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プロ経営者インタビュー

井筒 廣之 氏

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

先ほど「経営者に必要なスキル」として、「プロとしての知識」と「組織を動かす力」の双方が必要と述べました。業界知識はあれば望ましいですが、それ以上に経営者として、「プロとしての知識」は極めて重要です。特に経理・人事・ITといったプロフェッショナル領域から、経営者を目指す場合はなおさらです。

私の場合「経理屋」として世を渡ってきました。経理部門をマネジメントする際、会計知識がないと話になりません。しかし、マネジメントに必要な会計知識と、世間一般が言うところの簿記・会計スキルは、実は相当違ったものです。マネジメントに必要な会計知識の中で、市販されている会計や簿記の知識は大した比率を占めません。

私の会計学の知識も全くわずかで、簿記2級にも及びません。しかし一見瑣末に見える知識が、はるかに重要な事が多いのです。そんな事を知ってもらいたいと言う思いから、「売れる経理屋」と題したコラムをマンパワーグループのホームページで発信しています。ご覧下さい。

その一部をご紹介しますと、例えば経理屋が作るエクセルシートは、私が見るとその半分くらいは、何と「合計欄」がない。マネジメント的には、表を作っても合計欄がない表はバリューゼロ。逆に言うと、常に合計欄さえ付け続ければ、経理屋としては平均点を越える評価があなたのもの。こんな感じの、些末な知識、経験が非常に重要なのです。

これらを些末な知識をどう集め、体系化するか、そんなことが「プロとしての知識」。そしてそれらはとても重要、と考えています。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください。

最初の転職をしてほどなく、アジア全体を金融危機が襲いました。私が初めて転職した映像関連ベンチャー企業は、それまで強気な経営を貫いていましたが、資金が苦しくなりました。そんな苦しい局面で、私は資金繰りを担当していましたが、銀行や関連会社等を駆け回り、何とか資金をつないでゆく業務は大きな試練でした。

そんな中、何とかキャッシュ・ショートを起こす事なく任務を遂行し、会社と折り合いをつけ、次の会社に円満に転職できた経験は、苦いながらも非常に有意義な経験でした。「資金ショートに比べれば、こんな仕事楽なもんだ」、という感じで、この時の経験は、後々大きな自信や学びとなって私を支えてくれました。

スキルや知識はもちろん必要ですが、どうしようもない難局に遭遇し、それに立ち向かう時、人は成長すると思います。多くの人がビジネスの現場で難局に出会うでしょうけれど、どうか後ろ向きにならず、立ち向かってほしいと思います。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

先ほどお話しした「プロとしての知識」と「組織を動かす力」の中で、「組織を動かす力」として、「論理的思考力」「コミュニケーション力」「すり合わせ力」の3つを挙げました。これらはすべて重要な学びの領域ですが、その中で学習効果が大きいのがコミュニケーション力だと思います。

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それは、日本語によるコミュニケーション、プラス、英語でのコミュニケーションを指します。
グローバルがあらゆる業界で当たり前になった今、どんな仕事であっても、どんな会社で働いても、日本語と英語の双方で優れたコミュニケーション力を発揮しなければ経営の仕事はできないと思います。

また、転職しながらキャリアアップする人生設計をするなら、外資系で仕事をしない選択肢はあり得ません。その意味でも英語は必須。私はよく「簿記3級とTOEIC900点さえあれば、どこへ行っても生きていける」と話しています。もちろん、知識だけではマネジメントはできませんが、基礎能力としての英語力は、絶対に必要です。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

3人います。キンコーズの立ち上げ時に素晴らしい教えを頂いた、キンコーズ創始者のポール・オーファラ様、そして当時コダックでコピーマシンを販売されていた川口様で、このお二人から起業時に頂いたお言葉は、今でも私の宝物です。3人目は経営を深く掘り下げて考えさせて頂いたミスミグループCEOの三枝匡様です。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか?

それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

キャリアも人生も、「まず偶然ありき」だと思います。どんなに綿密な計画をして努力を重ねても、すんなり願った通りにはいかないのが世の中。一方、素晴らしい偶然にばかり恵まれる事もない。どんなに計画通りに歩んでいても、予期せぬ偶然から転んでしまう事がありますよね?そんな時、サッと立ち上がってまた歩み出せるかどうか。ここが勝負だと思います。「まず偶然ありき」。ただし、「転んだらすぐ立ち上がる」。こんな所でしょうか。

[16]なぜ起業ではなかったのでしょうか?

キンコーズ・ジャパンの立ち上げは住友金属鉱山の社員の立場で行ったものですが、実質的には起業も同然でした。初めての転職先のベンチャー企業も、すでに会社は存在していましたが、起業と変わらない状況でもがいていました。そんな経験を通じ、私は起業もしたつもりでいます。

しかし、結局のところは転職サラリーマン人生を歩んできましたし、その自分に満足しています。先ほども述べましたが、「TOEIC900点と簿記3級」で世の中渡って来れた訳ですから、これは起業よりはるかに楽だった、だからこうなった、と言う所だと思います。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

ここ数年、私が自らに言い聞かせ、機会があれば発言しているのは、「多少馬鹿と思われてもいいから、夢を語って生きよう」と言う事。人は若い頃は進学や就職など、目標は次々に与えられます。そんな人が、20代・30代になると、例えば「部長になろう」みたいな目標を持つ方が多いと思います。私もそうでした。ところが、私は50歳になるあたりから、そんなキャリアアップに夢を求められなくなる一方、今後の人生の目標を自ら設定し、追い求めることがいかに重要かを考えるようになりました。

今、とても気になるのは、夢を語らない人が増えていること。その影響の一端が、例えばウツになる人が増えている事だと感じます。人生を歩み続けるのは、楽なことではありません。けれども、物事を明るく前向きに考え、浮かんだ夢を実現可能と信じ、夢を「達成可能な目標」に換え、それに向かって進むことができれば、そのことだけで人生は素晴らしいものになると思っています。

私の「夢」ですか?恥ずかしいのですが、本日ここで述べている様な事を、一片の寓話に昇華させたい、それも5年以内に、と思っています。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

経営者が成し遂げるべきことは2つだと考えています。1つは目標としている直近の数字をしっかりと達成していく事です。これは経営者に絶対的に求められる使命で、これはぜひ、達成し続けたいと思います。もう1つはコンプライアンスとビジョンの確立。この二つをまとめて提示したのは、社員が守るべき規範・進むべき方向を示す事ができれば、会社が長期にわたって繁栄できると思うからです。

こんな事を考えながら、変化の激しい人材ビジネスで経営者として舵を取り続けられれば、幸せだと思います。数字に対する責任は経理部長やCFOだった頃から背負ってきました。しかし、後者の部分は私のこれからの課題。頑張りたいですね。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

「夢と勇気を持って、道を切り開く人だった」と記憶されたら、最高です。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

「あなたは必ずつまずきます。でも、つまずいた時こそ、それを前向きに受け止めてください」と是非申し上げたい。現在の日本社会は、生涯雇用制のもと、失敗を避けることでうまく人生を送れる、とのイメージがありました。しかし、これからは「失敗しない者」は生きていけません。我々が簡単に追ってゆけるモデルはもうないのです。

そんな中で進めば、必ずつまずきます。でも失敗を恐れず、転んでも立ち上がって下さい。そんな人が増えた時、素晴らしい経営者がこの国に多数生まれます。それだけでなく、日本そのものがたくましく、面白い国になります。私も成功ばかりでは全くなかったけど、とても面白い人生を送って来れた、と思っています。一緒にこの国をもっと面白くしましょう、と願います。

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