こんにちは。キャリアインキュベーションの山口です。
東芝の非公開化、トライグループのジョイントコントロール投資(全株取得後、オーナーの再出資)などに代表される従来型の投資でPEファンドが日々新聞紙面を賑わせております。また、これに加え、グロースキャピタル市場でもその存在感を発揮しつつあり、日本におけるPEファンドが果たす役割は益々高まっているように思います。
さて、今回はそんなPE業界を目指す方向けに、直近1年間(2021年3月-2022年4月)の新規就業者のリサーチ結果をお伝えしたいと思います。
外資系PEファンドの新規採用者(アナリスト~シニアアソシエイト)15名、日系PEファンドの新規採用者(アナリスト~ヴァイスプレジデント)47名の計62名に関して、公表されている情報を基に弊社が独自に数値をまとめました。
タイトルは、各ファンドや社会人歴によりアナリスト~ヴァイスプレジデントの間で異なりますが、PE投資担当者の若手採用枠におけるリサーチとご理解いただけますと幸いです。
今回は、経歴、学歴の切り口で数字をまとめております。
経歴は、前職の経歴を対象(※1)に集計、学歴は東京大学、京都大学、国公立大学(※2)、慶應義塾大学、早稲田大学、私立大学(※3)、海外大学、出身大学不明に分類し、集計を行っております。
外資系PEファンド新規採用者に関するデータ
経歴
新規採用者のバックグラウンドを細かくカテゴリー分けしたところ下記のような結果となりました。
※入社直近の経験をカウント
外資系投資銀行が半分以上を占めている一方で、外資系戦略コンサルは予想より少ない結果でした。銀行・信託銀行とFASの方々はMBA採用枠でご入社された方でした。その他項目に分類した方は、直近はベンチャー投資を行われておりましたが、それ以前に外資系戦略コンサルで経験を積まれた方でした。
全体の73%(MBA採用枠を除くと85%)が、外資系投資銀行、外資系戦略コンサルを占めており、特定のバックグラウンドに採用が固まっている事が改めて浮き彫りになりました。
尚、15名中4名が女性の採用であり、例年より若干増加している印象です。外資系PEファンドは近年ダイバーシティの観点から女性採用を積極化している傾向があり、それが起因しているのかもしれません。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
東大、京大、国公立、早慶のみでした。MBA保有者は2名で、これまで同様に、中途採用においてはMBA取得が必須ではないようです。
日系PEファンド新規採用者に関するデータ
経歴
バックグラウンドの内訳は下記の通りです。
※入社直近の経験をカウント
外資系PEファンドと比較すると多様なバックグラウンドを採用対象としていることが見て取れます。投資、FA経験者という枠(PEファンド経験者、FAS、日系証券の投資銀行部門、外資系投資銀行)でみると、全体の47%、コンサル経験者(総合系コンサル、外資系戦略コンサル、その他コンサルティング)でみると全体の26%を占めているという結果でした。尚、FAS、日系証券の投資銀行部門の方々においてはこれまで同様に、M&Aアドバイザリーのご経験者が殆どでした。PEファンド経験者に関しては、金融機関や商社からグループ会社のPEファンドに出向しPE投資経験を積まれている方が多数でした。また、事業会社におけるM&A経験者の採用も若干名おり、バックグラウンドの多様化が進んでいるように思います。
尚、女性の採用は、47名中2名とかなり少数でした。
学歴
次は、出身大学やMBAホルダーの数を見ていきたいと思います。
全体の76%が東大、京大、国公立、早慶でした。MBA保有者は5名で、この方々はMBA採用枠で入社している方が多いようです。MBA保有者のご経歴を見てみると、PEファンドの採用ターゲット外であることも多く、MBA枠を活用しファンド業界にジョインされた方々のようでした。
以上、ここまで外資系および日系PEファンド在籍者の経歴・学歴をお伝えさせていただきました。
マーケットとしては、2022年6月現在、弊社PEファンドクライアント88社のうち61社が若手投資担当を募集中で、求人数自体は多い状況です。
直近1年の採用実績としては、外資PEファンドは外資系投資銀行、外資系戦略ファームがメインターゲットとなっており、これまでの傾向と大きな変化は見られませんでした。一方で日系PEファンドは、PEファンド自体の数が増加していることもあるからか、外資系PEファンドに比べると若干ターゲットが広がってきている印象です。ただ、日系PEファンドであってもやはりM&Aに関連する経験は必須で求められているように思います。
採用ターゲットのバックグラウンドは少々多様化していますが、PEファンドが狭き門であることは変わりませんので、内定獲得に向けた情報収集と準備が重要です。もしPEファンド転職にご関心がございましたら、是非弊社にご相談ください。
(山口)
(業界全体を集計した経歴・学歴データはこちら)
●バイアウトファンドに転職をお考えの方の個別相談(電話・オンライン面談可)
※当社WEBサイトで公開しているプライベートエクイティ業界ショートレポートは公表情報をもとに作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。