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プロ経営者インタビュー

加藤 智治 氏

[2]現在のご自身の役割について教えてください

私がユニゾンの人間としてここに来てからは、変革の第1フェイズとしてスシロー本社のポテンシャル向上に力点を置きました。もともとスシローの各店舗は自立性が高く、実績は上がっていたのですが、当時はかんじんの本社機能がうまく連動できていませんでした。大手外食チェーンによるM&A攻勢などもあって揺れていた経営状況を建て直し、なおかつ現場の強みをさらに加速できる体制を整える。そのために外部のコンサルティング企業などからプロフェッショナルな人材を招聘するとともに、店舗で結果を出していた優秀な内部人材も本社へと招き入れて組織の再構築を実施しました。そうして今は変革の第2フェイズに入っています。

土台となる本社の強化が進んだわけですから、今度は店舗の競争力に拍車をかけていく。私は「いい意味でのイタチゴッコ」と呼んだりしています。本社と店舗が互いに競い合うことで、ともに強くなっていく。本社が強くなったのだから、今度は店舗です。

具体的には、これまで複数のチームに分かれていた営業部門を統合し、プロフィットセンターとなって全社全店舗の収益向上をドライブしていく体制にしました。私の役割はこのプロフィットセンターの旗振り役です。もともと持っていた各店舗の営業上の強みを、さらに統合化したプロフィットセンターが加速させていく。そうした組織ぐるみの成長の連鎖によって売上高2千億円を目指しているところです。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

正直なところ、あまりパッとしない子どもだったと思います(笑)。まあまあ成績は良かったようですし、リレーの選手をやったりもしましたから、後々、文武両道を目指していく下地はあったと思いますが、特に何か際立った子どもではなかったと思います。中学からは私立に通いましたから、勉強もそれまでよりするようになりましたし、公立中学にはあまりないラグビー部があったおかげで、高校に至るまでラグビーに熱を上げていくことになりました。

[4]高校、大学時代はいかがですか?

リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

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高校のラグビー部では副キャプテンをやりました。大学からはアメリカンフットボール部に入り、ここでもポジション・リーダーという役目をしました。ただ、ではそうしたリーダー体験がその後のリーダーシップの芽生えになったのかと問われたら、「違う」と答えます。

当時はやはり1人のプレーヤーとして実力を上げたい、という意欲が圧倒的でした。この頃の私に根づいたのは「文武両道で生きていこう」という人生観。その結果、社会人となっても文武両道の精神でフットボールを続けました。所属していたのは社会人チームのシルバースターです。フットボールを多少ご存じのかたなら知っていると思いますが、日本一に何度も輝いたことのある名門チームです。

私も日本一を決定する試合であるライスボウルに出場したことが今でも自慢のタネになっているのですが、このシルバースターでキャプテンを務めていた佐々木康元さんには大いに影響を受けました。ワールドカップで優勝した日本代表チームのキャプテンもしていた凄いかたです。もちろんプレーヤーとしての実力もけた外れでしたが、このかたがチーム内で示していたキャプテンシーの数々を間近で見れたことは、非常に価値ある経験となりました。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

いません。

[6]ご自身の性格について教えてください。

もともとの性格は「真面目だけれども自分勝手」だったはずです(笑)。それが社会に出てから、いろいろ揉まれて変わっていったと思っています。自分の意見、意志は常に明確に持っているけれども、それを振り回すのではなく、うまく周りに伝えられるように多少はなったのではないか、と(笑)。それから、これは性格とはちょっと違うかもしれませんが、フィールズ時代の経験のおかげで、かなり打たれ強いメンタリティは手に入れました。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

大学を出てすぐです。ドイチェ証券で社会に触れ、ビジネスに触れた結果、自分はカネの経済ではなく、モノの経済で経営者になろう、と決めました。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

「引っぱっていくぞ」という強力な意志を持つこと。それを行動で示すこと。メンタリティで最も必要なのがこれです。

実は、今も時々コンサルティングの仕事をしているようなかたがたから質問をされるんです。「経営って何なのでしょう?」と。私が必ず言っているのは「経営企画と経営はまったくの別物だよ」です。マッキンゼーでコンサルタントになりたての頃の私もそうだったかもしれませんが、とかくコンサルタントというのは経営企画あるいは経営分析という窓から会社を見ます。何が問題点なのか、どう解決すべきなのか、という正論を窓の向こうから提示します。

ところが実行者である経営者は窓から覗いただけでは見えない色々なものに囲まれています。理不尽な現実に包囲されています。正しいことだけロジカルに説明しても、人は動かないし、組織も変わらないし、そうなれば経営は成立しない。だから「何が何でも引っぱってやる。理屈じゃない」という意志を表すことが大切になる。

私のように外様の立場で入ってくるプロ経営者だった場合は「愛社心」というものも不可欠になります。よそから急にやって来た人間が、ただ「引っぱるぞ」と叫んでも、中にずっといた人たちの気持ちは動きません。「あんたはこの会社をどう思ってるの? 銭儲けのためだけに来たんじゃないの?」という目線で見られるのです。だからこそ、10年いる人、20年いる人にも響くぐらいの愛社心を持たなければ輪に加えてもらえません。

「入ったばかりの会社で、ベテラン社員並みの愛社精神を示すなんてことは無理」と思う人がいるかもしれませんが、無理なんかじゃありません。むしろ、アウトサイダーだからこそ見えるもの、語れる話、注げる愛情というのがある。

私はスシローに来てすぐに社員の皆さんといろいろな話をしました。その1つが「寿司って凄いんだ」という話です。トヨタにせよソニーにせよ、日本で生まれた会社が今や世界的なブランドとして定着している。それは実に凄いことだけれども、自動車もテレビも、そもそもは外国の会社が先に作ったもの。じゃあ、純粋に日本オリジナルで世界ブランドになったものは何かと考えたら、寿司と柔道ぐらいしかないんじゃないか。

たしかに外国では「そんなの寿司じゃないよ」という変なものまで「Sushi」と呼んでいたりするけれども、とにかく日本を象徴する数少ないグローバル・ブランドが寿司なんだ、という話を社員の皆にしました。そのうえで私がいかに外食産業というものを尊敬しているかについても話しました。

通常、ビジネスは製造業と流通業とに分離していて、役割も機能も分かれているのに、外食産業は違う。自ら作って、それを売り、サービスを提供する。大昔から当然のように製造も流通も自分たちでやっている。作る喜びもお客様に手渡す喜びも味わえる素晴らしい仕事。しかもそんな外食産業の中で世界中から日本を代表するものとしてリスペクトされているのが寿司であり、和食の4番バッターとして君臨している。

......こうした話は、あくまでも一例ですが、寿司業界の中にずっといた人が案外気づいていないものとして、皆がポジティブに受け止めてくれました。自分たちの仕事の「凄さ」や「面白さ」を再認識できた、と感じてもらえました。ずっとここにいた人と変わらない愛社心を持っていること、だからこそここに来たのだということ、そして皆と一緒にこの会社を強くしたいと念願していることをきちんと伝える。そして「引っぱっていくぞ」の強固な意志を行動によって示していくことが重要だと思います。

スキルについては、いろいろなものが必要になってくると思いますが、特に私が意識しているのは構想力とストーリーテリング能力です。メンタルの話にも通じることですが、経営者とは「人に動いてもらう」のが仕事です。では、どう関わっていけば人は動くのか。1つは皆の関心とやる気を刺激する構想を組み立てていく力。もう1つがそうしたものを効果的に伝えていく力。

後者で重要なのが、魅力的なストーリーテラーになれるか否かなんです。仕事の話をするわけですし、やって欲しい事柄があって伝えるのだから、誰が聞いても意味を理解できるようにロジカルに話をまとめる必要はあります。ただし、単に理路整然と必要な情報だけを並べても伝わる相手とそうじゃない相手が出てきます。それに、そもそも仕事上やって欲しいこと、その必要事項だけを淡々と語っても、相手のやる気までは引き出せません。可能な限り「気持ち良く、前向きな気分で理解してもらう」のが優秀な経営者に必要なスキルだと思うのです。

ロジカルでありながら、簡潔で、それでいて面白い話をする人間になる。誰にでも理解できるたとえ話を挿入することもあれば、皆の関心を引くようなエピソードを交えることもあります。やり方はケース・バイ・ケースになるけれども、このストーリーテリングが上手にできるかどうかで、成果もまた違ってくると私は考えています。

経験については、とにかく多様なことを身をもって体験すべきだと思っています。私もこれまでにたくさんの経営者のかたがたとお会いしてきましたが、素晴らしい経営を実現されているかたは皆、苦労や失敗の経験をたくさん持っていました。もちろん成功体験にも価値はあるのですが、自分の中に挫折経験を持っている経営者は強い、と思います。

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