こんにちは。キャリアインキュベーションの山口です。
コロナ禍でもPE業界は採用を止めず、継続して選考を行っております。一時は採用も全て止まってしまうのではないかと心配になりましたが、やはりPEのビジネスモデルは、短期の景気変動には強く、大勢に影響はありませんでした。
また、投資案件も引き続き積極的に検討を進めているようです。Withコロナ、Afterコロナの世界を見極め、投資の意思決定をしていく。また、必要な企業、業界にリスクマネーを提供していく、まさにPEの真価を発揮する場面だと思います。
さて今回は、2016年にPEファンドに就業中の方々に関するデータを配信いたしましたが、今一度データ分量を増やし、最新のリサーチ結果をお伝えさせていただきたいと思います。
今回は、外資系PEファンドに在籍されているフロントメンバー143名、日系PEファンドに在籍されているフロントメンバー451名の計594名に関して、公表されている情報を基に弊社が独自に数値をまとめました。
今回はタイトル別の在籍人数、経歴、学歴の切り口で数字をまとめております。
タイトルは各ファンドによって呼び名が異なりますので、アソシエイト、VP、ディレクター、MDの4階層に弊社独自に分類し、集計を行いました。経歴は、前職の経歴を対象(※1)に集計、学歴は東京大学、京都大学、旧帝大(※2)、国公立大学(※3)、慶應義塾大学、早稲田大学、私立大学(※4)、海外大学、その他又は出身大学不明に分類し、集計を行っております。
外資系PEファンド在籍者に関するデータ
タイトル別の在籍人数
全体143名のタイトル内訳は下記の通りです。
中堅層が少なく、シニアとジュニアが多い構図が浮き彫りなりました。業界全体としては、アソシエイト採用が7割から8割で、そのうちのかなりの割合が、VP昇進前あるいはVPの段階で業界を去っています。日系PEに移るケースも勿論ありますが、ベンチャー企業のCxOをはじめとした、事業会社へ移っていくケースが多い印象です。
経歴
在籍者のバックグラウンドを細かくカテゴリー分けしたところ下記のような結果となりました。(※入社直近の経験をカウント)
やはり外資系投資銀行、外資系戦略コンサルが多く、この2つの出身者で過半数(約55%)を占める結果となりました。これにPEファンド出身者を加えると全体の約78%となります。この、PEファンド出身者の前職を遡って見ていくと、その殆どの方々が外資系投資銀行、外資系戦略コンサルで経験を積んだ方で、同業での経験又は未経験であれば、外資系投資銀行、外資系戦略コンサル出身者が圧倒的に多い事がわかります。尚、PEファンド間の転職は、「外資PEから外資PE」も「日系PEから外資PE」のどちらも事例がありました。
また、各ファンドのヘッドは、同業他社からの移籍が多く見られます。近年ですと、CVCの赤池氏(元アドバンテッジパートナーズ)、ペルミラの藤井氏(元KKR)、ブラックストーン坂本氏(元ベインキャピタル)等、少し前の事例ですとCLSA清塚氏(元カーライル)、CITIC中野氏(元産業再生機構、アドバンテッジパートナーズ)が挙げられます。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
東京大学48名(全体の約33%)、慶應義塾大学32名(全体の約22%)が多く、意外に海外大学卒は23名と全体の約16%にとどまりました。MBAホルダーは全体で45名(約31%)、そのすべての方々が海外のMBAとなっております。よく候補者の方から、海外MBAが必須かという質問を頂きますが、このデータを見る限り、必須の要件ではなさそうです。ただ、昇進にあたりMBAを推奨しているファームはあります。
日系PEファンド在籍者に関するデータ
タイトル別の在籍人数
451名のタイトル別の内訳は下記の通りになりました。
やはり日系PEもMDは層として厚く、全体に対するMD比率は約36%(外資系は約29%)でした。ただ、外資系PEとは異なり、中堅層も比較的厚めに在籍しており、アソシエイト、VP、ディレクターに関しては概ね同等の在籍人数となっています。
経歴
バックグラウンドの内訳は下記の通りです。(※入社直近の経験をカウント)
外資系PEファンドと比較すると、多様なバックグラウンドの方が在籍していることが読み取れます。PEファンド出身者が102名(約22%)で一番多いのですが、詳細をみると転職ではなく、同業からのスピンアウトが多くを占めております。PE業界で一定の経験を積んだ方々が、独立するという流れが見て取れました。
意外だったのが、事業会社出身者が多いという点です。ただ、これも詳細を見ていくと、事業会社出身者の51名中17名はオペレーションの専任ポジションの方でした。このオペレーションの専任ポジションの方々を除いた、34名の詳細を見ていくと、戦略をはじめとするコンサル経験がある方が10名、PE経験がある方が8名、IBやFASの経験がある方が6名、事業会社のみの経験が10名となっております。
殆どの方が何かしら投資・M&Aに関与している経験をお持ちで、全く、そういった経験が無い方はレアなケースと言えます。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
その他又は出身大学不明のカテゴリーを除くと、慶應義塾大学が78名(全体の約17%)で最多でした。MBAホルダーは全体で66名(全体の約14%)、国内MBAが10名、海外MBAが56名となっております。
以上、ここまで外資系および日系PEファンド在籍者の経歴・学歴をお伝えさせていただきました。業界全体の傾向がありますので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
なお、PEファンドは非常に狭き門で、選考ハードルも高い業界です。選考通過には、業界を良く知るエージェントと付き合う事も重要です。弊社は、毎年コンスタントに外資系PEファンドへの転職をサポートしております。ご関心がある方がいらっしゃいましたら、是非ご相談ください。
(アソシエイトにフォーカスした経歴・学歴データは近日公開予定です)
(山口)
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