こんにちは。キャリアインキュベーションの山口です。
近年、日本のPEファンド業界は盛り上がりを見せております。海外投資家が日本のマーケットに対して関心を持ち、海外投資家からの出資を募っているPEファンドが増加しているように思います。また、引き続きPEファンド数は増加傾向にあり、近年はミッド/ラージキャップのみならず、スモール/マイクロキャップの市場においてもPEファンドの新規設立や投資件数の増加等、PEファンドの存在感が目立ってきているように思います。
さて、今回はそんなPE業界を目指す方向けに、直近1年間(2023年4月-2024年3月)の新規就業者のリサーチ結果をお伝えしたいと思います。
外資系PEファンドの新規採用者(アナリスト~シニアアソシエイト)9名、日系PEファンドの新規採用者(アナリスト~ヴァイスプレジデント)53名の計62名に関して、公表されている情報を基に弊社が独自に数値をまとめました。
タイトルは、各ファンドや社会人歴によりアナリスト~ヴァイスプレジデントの間で異なりますが、PE投資担当者の若手採用枠におけるリサーチとご理解いただけますと幸いです。
今回は、経歴、学歴の切り口で数字をまとめております。
経歴は、前職の経歴を対象(※1)に集計、学歴は東京大学、京都大学、国公立大学(※2)、慶應義塾大学、早稲田大学、私立大学(※3)、海外大学、出身大学不明に分類し、集計を行っております。
外資系PEファンド新規採用者に関するデータ
経歴
新規採用者のバックグラウンドを細かくカテゴリー分けしたところ下記のような結果となりました。
外資系戦略コンサルが最多、PEファンドが次に多い結果となりました。事業会社については、前職にて日系証券の投資銀行部門及びスタートアップを経た方、その他投資会社については、前職にてFAS及び日系証券の投資銀行部門を経た方でした。入社直近の経験のみだとバックグラウンドが多様化しているように見受けられましたが、9名中5名が日系投資銀行におけるM&Aアドバイザリーの経験者であり、引き続き戦略コンサルティングまたはM&Aアドバイザリーの経験者を対象に採用されているようです。
尚、女性の人数は9名中1名でした。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
早慶、東大、国公立、私立大学のみでした。MBA保有者は3名で、これまで同様に、中途採用においてはMBA取得が必須ではないようです。
日系PEファンド新規採用者に関するデータ
経歴
バックグラウンドの内訳は下記の通りです。
まず、前回と比べると、バックグラウンド自体が多様になっているように見受けられます。しかしながら、投資、FA経験者という分類(日系証券の投資銀行部門、外資系投資銀行、日系M&Aアドバイザリーファーム、FAS、PEファンド経験者)でみると、全体の約43%、コンサル経験者という分類(総合系コンサル、外資系戦略コンサル、総研系コンサル、その他コンサル、日系戦略コンサル)でみると全体の約26%を占めているという結果であり、前回と大きな変化は見られませんでした。
尚、これまで同様に、総合系コンサルはM&Aに係る戦略PJの経験者、FAS・日系証券の投資銀行部門は、M&Aアドバイザリーの経験者が殆どでした。
上記の分類以外の、銀行・信託銀行、その他ファンド、その他金融、弁護士事務所、事業会社はM&A関連の経験者、総合商社は事業投資の経験者でした。
尚、女性の人数は53名中8名と前回に比べ増加していましたが8名中4名は関連会社からの出向者と見受けられ、中途採用者は引き続きかなり少数に留まっているようです。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
全体の66%が東大、京大、国公立、早慶でした。MBA保有者は2名で、経験としては戦略コンサルティングの経験者と商社における事業投資の経験者でした。
以上、ここまで外資系および日系PEファンド在籍者の経歴・学歴をお伝えさせていただきました。
マーケットとしては、2024年5月現在、弊社PEファンドクライアント91社のうち65社が若手投資担当を募集中で、求人数は微増が続いています。
直近1年の採用実績としても前回同様に、外資PEファンドは外資系投資銀行、外資系戦略ファームがメインターゲットとなっているようではありますが、経歴の中で日系投資銀行を経た候補者も採用している傾向が見て取れました。また、日系PEファンドは、前回同様にPEファンド自体の数が増加し採用マーケットにおける競争が激しくなってきていることを背景に、引き続き外資系PEファンドに比べると若干ターゲットが広がってきている印象です。ある特定の企業からの採用というよりはM&Aに関連する経験に注目し、個々人のスキルや経験を総合的に見られているのかもしれません。
採用ターゲットのバックグラウンド多様化、求人数も増加傾向とPEファンドを目指す方には追い風があるものの、選考において求められる期待値は緩和されてはおらず、これまで通り、財務モデリングやケース面接等の選考準備が重要です。弊社では、選考対策コンテンツのご提供が可能ですので、もしPEファンド転職にご関心がございましたら、是非ご相談ください。
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