こんにちは。キャリアインキュベーションの山口です。
日本のPEファンド業界は、国内外の投資家からの関心の高まりを背景に、引き続き活発な動きを見せています。2024年においては、メガディールは減少しましたが、取引件数は増加傾向にあります。特に、消費財、テクノロジー・メディア・通信(TMT)、ヘルスケア、ビジネスサービスなどのセクターで中小規模の案件が増加しています。
さて、今回はそんなPE業界を目指す方向けに、直近1年間(2024年4月-2025年3月)の新規就業者のリサーチ結果をお伝えしたいと思います。
外資系PEファンドの新規採用者(アナリスト~シニアアソシエイト)19名、日系PEファンドの新規採用者(アナリスト~ヴァイスプレジデント)53名の計72名に関して、公表されている情報を基に弊社が独自に数値をまとめました。
タイトルは、各ファンドや社会人歴によりアナリスト~ヴァイスプレジデントの間で異なりますが、PE投資担当者の若手採用枠におけるリサーチとご理解いただけますと幸いです。
今回は、経歴、学歴の切り口で数字をまとめております。
経歴は、前職の経歴を対象(※1)に集計、学歴は東京大学、京都大学、国公立大学(※2)、慶應義塾大学、早稲田大学、私立大学(※3)、海外大学、出身大学不明に分類し、集計を行っております。
外資系PEファンド新規採用者に関するデータ
経歴
新規採用者のバックグラウンドを細かくカテゴリー分けしたところ下記のような結果となりました。
外資系戦略コンサルが最多、外資系投資銀行が次に多い結果となりました。事業会社については、前職にて外資系M&Aアドバイザリーファームを経た方、総合商社については、MBA採用の方でした。引き続き戦略コンサルティングまたはM&Aアドバイザリーの経験者を対象にした採用が大半でした。前回に比べ、幾つかの特定のファンドで採用人数が増加しており、全体の採用人数が増加していました。
尚、女性の人数は19名中2名でした。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
東大、早慶、国公立、海外大学のみでした。MBA保有者は4名で、これまで同様に、中途採用においてはMBA取得が必須ではないようです。
日系PEファンド新規採用者に関するデータ
経歴
バックグラウンドの内訳は下記の通りです。
まず、前回と同様に、バックグラウンドが多様になっています。しかしながら、投資、FA経験者という分類(日系証券の投資銀行部門、外資系投資銀行、日系M&Aアドバイザリーファーム、外資系M&Aアドバイザリーファーム、FAS、PEファンド経験者)でみると、全体の約47%、コンサル経験者という分類(総合系コンサル、外資系戦略コンサル)でみると全体の約21%を占めているという結果であり、前回と大きな変化は見られませんでした。
尚、これまで同様に、総合系コンサルはM&Aに係る戦略PJの経験者、FAS・日系証券の投資銀行部門は、M&Aアドバイザリーの経験者が殆どでした。
上記の分類以外の、その他ファンド、事業会社、その他金融、銀行・信託銀行はM&Aアドバイザリー/コンサル経験者以外にはVCやLBOファイナンスの経験者等、周辺領域にストレッチしたバックグラウンドでした。総合商社は事業投資の経験者でした。
尚、女性の人数は53名中2名と前回より減少し、2名とも関連会社からの出向ではなく中途採用者でした。引き続きかなり少数に留まっているようです。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
全体の62%が東大、京大、国公立、早慶でした。MBA保有者は3名で、経験としては商社、スタートアップ、FASの経験者でした。
以上、ここまで外資系および日系PEファンド在籍者の経歴・学歴をお伝えさせていただきました。
マーケットとしては、2025年5月現在、弊社PEファンドクライアント100社のうち68社が若手投資担当を募集中で、求人数は微増が続いています。
直近1年の採用実績としても前回同様に、外資PEファンドは外資系投資銀行、外資系戦略ファームがメインターゲットとなっているようではありますが、それ以外のバックグラウンドにも広げて採用している傾向が見て取れました。また、日系PEファンドは、前回同様にPEファンド自体の数が増加し採用マーケットにおける競争が激しくなってきていることを背景に、引き続き外資系PEファンドに比べると若干ターゲットが広がってきている印象です。ある特定の企業からの採用というよりはM&Aに関連する経験に注目し、個々人のスキルや経験を総合的に見られているのかもしれません。
採用ターゲットのバックグラウンド多様化、求人数も増加傾向とPEファンドを目指す方には追い風があるものの、選考において求められる期待値は緩和されてはおらず、これまで通り、財務モデリングやケース面接等の選考準備が重要です。弊社では、選考対策コンテンツのご提供が可能ですので、もしPEファンド転職にご関心がございましたら、是非ご相談ください。
(業界全体を集計した経歴・学歴データはこちら)
※当社WEBサイトで公開しているプライベートエクイティ業界ショートレポートはPE各社のHP等の公表情報をもとに作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
※1)直近の職歴のみで分類。例えば投資銀行、戦略コンサル、PEファンドという経歴の方であれば、バックグラウンドは戦略コンサルに分類。
(※2)東京大学、京都大学を除く、国公立大学
(※3)慶應義塾大学、早稲田大学を除く私立大学
(※4)政府系ファンド出身者も含む
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