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インテグラル株式会社

2007年設立のインテグラルは、「ハイブリッド投資」「i-Engine機能」といった独自の姿勢・機能を世に示し、多大な成果を上げてきた。
「日本型投資モデルの創造」を目指すこのプロフェッショナル集団は、日本においていよいよ本格化しそうなPE活用の潮流をどう見ているのか?そしてその最先端でどのような結果と形、数字と中身を築き上げようとしているのだろう?

山本 礼二郎 氏
代表取締役パートナー
日本初の投資事案や日本最大の非公開化案件など、数々のランドマークを打ち立ててきた佐山展生氏、山本礼二郎氏によって設立されたのがインテグラル。
欧米型モデルの焼き直しではなく、真に日本のビジネスにフィットした投資モデルを追い求めた結果、さらなるランドマークを構築しながら成長を遂げているが、「本当の意味で日本が変化するのはこれから」だと説く山本氏。
そこで話を聞いてみた。今インテグラルは何を目指しているのか? 今後どのように日本を変え、自らの組織を成長させていくのか?
浸透と定着が進む日本の投資市場だが、規模はまだ欧米の5分の1以下。
見方を変えれば、今の5倍以上に膨らむ可能性が日本にはある

かつてユニゾン・キャピタルやGCA(現GCAサヴィアン)で、次々に「日本初」や「日本最大」といった形容詞が付くような実績を上げてきた山本氏に、現在の日本の状況を聞くと、興味深い答えが返ってきた。

【山本】「私はかなり長い期間にわたり、この世界に携わってきた人間ですが、ようやくPEやM&Aを通じたバイアウト投資というものが日本で定着してきたように感じています。『日本初の......』と呼ばれるような事例を最近ではあまり見かけなくなっていますが、それくらい投資事案そのものが増え、手法等も浸透してきた証なのだと捉えています」

ただし、その「定着」「浸透」ぶりの水準は、欧米に比べれば「まだまだ」なのだと山本氏。「総投資額をGDP比で計れば、欧米は日本の5〜10倍の水準で上を行っている」とのこと。

【山本】「それでも私はポジティブに受けとめています。今あるこの差は、将来への可能性を示してもいるわけで、日本の市場が今後、欧米並みに育っていけば、5〜10倍の規模にまで膨らむ。それくらい可能性も増大していくはずなんです」

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さらに細かな傾向を尋ねると、山本氏は数年前から事例を増やしている事業承継市場の活性化を挙げた。

【山本】「かつてはPEファンドの存在などに対し、アレルギー的な反応を示しているところもあったのですが、最近はようやくそうしたイメージも変わり、投資やM&Aの機会も規模も膨らんでいます。現状のお話だけをするならば、今は事業承継市場がとりわけ活発に動いているといえます。

一方、現状はさほど大きな動きになっていないのですが、近い将来動き始めそうな領域として注目しているのが大企業による事業再構築の潮流です。

強みとする事業はより強くしつつ、他社との連携や統合を選択することで強化できそうな事業があれば、例えばM&Aという手法を選択してチャレンジしていく。あるいは系列という枠組みの中にいた企業がMBOなどで独立を果たし、より大きなビジネスチャンスを獲りに行こうとする。以上のような動きが今よりもっと活発になれば、M&Aやそれに関わる投資が日本でもさらに増大していくのではないかと考えています」

「日本型投資モデル」の確立を追い求めてたどりついたのが
「ハイブリッド投資」と「i-Engine」

「インテグラル」は、数学では「積分」を意味し、「積み重ね」という意味合いも持つ。その言葉を社名として冠し、2007年に設立した山本氏は、インテグラルを「日本型投資モデルを創造するための集団」だという。欧米とは明らかに異なる企業風土を持つ日本で、最も有効に機能し、企業活動への貢献を最大化する投資モデルとはいかなるものなのか?......この命題に対して、インテグラルが一貫して提示し続けている解の1つがハイブリッド投資。

【山本】「何と何とのハイブリッドなのかといえば、ファンド投資とプリンシパル投資のハイブリッド。10年間という期限が設定されているファンド資金だけでなく、我々が自らの資金も投じて企業活動を支援していく。インテグラルは設立当初からこの手法を貫いています。なぜそうするのかといえば、『本当に一緒に考え、一緒に責任を背負って、成果を追いかけていきますよ』という姿勢を明確に示す必要があるからです。

『お金を入れるだけで、あとは何もしない。リスクも負わない』という、日本でのファンドに対するイメージを払拭しなければ、投資という活性化の手法は広がっていきませんし、本来力を持っている企業が成長していく機会を活かしていくことも難しくなってしまう。だからこそ、この姿勢をずっと続けてきましたし、おかげで他のファンドとは一線を画した存在として、少しずつ企業の皆さんに認知してもらえるようになった。そう自負しています」

「我々もともに闘います」という姿勢を示す手法は、ハイブリッド投資だけではない。インテグラルの独自性を語る上で不可欠な要素のもう1つがi-Engine機能だ。

【山本】「必ずどの案件でも実施しているわけではありませんが、投資先企業が望んでくださるのであれば、私たちはお金だけでなく、ヒトも派遣していきます。その企業を元気にする上で、必要な局面、必要な場に、インテグラルの社員自身が入り込み、社員の皆さんと一緒に活動をしていく。これがi-Engine機能です。

『ファンドというのは、あちこちからお金をかき集めて投資し、その後の経営についても、あちこちからヒトをかき集めて送り込む。結局自分たちは何もしない』という印象を変えるには、私たち自身が入っていくしかありません」

こう語った山本氏だが、もちろんファンドに対する印象を変えるばかりが理由ではないようだ。投資先の経営を第一に考えれば、正しいタイミングで、正しい場に、正しいスキルを持った人を投じていくのがベストだが、現実的に考えれば、そうそう簡単に実現できるわけではない。また、インテグラルに在籍するメンバーは多様なバックボーンを持っているものの、その企業が必要とするスキルや知見をいつでも完璧に持っているとも限らない。しかしそれでも「私たちが入っていくことで少しでもお役に立てるなら、喜んで入っていく」のだという。

【山本】「最適な人材が揃うまでの一定期間をつなぐだけになるかもしれません。それでも貢献をしたいから入っていくんです。結果として4年もの間、投資先企業に行ったきり、という状態になった社員もいます。インテグラルはまだまだ人員規模も大きくありませんから、私としてもどうかとは思うんですが(笑)、多くの社員が投資先に入り込んでしまい、当社のオフィスに人があまりいない状態というのも珍しくないんですよ」

資金と人員の両面で、ここまで投資先企業に自らを差し出しているPEファンドは、他に例を見ない。設立から10年足らずの内に13の企業への投資を実行したインテグラルだが、その姿勢の独自性や、結果として導き出した成果のほどは、口コミとなって急速に広まっていった。

【山本】「『どうやらインテグラルというところは、他のPEとは違うようだぞ』、『コミットのしかたが違うぞ』という評判を、投資先企業や関係者だけでなく多方面からいただくようになりました。おかげで今、確かな手応えを目に見える形で感じています。決して楽なスタイルではありません。たいへん泥臭い面も抱えているのが私たちではあるのですが、その積み重ね、つまり『インテグラル』で、日本の風土を変え、他国にはないモデルとして定着させる。それが可能なのだということを確信しているんです」

1つの信用獲得が新たな信用作りへ進展する相乗効果。
日本型投資モデルの積分(インテグラル)がいよいよ動き出す

ハイブリッド投資とi-Engineで、自らの資金とヒトとを投入し、投資先企業とともに成功を目指すインテグラル。それだけに、山本氏の言葉を待つまでもなく、他社よりもはるかにヒトの価値が問われるであろうことが容易に想像できる。では、どのような人材がインテグラルで輝くのか?

【山本】「ストレートに、ヒトとしての魅力そのものに私たちはこだわっています。もちろん必須となるスキルや知識はあります。投資銀行やコンサルティングファーム、事業会社でM&Aや投資関連に携わった者などが在籍していることからもわかるように、マネーや経営を把握し、理解できる下地は持っていてほしいのですが、インテグラルが関与する案件において何が最も重要かといえば『チャーミングなヒトか否か』なんです。

バイアウト投資やM&Aの現場に、きれいごとはありません。投資先へ出向き、先方に耳の痛くなるようなことを言わなければいけない局面が次々とやってきます。しかも、そういう立場でありながら、同時に先方のかたたちと一緒に働いたりもします。そこで大切なのは『辛辣なことを言ってきたりはするけれども、この人が言うことならば信用できる。一緒にやってみよう』と思っていただくこと。結局、ヒトとして認められるかどうかなんです」

実際にどのような人が活躍しているのか尋ねてみると、山本氏は笑いながらこう答える。

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【山本】「面白いことに、一通りじゃあないんですよ。皆それぞれタイプが違う。笑わせ型もいれば、コワモテ型もいるし、抱きつき型もいる(笑)。そこは何だって良いと思っています。その人がもともと持っているパーソナリティやキャラクターにハマっていて、なおかつそれがチャーミングならば、周囲の人の気持ちは動きます。

今後も地道に、着実に成長していこうと考えていますので、年間5〜7人程度増えていってくれたら良いな、と思っているのですが、私が面接をする時はそのかたの人柄やチャームに集中して見させてもらうつもりです。一定のスキル・知見・経験値を持ち、日々一所懸命に勉強する姿勢を持ち、なおかつ、にじみ出るような人間的魅力を備えたかたであれば、大歓迎です」

現在の日本で最も投資ニーズがあるのは中堅企業だと言い切る山本氏は、今後もそこに注力していくという。そのうえで、年に1〜2回ほど大規模な投資案件をまとめられれば理想的とのこと。PEの活用が定着し始めた日本とはいえ、自社の将来については「ジャンプするような急激な成長は望んでいない。むしろ、じわじわと結果を出しながら大きくなるほうが良い」と言い切る。だからこそ、人材についても数ではなく継続性を伴う質、つまり人間的魅力の有無にこだわるというわけだ。

【山本】「じっくりと向き合ってきたからこその相乗効果も、ここへきて表に出始めています。例えば2009年に投資を実行したヨウジヤマモトでの成果を評価していただけたこともあって、イトキンの投資案件へとつながりましたし、私たちとしても培った経験則を活かそうとしています。

また、2010〜2013年に投資を実行したティー・ワイ・オーは広告の企画制作を行う会社なのですが、その後2015年にインテグラルがスカイマークへの投資を決めると、同社のPR面のオペレーションに積極的に関わってくれました。このように1つの案件で得た信用が、他の案件での信用作りにおいて追い風になり、複数のベクトルが融合してプラスの循環へとつながっていく。まさに積分、『インテグラル』な現象が起こり始めているんです。

あえて好んで青臭い思想のもと、泥臭い仕事のやり方にこだわっているインテグラルですが、そうしてきたからこそ、私たちにしか生み出せない相乗効果が生まれ始めている。私はこれを誇りに思いますし、そんな会社だからこそ、ヒトが唯一最大の武器なのだということを再認識してもいます。共感してくださるかたがいれば、是非ドアをたたいてほしい。そう願っています」


ディレクター 早瀬 真紀子 氏 インタビューへ続く

プロフィール

写真:山本 礼二郎 氏

山本 礼二郎 氏
代表取締役パートナー
一橋大学経済学部卒業 ペンシルベニア大学ウォートン校MBA ローダー・インスティテュート MA

大学卒業後、三井銀行(現 三井住友銀行)入行。ロンドン駐在中の1990年代に企業買収、MBO、LBOファイナンスを多数手懸け、帰国後は幅広い業種を対象にクロスボーダーM&Aを担った。2000年、ユニゾン・キャピタルに参画するとPE分野における日本の草分けとしてバイアウト・ファンドを成功させ、東ハト、マインマート等への投資に携わる一方で、数々の日本初のスキームにもプリンシパルとして設計・実行に当たった。2004年、佐山展生氏(現インテグラル代表取締役)とともにGCA(現GCAサヴィアン)を設立、取締役パートナーに就任すると、2005年には過去最大のMBO案件であるワールドのMBO非公開化をストラクチャリング。その後、メザニン代表取締役就任を経て、2007年にインテグラルを設立。主な著書に『バイアウト』(共著、日本経済新聞出版社)がある。これまでに神戸大学大学院経営学研究科(MBAスクール)客員教授等経営大学院講師を歴任。

プロフィール

写真:早瀬 真紀子 氏

早瀬 真紀子 氏
ディレクター
東京大学法学部卒業 ハーバード大学 MBA

大学卒業後、さくら銀行(現 三井住友銀行)入行。同行企業情報部および大和証券SMBC企業提携部にて、クロスボーダーM&Aのアドバイザリー業務に従事。主に重機およびハイテク業界の国内外クライアントの子会社売却や、事業部買収、会社再生などに携わった。その後、ハーバード大学ビジネススクールへ留学し、MBAを取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに参画。日本および米国オフィスにて、主に消費財、金融、ハイテク、自動車業界の戦略コンサルティング業務を担った後、2007年12月にインテグラル入社。

プロフィール

写真:愛場 啓介 氏

愛場 啓介 氏
アソシエイト
ミシガン大学経済学部卒業

大学卒業後、クレディ・スイス証券入社。M&Aや資金調達等の投資銀行業務に従事した後、2012年よりラザードフレール。運輸、自動車、産業機械、テクノロジー等の業界を対象に、クロスボーダーM&A案件等でアドバイザリー業務を展開。2015年8月、インテグラルに参画した。

写真:久保 雅継 氏

久保 雅継 氏
アナリスト
京都大学工学部卒業

大学卒業後、J.P.モルガンに入社し、投資銀行業務に従事。バイオ医薬品、飲食料品、通信、海運等のセクターにて、M&A及びファイナンシングに係るアドバイザリー業務を担当。顧客企業の最適資本構成や格付けに係る財務アドバイスを通じ、財務課題のソリューション提案を実施。2014年7月、インテグラルに参画した。

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