきたいかといえば、大きく3つの目標を立てています。1つは、「この会社は何なのか」というものを目に見える形にして、浸透させていくのが私の役割だと考えています。

「経営理念」のようなお題目の言葉を掲げるだけでなく、リアルな経営アクションを通して「私たちミニット・アジア・パシフィックという会社は、こういう会社なんだ」という共通理解を社員の皆さんと構築していくように動きたいと思っています。先の靴磨きサービスもその一例なのだと言えます。

2つめは、この経営アクションを着実に達成していけるチームを作ること。社長があちこちのお店に行って、現場の声を聞き、経営に生かしていく、というような動きだけでは会社は変わりません。これほど広いエリアに数百の店舗を持ち、1000人近い人が働いている会社を変えようと思うならば、そのための組織を作り上げなければいけない。私はそう思っています。

具体的には2014年の1月に常務に就任してからの数ヵ月で、店舗出身者から部長を2人選出しました。「経営者が変わり、その新しい経営者が変革実行チームを編成する」となると、世間では「外部から優秀な人材を招いて」というスタイルをとるところも多いのですが、あえてその手法はとっていません。

繰り返しお話しているように、この会社の現場には素晴らしい人が大勢いるんです。お客様と直にふれ合い、皆さんが何を望んでいるのかを肌で知っている存在。そんな人たちが経営サイドに加わることで、この会社はもっと良くなっていく。そう考えていますので、今後も現場出身のマネージメント人材というのを増やしていきたいと考えています。

3つめは、経営者サイドにハンズオンの姿勢を徹底する、ということです。国内でも海外でも、管理する側と現場との間に血の通った関係性を再構築していく。それもまた私の役割だと考えています。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

一言でいえば、まったく勉強をしない子どもでした(苦笑)。納得できた事には夢中になるくせに、そうではないことにはまったく関心を持たず、やろうとはしない。「皆はこうしている」というような説得があったとしても耳は貸さない。だから先生や周囲の大人から見たら「扱いづらい子ども」だったはずです(笑)。

中学に入ってからはサッカー部に入ったりもしたのですが、やっぱり集団行動というものに納得ができず、すぐに辞めて、自分から勝手にボクシングジムに通い始めたりしていました。

[4]高校、大学時代はいかがですか?

リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

高校に入る頃には、ちょうどアメリカのヒップホップが流行していたこともあり、かなり怪しい風体をしていました(笑)。福岡の田舎に住んでいる妙なヤンキー、という感じだったと思います。相変わらず勉強することに興味を持てずにいたので、当時は「将来は格闘技の選手になるか、日本を脱出して外国で暮らす」などと本気で考えていました。

とにかく日本流の教育体制や授業というものが好きになれなかったんです。だから単純に「日本じゃなく外国でなら」という気持ちになり、「だったら英語は話せるようにならなければ」と考え、英会話スクールに通うようになりました。そして、これが1つの転機になりました。

語学というのは反復練習をすれば、誰でもそれなりに上手くなるもの。それまでまったく勉強をしていなかっただけに、私はここで「上達して、成長する喜び」というものを生まれて初めて経験したんです。「英語は面白い」と思い、夢中で勉強しました。そうして留学志向というのも強くなり、アメリカの大学に入ることを心に決めたんです。

渡米してからも、素晴らしい先生との出会いなどが重なったおかげで、勉強することの楽しさを次々に味わいました。UCLAで社会学に没頭したのも、そうした背景があってのことです。

リーダーシップについては、小中高の期間は何も経験していませんでした。しかし、大学に入ってからはクラスでもクラブでも、リーダーと名の付くような役割を何でも経験しました。ただ、今になって振り返ってみると、そうした学生同士の間でのリーダー体験以上に貴重だったと思える事柄があります。それは、とても幅の広い層の人たちとつながりを持って育ってきたことです。

勉強を全然しない仲間たちの思いも知っていますし、社会学を学びながら出会った人たちが、どんな気持ちで世の中を良くしようとしているのかも知っているし、三菱商事で働いている人たちの考え方も少しは吸収できましたし、マザーハウスで出会った山口さんや山崎さんの突き抜けた情熱にも触れています。そのすべてが私の財産になっていると思っています。

たとえばユニゾン・キャピタルのようなファンド企業から送り込まれるプロ経営者の多くは、名だたるトップファーム出身のエリートだったりします。素晴らしいかたが大勢いますし、そこに問題はないとは思うのですが、私の場合は彼らとは違う生き方をしてきました。彼らが決して出会っていないような人とも親交を深めてきました。

それが今になって、リーダーシップの部分でも、BtoCのビジネスにおいても有効に生きているような気がするんです。「どれだけ数多くリーダーを経験したか」も大切でしょうけれど、それとはまた違う意味で「どれだけ多様な人たちとふれ合ってきたか」というのも、リーダーシップには重要なことだと考えています。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

いません。

[6]ご自身の性格について教えてください。

子どもの頃のお話でおわかりかと思いますが、とにかくこだわりの強い、自己主張の強い性格です。子どもの頃からその部分は本質的に変わってはいません。納得できないことには目を向けず、面白いと感じたことに熱中していく性格です。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

経営の仕事に携わりたい、という気持ちは社会に出る頃から持っていましたが、「いつ社長になりたいと思ったか」という質問であれば、それは最近になってのことです。マザーハウス時代は、小規模な会社だったとはいえ、それなりの権限を任せてもらっていました。しかし、目の前にはいつも強烈な社長と副社長がいました。

「この人たちと自分は決定的に違う」と痛感していましたし、だからこそ「自分はCEOには向いていない。むしろ、こういう強烈なリーダーシップを持っている人の傍らにいることで、自分は本来の力を発揮するタイプなんだ」と決め込んでいました。

ただ、そうした気持ちにも変化が現れて、マザーハウスを退職するちょっと前くらいから「やはりトップリーダーになるべきではないか」という気持ちが膨らんでいきました。マザーハウスの社長をしていた山口などを見ていると、とにかく真似が出来ないほど経営にすべてを捧げていました。

それでも何年かが過ぎ、ある程度落ち着いて観察できるようになると「この人は強烈な個性の持ち主だけれど、多くの人がついてきている。なぜなんだ?」という関心がわき、私なりの答えが見えるようになったのです。

「自分自身が成長したり得をするために情熱を傾けているのではなく、この会社のことだけを考え、持っているエネルギーのすべてを注いでいる。この会社が成長して、社会に貢献するためには何を今なすべきなのか、だけを考え一心不乱に行動している。だから皆がついていきたくなるんだ」と。

そう思うようになると、「こういう人の傍らにいる」のではなく、「自分もまたこういう人になりたい」という気持ちが強くなっていきました。そしてミスター・ミニットに出会い、この会社、このビジネスに惚れ込むことができたおかげで、数年前から「この会社でトップになりたい。いや、なるべきなんだ」と信じることができるようになったのです。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

メンタリティ、スキル、経験という分類とは異なるかもしれませんが、私なりに心がけている「経営者にとって大切な事」というのが3つあります。

1つは「何があってもこれを実現するんだ」という強力な主観を持つこと。2つめはその主観を実体化させるために行動を起こすこと。3つめは、行動のプロセスにおいて常に人の心をつかんでいくことです。

この3つを実行するためのメンタリティやスキルや経験が経営者には問われてくるのだと私は考えます。経営の仕事をするために覚えなければいけない知識やスキルは無数にありますが、まずは強いリーダーにならなければいけない。最近は特にそう思っています。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

前の質問への回答のつづきになりますが、やはり「自分で何でもできるようになる」ことよりも「人の心をつかみ取り、多くの人からサポートしてもらえるリーダーになる」ことが経営者になる道なのだと、最近特に強く感じています。

社内にどんな素晴らしい人がいるのかを知り、彼らの心をつかむことができれば、この会社を良くすることはできます。私がスーパーでマルチなスキルや知識や資質を持っていなくても、経営の仕事で結果を出すことが可能になります。社内ばかりでなく、社外にもネットワークを持ち、そこで出会う素晴らしい人たちの心をつかむ。そうすれば、さらに経営の仕事に追い風が吹きます。

多くの人と出会ってきたことが私の強みになっている、という話を先に申し上げましたが、これから先、私が経営者として成長していく上でも、さらに多くの人と出会い、その人たちから信頼を得ていくことが重要なのだと考えています。

ですから、これから経営者を目指そうという人も、ビジネススキルなどの習得ばかりでなく、「どうすれば人の心をつかむことができるのか」というテーマを持ってくれたらいいな、と思っています。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

主にマザーハウスでの得た経験と、ミニット・アジア・パシフィックに入社してから得た経験で、私は多くのことを学んだと思っています。それ以外にどこで学んだのかと言われたなら、読書の習慣だと答えます。勉強をしなかった私も大学に入ってからは次々と多様なジャンルの本に手を出し、読んで学ぶことの面白さを体感してきました。

「経営者になるために有効な読書」という風に考えてしまうと、ビジネス書ばかりを想定しがちだと思いますが、私は今もなおいろいろなジャンルの本を読んでいますし、そのすべてが経営に役立っていると断言できます。

たとえば心理学の本であったり、社会学の本であったり、直接ビジネスのことを書いていない本の中にも教訓はたくさん収められています。ビジネススキルや経営知識の習得のための本ばかりでなく、多様な世界を本を通じて知っていくことは、たとえば「人の心をつかむ」力の育成にもつながるわけです。

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