杉江 陸 氏

［14］今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか？

私にとって、小学校時代の井上先生は特別な存在ですが、それとは別に、誰か特定の人から影響をうけているかというと、それはちょっと難しい質問です。これまでに影響を受けた人は本当にたくさんいます。目上の人ばかりでなく、チームのメンバーであったり、仕事以外の場での仲間であったり、友人であったり。ですから誰か一人とか数人に絞ることは不可能です。

［15］キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか？

それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか？

運や偶然は理由のあるところに降ってくるものだと考えています。努力の量だったり、心や頭を動かした数だったり、そういうものが高まった場合に、運や偶然を連れてきてくれることがある。私はそう思います。

［16］なぜ起業ではなかったのでしょうか？

起業をすることも、既にそこにある企業で経営変革を行うことも、社会の幸福度や生産性を大きく変える手段であることに変わりはないと思います。ただ、どちらの打率が高いかというと、私は後者だと確信しているので、起業しようと考えたことはないのだと思います。

［17］特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか？

井上先生に言われた「一歩前へ」は忘れたことのない言葉ですが、座右の銘にするような信条を持ち歩いてはいません。しいて挙げるならば「神様は必ず見ている」でしょうか。自分の運命には必ず必然があって、理由のない幸運も試練もないと日々感じます。

［18］経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか？

社長が一人でできることなんて、しれたものです。会社とはそもそも「皆で協力し合って幸せになろうよ」という場。それが真実だと思っています。ですから、ここにいる仲間にたくさんのやりがいと、たくさんの報酬を用意することが、私の成すべきことだと思っています。

［19］現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか？

自分自身がどう思われるか、については考えたこともないです。先ほども言った通り、私も一人の社員として幸せにならねばならないし、皆が今以上に幸せを感じていてくれたら、気持ち良く今のポジションを去ることができます。

社会に対しては、コンシューマー・ファイナンスへの理解が多くの人の間で深まってくれたら嬉しいですね。私自身、かつては消費者金融を高利貸しとしか見ておらず、その価値を理解できていませんでした。今なおマイナスなイメージを抱いている人もいますから、そうした皆さんも含め、より多くの方が当社のサービスを通じて、少しでも幸せになっていただけるようになれば、この仕事をやった甲斐があったと思えるのではないでしょうか。

［20］20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

リスクをとらない。何も変えない。世界と勝負をするどころか、パワーゲームと保身と妥協と言い訳で毎日をやり過ごす...そんな経営が今でも世の中にはあります。こんな経営がはびこれば、次世代の意欲も蝕み、全員がぶら下がるだけの組織になってしまう。そのような環境に戸惑い、途方に暮れている人は少なくないでしょう。しかし、どんな環境にいても、一人ひとりが「一歩前へ」です。

「昨日とは違う今日」、「今日とは違う明日」を目指して挑戦し、粘り強く努力し、チャンスを見つけたら必ず取りに行く積極性を発揮する。そうすれば必ず変わります。状況もあなたも確実に変わる。私自身もまだ青二才ですが、一緒に「一歩前へ」と進んでいきましょう。