「プロ経営者」になる。〜経営者インタビュー〜

画像:橘田 尚彦 氏

橘田 尚彦 氏

2014年10月、ECビジネスで成功した代表的企業として名高いケンコーコムが新社長就任を発表した。
新たにトップに就いた橘田尚彦氏は、それまでメガバンク、コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ(PE)において数々の企業の経営に深く関わってきた人物。
それだけに今後のケンコーコムの動向が注目されるが、そもそも橘田氏はなぜ自ら事業会社の経営者となる道を選んだのか、どういう信条の持ち主なのか、などについて多くの人が関心を抱いているはずだ。
そこで、いつもの20の質問への回答を通して、橘田氏に思いの丈を語ってもらった。

橘田 尚彦 氏
ケンコーコム株式会社
代表取締役社長 執行役員CEO
http://www.kenko.com/

1967年、東京都生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、東京銀行(現 三菱東京UFJ銀行)入行。米国ダートマス大学タック経営大学院にてMBA取得後、ボストン コンサルティング グループを経てMKSパートナーズに参画。複数の経営再生プロジェクトを担い、同社取締役に就任した。2007年、KKRジャパンの代表取締役に就任し、引き続きPEの立場から多くの企業の経営変革と向き合ったが、2010年に心機一転。自ら事業会社の経営に携わるべく楽天に入社。2012年にはグループ企業・楽天マートの社長となり、2014年10月よりケンコーコム代表取締役社長・執行役員CEO。

[1]自己紹介をお願いします

私が就職活動をしていた時代の日本は、バブル景気の真っ只中にいました。ですから、あまり深く考えることなく就職活動を始め、結果として銀行ばかりを受けていくことになりました。「なぜ銀行にこだわったのか」と問われても、さして重々しい理由はないのですが、「若いうちから企業経営に関わりたい」というような気持ちがなんとなく心にあったのは事実で、それが行動に現れたのだと思います。

そうして東京銀行に入行し、社会人としてのイロハを学んでいったのですが、その過程で「経営を学びたい」という願望はどんどん膨らんでいきました。入行3年目で行内のビジネススクール留学制度に名乗りをあげたまでは良かったのですが、その選考には受かりませんでした。

ところが、個人としてダートマス大学のビジネススクールを受験したところ、こっちは受かってしまった(笑)。「せっかく受かったのだから、このチャンスをものにしたい」ということで、銀行を辞職して留学をしたんです。そしてこの留学がその後の私を決めていくきっかけになっていきました。

1990年代の終盤、世の中にはまだ「プライベート・エクイティ」などという言葉も、その方法論も知られていませんでしたが、ダートマスの授業で知る機会があり、私は魅了されました。既存の金融機関にはない可能性を感じたんです。ですから2年生の時にMKSパートナーズに連絡をして、当時のパートナーに会っていただきました。

結局、当時のビジネス界の状況や経済環境などの影響もあり、「今のところ採用はしていない」と言われて断念したものの「いつかはPEの人間となって研鑽を積みたい」という強い気持ちは残りました。

その後、ありがたいことにボストン コンサルティング グループから入社のオファーをいただくことができ、MBA取得後の3年半、ここで価値ある経験をさせてもらいました。

主に金融機関を対象にしたプロジェクトに参画していく中、私なりに経営に関わる理解を深めていたのですが、2000年を迎えようという頃から、世界の経済事情も色々と変化が現れてきました。

PEに対する気持ちは変わっていませんでしたし、「今このタイミングならば役に立てるかもしれない」と考え、あらためてMKSパートナーズの方とお会いしたんです。当時、欧米のみならず日本でもITベンチャー等への投資熱が高まっていたこともあり、私はついにMKSパートナーズに参画することができました。

参画直後はベンチャーのIPOがらみの案件などに携わりましたが、ITバブルがはじけた後は、大企業の事業再生系案件が主流となりました。パートナーに就任してからは、重要な意思決定を任されることとなり、かつて私が魅力を感じていたPEの醍醐味を十分に味わうことができたと思っています。

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例えばある大手化粧品メーカーの経営再編案件などでは、非常に株主の多い企業だったこともあり、タフな立場に身を置くことにもなりましたが、何物にも代えがたい貴重な経験をさせてもらいました。その後、PE領域で開祖的存在でもあるKKRのジャパンオフィスからオファーをいただき、さらに重要なミッションと向き合うこともできました。そんなタイミングで起こったのがリーマンショックでした。

あらゆる業界に影響を与えたこの一件は、PEの世界にも深刻な事態を引き起こしました。もちろん、問題解決に向けて奔走をしていきましたが、その中で私の気持ちにも変化が訪れました。当時の私は40歳を超えたばかり。サラリーマン人生の半分、つまりちょうど折り返し地点に今いるのだと自覚すると、「選択肢は2つしかない」と思うようになったのです。

1つは案件が減って苦しんではいるものの、このままPEの領域で奮闘していくという道。もう1つは、これまでの成果やキャリアをリセットする覚悟で新しい仕事に挑んでいくという道です。後者を選択しようとすれば、かなりの勇気が必要でしたが、そんなおり、楽天が声をかけてくれました。

楽天グループが日本企業の時価総額で100位くらいの時期だったと思います。スタートアップベンチャーとも違うし、かといって既存の大企業とも違い、まだまだ成長途上にいる有力企業。そのポジショニングに惹きつけられました。

「今ここに経営幹部として迎えてもらえるというのなら、自分の力をさらに成長させ、なおかつ役に立っていくことができるのではないか」と感じ取ったのです。そうして2010年、私はここで新しいキャリアを築いていこうと決めました。

入社早々の2010年からは当時の楽天ネットスーパーの社長を拝命し、2012年からは食品配達事業の楽天マートの経営を任せてもらい、ゼロから立ち上げていく経験をすることができました。

いずれも私にとって素晴らしい体験となりましたが、2014年には楽天のグループ傘下となったケンコーコムの経営に携わることになり、あらためて変革を目指しているところです。

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