書類選考通過のポイント
日々、PE業界を志望される皆様と面談をさせていただくと、「どこで、どんな経験を積めばPEへ行けるのか?」といったご質問を多くいただきます。そこでこちらのページでは、PEファンドの書類選考において、合否判断のポイントとなっている事柄を具体的に挙げさせていただきます。ぜひ、今後のキャリア形成の参考にしていただけますと幸いです。
各社の採用ニーズ
まず、PE業界全体として、以下3種類の採用枠が存在しています。
・エクセキューションスキルを重視した採用枠(FA出身者、事業投資経験者)
・ポートフォリオワークを重視した採用枠(コンサル出身者、商社出身者)
・上記いずれかで、選考の過程で候補者によって決まる採用枠
※例外として、上記バックグラウンドには該当しない、ポテンシャル採用枠があります。
PEが求める人材要件
続いてバックグラウンドの観点からもう少し具体的に説明させていただきます。基本的には以下の人材が採用対象となっています。
<バックグラウンド>
・FA出身者(証券会社の投資銀行部門、FAS、独立系M&Aアドバイザリー)
・コンサル出身者(戦略系、総合系)
・投融資関連経験者(銀行/商社/事業会社等)
・士業(監査法人・弁護士)
以下は、実際のPEファンド在籍者のうち、アソシエイト人材の直近の職歴を集計したデータです。(PEファンド出身者除く)
FAおよびコンサル出身者の割合が多く、約5割がFA出身者、約3割がコンサル出身者となっています。
さらに外資系・日系別で集計したデータもございますのでこちら(PEファンド就業者データ/アソシエイト編)の記事も参考にしてみてください。
続いて、上記のバックグラウンドに該当した上で、経験・スキルとしては以下の人材が対象となっています。
<経験・スキル>
全てのバックグラウンドに共通して求められるスキルは、財務モデリングのスキルです。
※コンサル出身者や弁護士に関しては業務経験としては求められず、他バックグラウンドの方に比べ求められる目線感は下がりますが、財務三票連動のモデリングスキルがあるかどうか、選考を通じ問われます。
・FA出身者(証券会社の投資銀行部門、FAS、独立系M&Aアドバイザリー):
FA出身者に関しては、財務モデリングの経験が必須となります。
最近は特に財務モデリングの経験だけではなく、いわゆるFAとしてのDDコントロール、ドキュメンテーションといったM&Aにおけるエクセキューション経験が重視されています。
尚、必須ではないですが、PEファンド案件のバイサイドFAの経験が歓迎されます。
・コンサル出身者:
在籍しているコンサルファームやチームによって担当する案件の種類が異なるとは思いますが、戦略系PJの経験やM&A関連PJの経験が重視されています。
また、歓迎要件としては、PEファンドのビジネスDDのPJ経験や、PEファンドの実行支援系PJの経験が挙げられます。
一方でシステム導入などのIT系PJのみの経験だとPEファンドの実務と近くはなく、書類選考通過が難しい傾向にあります。
※フィナンシャル面のスキルについては、書類選考上はなかなか判断が難しいため、重視されてはいませんが、インタビューやモデルテストで確認されるためPLだけではなくBSやCFも理解しておくこと、また、LBOモデルの基本的な仕組みを理解しておくことも重要です。
・銀行出身者:
M&AにおけるFA経験があれば、上記FA経験者のポイントと同様になります。LBOファイナンスの経験があれば更に歓迎されます。
・商社出身者:
上記のFA出身者同様、財務モデリングの経験やDDコントロール、ドキュメンテーションといったM&Aのエクセキューション経験が重視されます。また、PEビジネスとの親和性とバリューアップ経験の有無という観点から、資源やインフラ関連の経験より、製造業、小売業、サービス業などの経験が歓迎される傾向にあります。
・事業会社出身者:
事業会社のみの経験だと書類選考通過は厳しく、現実的には事業会社の経験に合わせてコンサルファームやFAとしての経験も求められることが多いです。
・士業(監査法人・弁護士):
会計士で監査法人ご出身者に関しては監査のみの経験だと書類選考通過は厳しいですが、財務DDのご経験があれば、一部のファンドで書類選考通過となることがあります。また、弁護士の方についてはM&A案件のサポート業務、契約作成・契約交渉、コーポレートガバナンスにおける法的アドバイスなどの経験が評価される傾向にあります。
・その他:
上記のバックグラウンド以外だとグループ会社からの出向者や、ポテンシャル採用入社の方々がいらっしゃいます。数としては多くありませんが、ご経験のバックグラウンドを問わずMBA出身者、エクイティリサーチ、FXディーラー等のバックグラウンドの方が採用された事例もあります。そのような方を採用する場合には、業界理解の深さやソフトスキルの高さがポイントになっています。
上記がそれぞれのバックグラウンドにおける前提条件となっており、加えて、社会人経験年数に応じた各経験の深さ、転職回数の少なさ(一社における在籍年数の長さ)、プロモーションの速さ等、他要素も含めて総合的に判断されます。なお、どのバックグラウンドの方であっても、30代半ばに近づけば近づくほど、選考ハードルが高くなっていく傾向があります。
具体的にご自身のご経歴やご経験について、客観的にどのような評価がされるのか気になる方は、お気軽に弊社PEチームへご相談ください。ご経験の中身をしっかりと伺った上で、ご経験に関するポジティブなポイント、今後追加で積んでいきたいご経験、適切なご転職のタイミング等々について、お伝えいたします。