こんにちは、ヘルスケア業界担当 喜田です。
15年近くヘルスケア業界に在籍されている方のキャリアのご相談に対応させて頂いております。
色々な産業の中でも、比較的保守的なカルチャーの強い業界ですが企業統合、業界における情報提供活動の在り方等、様々な変化が起きてきています。
それに伴い、採用トレンドも変化してきています。記憶に新しいところでは、2015年ころからの製薬業界におけるMSL職・MA職の登場でしょうか。
今回はその中でもいくつかのトピックに分けて、採用トレンドをお伝えします。
■COVID-19 の影響
2020年初頭より、全世界でパンデミックを引き起こし今尚収束の気配の見えない、新型コロナウィルス。世界経済にも大きな影響を与えており、景気は急速に悪化し後退期に入ったといわれます。
ヘルスケア業界に関してはどうでしょうか。
申し上げるまでもなく、COVID-19克服の最前線で戦っているのがヘルスケア業界です。COVID-19を治療する治療薬と感染を防止するワクチンの開発、PCR検査も含めた診断方法の確立が急がれています。
現状、国内では治療薬2種のみが緊急対応で承認されているにすぎません。それも、以前他の治療で承認された薬を臨時承認する形であり、新規の治療薬の承認が待たれています。また、ワクチンに関しては国内でアンジェスが治験を進めています。
採用に関しても国策として治療法の開発や診断キットの製造等が求められる中、COVID-19関連の求人が複数出てきています。ただし、基本的には社内アセットで賄う方針でありどうしても対応できない人的リソースの不足があった場合にのみ採用をかけている状況で、求人の大幅増、という訳ではありません。
他方、コロナ禍においても病気に苦しんでいる患者さんは多数いらっしゃり開発や製造の手を止める訳にはいきません。採用プロセスがスローダウンするケースはあっても、採用そのものが完全になくなるというケースは他産業と比べても、比較的少ない傾向です。
また、コロナ禍において各社オンラインでの面接を積極的に実施しています。会社によってはオンラインのみで選考プロセスを完了するケースも出ています。
転職をお考えの方も在宅勤務をされているケースも多いことから、対面の面接と比べて面接のセッティングが容易となり、企業と候補者の接点が逆に増えてきています。
■産業構造の変化
これまでは薬を中心とした内科的治療、医療機器を中心とした外科的治療が大まかには分類されていましたが、近年はデジタルセラピューティクスの登場等ヘルスケア業界においてもデジタル化の進展が著しいです。
製薬業界に関して言うと、伝統的な創薬~販売までを一気通貫で自社で行う体制を維持することは困難な状況で、ファイザーモデルに代表されるようなシーズをベンチャー企業ごと買収するようなビジネスモデルが中心となっていました。
近年は、このビジネスモデルに加えて特定の疾患に強みを持つスペシャリティファーマを中心に疾患のトータルソリューションを中期経営計画等で打ち出される企業が増えてきました(塩野義製薬、参天製薬、共和薬品工業等)。
今後は武田やファイザーに代表されるような事業合併・領域の選択と集中で生き残りをかける企業、シオノギや参天のようにトータルソリューションを提案する企業、ジェネリックファーマ等各社が持ち味を生かして事業発展を目指していくと思われます。
これまではより良い薬や治療法を開発する、という言わば職人的な部分に会社の経営の力点が置かれていました。
今後はいかに患者さんにアクセスするか 治療法を提案するかというより柔軟なソリューション提案を求められるマーケットになってくるかと思われます。
業界内での転職が多い非常にクローズドなマーケットですが、今後はこれまでの職種に加えてより柔軟な経営思考を持っている人材も求められるかと思われます。
今後も最新のマーケットトレンドは随時アップデートして参ります。今後ともよろしくお願いいたします。
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(喜田)