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プロ経営者インタビュー

上沢 仁 氏

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

先ほど挙げた4つの力の内、繊細な理解力と豪胆な実行力の2つは、マッキンゼーで最も多く学びました。やはりコンサルティングファームはこれらの鍛錬の場としては有効です。

3つめに挙げたリーダーを育てる眼と力は、ある程度はIMS時代に学びましたが、もっとも学んでいるのは今現在です。なお、マッキンゼー時代の顧客は大企業が中心でしたので、青田買いしてでも育てる覚悟を強く意識することはありませんでした。

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

経営者が純粋なマネジメント職に注力できる体制が整った大規模企業の場合は、必ずしも業界知見は必要ではないと思います。業界知見を自らが持っていなくても、各担当部門が持つ業界知見を集約することで、経営者は適切な意思決定をすることに注力できます。

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しかし、経営陣が新規事業にどっぷりコミットするような小規模な企業なら、業界知見はあればあるほど有利だと思います。当社を例にしましょう。「医療ビッグデータを活用して事業化」というアイデアを出すだけなら、特にこの業界の知見のない人でも、いくつも思いつくでしょうし、ウェブリサーチすればこの業界で新規ビジネスを立ち上げようとしている会社が山のように見つかると思います。

しかし、そんな無数にある選択肢やアイデアの中から、自社の強みも加味しながら「これだ!」という事業をデザインし、その実現のために適切なパートナー企業を選び、さらにこの業界では重要な存在である医療関係者や官庁と適切に協業関係を築くための細い道筋を見極めるには、やはり業界知見があるほうが、競合より早く事業成功というゴールに辿りつけると思います。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください

一番苦労したのはいつなのか、という問いであれば、答えは「今」です。社長というのは自由度の高いポジションです。誰かに言われた目標を実現する立場ではなく、自ら目標を設定して、自ら実現にむけて指揮していく立場です。目標と現実のギャップの大きさが試練だとすれば、これまで味わったどんな試練よりも「今」が一番大きい試練ですね。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

社内のポジションが上がるにつれて、反対意見を言ってくれる人が減っていきます。裸の王様にならないため、自分と異なる意見を尊重し、反対意見をいいやすい雰囲気を意識して作る努力は大事だと思っています。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

これまでに関わったすべての人から影響を受け、学ばせてもらいましたし、今もなおそういう状況にいます。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか? それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

自分のこれまでをふり返れば、幸運の連続だったと感じます。トレーディング部門に配属されたのも、留学できたのも、マッキンゼーに入れたのも、IMSで新規事業を担当できたのも、JMDCに呼んでもらえたのも、ぜんぶ幸運によるものだと言えます。

けれど反面、もしも農林中金で留学生に選ばれなかったとしたら、きっと私は自費でビジネススクールへ行っただろう、と思えますし、マッキンゼーに入れなかったとしても、どこか別の会社で経営者修行をしていたに違いない。そんな風に考えると、たしかに運が無ければ今はJMDCの社長ではなかったでしょうが、それでもどこかの似たような会社で経営陣の一角にはいただろうとも思えます。

たしかに人生では運が作用するものだけれども、回り道はしても、多少余計に時間がかかっても、結局、自分の価値観に沿って行動を続ければ自分なりの終着点には辿りつけるんじゃないかなと思います。

[16]なぜ起業ではなかったのでしょうか?

少し前までは「米国ならともかく、日本で起業するのはリスクに見合わない」と思ってました。どんな優れたスタートアップでも、生き残れるかどうかは相当程度が運に左右されそうで。

最近は認識が変わってきました。これまでランダムに散らばっているかに見えた事業失敗の落とし穴も、業界知見があればあるほど穴の位置を見通して避けることができ、運に支配される割合を思ったより減らせる気がしてきました。もしかしたら、JMDCを引退する日が来たら起業にもチャレンジしたくなるかもしれません。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

モットーや哲学は特に持たない性分です。強いていえば、私は現代美術が好きなこともあって、岡本太郎さんの語録はかっこいいと思ってます。例えば、「私は、人生の岐路に立った時、いつも困難なほうの道を選んできた」というものです。実際、岡本太郎さんの人生はそんなかんじなので心に響きます。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

2つの目標があります。1つは、医療ビッグデータというものが本当に世の中の役に立つんだと信じていますので、社会保障問題の解決に資する商業サービスとして多くの分野で普及させることです。

もう1つは、強くて楽しい組織を作ること。社員が業績をどんどん上げながら、同時にJMDCに入って幸せだと感じるような会社にできたら最高だなと思っています。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

まだ去る時のことは考えたことはないのですが、そうですね、私が現ポジションにいる間に業績や組織を向上させるのは文句なく大事ですが、それと同等以上に、私が去った後も自律的に成長を続けられる組織の礎を築くことできれば、それは大きな価値があることだと考えています。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします

初心忘れるべからずとは言うものの、経営者になると現場の生の声がわかりにくくなってきます。これを避けようと、現場を訪問して社員の生の声を聞く場を持ったりしますが、そんな場で経営者に本音をストレートにぶつけてくる社員なんか滅多にいませんよね。現場の感覚とずれた裸の王様になる危険は常にあります。

今は現場の担当者として働いている皆さんへのメッセージとしては、会社に対する現場目線の意見や行動様式を観察して大事に覚えておくと良いと思います。経営者がどういう指示の出し方をすると現場は一番がんばって動くのか、現場を理解していない経営者が陥りがちな落とし穴はどんなものか、パフォーマンスの悪い同僚は何が原因なのか、経営への報告内容と実態というのはどういうズレが生じるのか。

そして経営者になったつもりで、私だったらこうするのにと解決策を考えてみる。将来、実際に経営者になったときに思い返してみると、現場ならではの正しいアイデアもあるでしょうし、逆に「当時の考え方は未熟だったな」と思うものも沢山あるでしょう。その「未熟な考え」は現実に現場と経営の認識ズレを発生させている要因であり、認識ズレを解消する方法を考える上での重要な示唆となります。

現場を生で学べるのは今だけです。経営目線を意識しながら毎日を大事に過ごしていただければと思います。

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