最終契約を締結してクロージングを迎えると、対象会社の経営に参画して対象会社のバリューアップに努めることになります。投資実行時からExit時までの期間におけるファンドの投資先担当チームの投資先への関与度を示すと図1のようになります。理想的には投資後100日を境に経営関与度が徐々に減少していく形となります。
[図1]投資担当チームの経営関与度
投資後100日まで経営関与度が高いのは、コラム「エグゼキューションフェーズにおける具体的な仕事内容 3 (DA締結からクロージング)」に書いたように、投資委員会(IC)で説明する投資シナリオの中で策定した、投資後100日プランを実行しているからです。100日プランの内容は、対象会社ごとに異なりますが、必ず含まれるアクションとしてはDDでの発見されたネガティブな事象への対応です。投資後100日までは、投資先を訪問する回数は多く、若手が投資先に常駐しているファンドもあります。
100日プランで策定したアクションが完了し、投資シナリオ通りに進捗していると、基本的にはシニアメンバーの投資先への関与度が下がり、若手が中心となって投資先のモニタリングすることになります。逆に投資シナリオ通りに進捗していない場合は、投資担当チームの経営関与の度合いが高いままになってしまいます(ですので、図1は理想的としています)。
実際、投資をしてみて思うこととしては、投資してみないと対象会社のことを正確には理解できないということです。投資前に取得できる情報は、DDを丁寧に行ったとしても限定的になってしまいますので、投資後に把握する情報量が圧倒的に多いです。ですので、実務的には、投資後に取得した情報を踏まえ、投資先の株式価値をより向上させる投資シナリオに修正しながら、アップサイドを狙っているのが現状です。