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プロ経営者インタビュー

森澤 篤 氏

[2]現在のご自身の役割について教えてください

私の役割は英語で言うとゼネラル・マネージャーです。マースではよく船長にたとえられます。つまり、私はマース船団における日本丸の船長ということ。一旦船出すれば、船の命運を握るのは船長です。M&M'sやスニッカーズに代表される食品とペディグリーやカルカンに代表されるペットフードの製品群を、いかにして日本市場で再成長させるか。それが私のミッションということになります。

すでに双方のカテゴリーで、マースの製品は高い業績を上げているイメージを持たれていると思います。しかし、ペディグリーなどは、数年前までは市場でも圧倒的トップを誇っていましたが、競合他社の猛烈な追い上げもあってシェアを落とし始めていました。

ジョンが私を日本の社長に据えた理由も、ここにあります。今一度マースの製品群を日本でブレークさせ、ひいてはアジア・パシフィックやグローバルの成長力強化に役立てていく。それがジョンの描いていた戦略であり、私の役割というわけです。

たいへん魅力的だな、と思っているのはグローバル企業であるマースのトップ層の多くが、日本を訪れて我々と議論の機会を持てば持つほど「日本は世界の市場をリードする革新性があり、まるでタイムマシンのようだ」といった認識を持ってくれるようになってきていることです。

タイムマシンとはつまり、「今後世界で起きるはずのことは、まず日本で起こる」「世界各国の消費者がいずれ求めるであろう要望は、どこよりも先に日本の消費者が求めるはずだ」ということ。

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日本市場の成熟レベルの高さ、日本の消費者の商品選択眼の厳しさを正しく理解していて「日本で勝利することができれば、それは世界で勝利することにつながる」と信じてくれているトップ経営陣が数多くいるのです。ここまで期待されている日本丸の船長を務められるというのは、私としても非常にやりがいのあることだと思っています。

もちろん重責です。しかし、目標は達成できると信じています。なぜならこの会社には「マースの五原則」という強い理念が浸透し、現実的にビジネスで機能しているからです。これは当社のサイトにも掲載しているのですが、以下の5つがそれです。

Quality 品質の原則
Responsibility 責任の原則
Mutuality 互恵の原則
Efficiency 効率の原則
Freedom 自由の原則

詳細はサイトを見ていただければと思うのですが、例えば自由の原則。マースはこの価値観を大切に思うがゆえに、設立以来プライベート・カンパニーであり続けています。通常、企業は大きく成長していく過程で資金調達手段として株式上場を行うことが多いのですが、これを頑なに否定してきたのがマース。

外部株主の短期的な利益を最大化するために企業活動に制約が加わり、我々が正しいと考える自由な発想や長期的視野での投資などができなくなるのであれば、本末転倒です。自分たちで必要な資金を稼ぎ出し、それを再投資して正しいことを行い続ける。そうした思想を徹底して持ち続けてきました。

私が社長となってこの会社に来た時にも、社員それぞれの表情に「違い」を即座に感じました。事業の状況が厳しいときにでも投げやりになることなく、まっすぐにやるべきことに取り組んでいる。一言でいえば「みんな目が生きている」ことを目の当たりにしました。

それまでコンサルタントとして数々の素晴らしい企業と巡り会ってきた私でも、「これだけのメンバーがそろって本気で頑張っている会社はない」と実感しました。だからこそ言うのです。この五原則と、このアソシエイトたちがいれば、日本で我々が目指している目標は必ず達成できる、と。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

成績は良かったはずですが、先生たちにとっては「大変な子」だったと思います。とにかく、簡単には言うことを聞かない子でした。といっても、私自身は「言うことを聞かない」という意識もなく、何かに夢中になると他のことが見えなくなる。休み時間に遊びに行ったきり教室に帰ってこなかったり、走ることが面白くなっていた時期には、いつまでも校庭をぐるぐる走り回っていたり(笑)。そういう子どもでした。

[4]高校、大学時代はいかがですか?

リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

高校に入ってからはラグビーに熱中しました。教科書は机に入れっぱなしで、カバンの中には弁当とラグビーの道具しか入っていない(笑)。そういう高校生です。それでも、成績は良かったですし、もともと勝負強い性分だったので試験になると結果を出していましたから、なんとか京都大学にも入ることができました。それでもラグビー熱はおさまっていませんでしたから、冒頭にも申し上げたように4年間を丸々ラグビーに費やしました。

中学時代にはブラスバンド部で、高校時代にはラグビー部でそれぞれ部長/キャプテンを務めましたが、そこでリーダーシップにつながっていくような経験ができていたかというと、今から振り返るといろいろ足りていないところの多いリーダーだったと思います。あのころのメンバーには迷惑をかけました。

実家が酒屋だったせいもあるかもしれませんが、大人数の群れの中であれやこれや言われて、皆で同じ事ばかりするような場面は苦手でした。大学進学で建築学科を選んだのも、「ものづくりをしたい」というのに加えて「建築家は独り立ちできる職業」というイメージが強かったからです。

ただ、ラグビーを通じて、タイプや強みの全く違うメンバーがそれぞれの役割を果たし、「勝つ」という共通の目的に向かって一つになる経験を重ねたことで、チームワークの本当の素晴らしさを実感し、それが今でも私のバックボーンになっていると思います。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

私の周囲に、典型的な企業経営者という人はいませんでした。父は酒屋の店主でしたが、いわゆる企業経営者とは違うと思います。ただ、酒屋という商売、そこで働く父母を身近に見ていたことは、その後の私に大きな影響を与えたと思っています。

重たい酒瓶がいくつも入ったケースを抱え、階段を上り下りしてお客さんのところに運ぶ。その様子は子どもの目から見ても「大変そう」でしたし、そういう泥臭くて大変そうなことも、お客様のためにはするべきものだ、という教えをいつの間にかもらっていたのだと思います。

[6]ご自身の性格について教えてください。

喜怒哀楽が表に出やすい性格のようです。まあ、ストレートでわかりやすいということなのだろう、と自分ではポジティブに受け止めるようにしています(笑)。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

「経営者になろう」というように強く志したことは実のところ一度もありません。最初の自己紹介のところでもお話したように、私は常に人との縁で転機を迎えてきましたし、仕事と向き合うときに最優先していたことは「誰とやるか」だったんです。

マースに来たのもジョンと出会ったから。「彼のような男と一緒に仕事ができるなら面白いぞ。やってみようじゃないか」という気持ちでした。そのジョンが望んでいた私の役割が経営者だったということなんです。

ただ、長年続けていたコンサルタントという立場でできることに一定の限界を感じていたのも事実です。それもあってのアリックスへの転職でした。それならば「経営者」になればその限界はなくなるのか、というとそう簡単な話ではないと思います。「経営者」とひとくくりによく言いますが、どんな会社の経営者になるのか、どんなタイミングで経営者になるのか、という条件や環境次第で「やれること」はまったく違います。

肩書きだけ「社長」でも、戦略や戦術のすべては本社や海外の幹部のコントロール下というような役割なら私にとっては意味がありません。そんな私にとって「マースジャパンの船長」という役割はとても魅力的に見えた。だから「この会社の経営者」をさせてもらうことになりました。

コンサルタント時代から「日本というマーケットは使い方次第で素晴らしい価値をグローバルに提供する」という持論を常々口にしてきました。そんな私だから「日本はタイムマシンだ」と考え、船の舵取りは船長に任せる度量のあるこの会社にフィットしたのだと思います。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

必要なメンタリティは2つ。1つは明るさと前向きさ。ちょっとやそっとのことではシュンとせずに、明るく前に進んでいこうとする資質です。もう1つは大局観。コンサルタントであれば、短時間で膨大なデータを入手し、それを徹底的に分析して「こうだ」という正解を導き出していくのが使命です。

ところが経営者になったら、他にもやらなければいけないことは山積していて時間がない。手に入るデータだってコンサルタントほど潤沢ではない。そうして時間も情報も限られている中での、「こうするんだ」と判断するのが経営者の役割です。中途半端な情報で無理に分析しようとこだわりすぎるのではなく、大局観を持って進むべき方向を「感じ取る」。そして、進みながら修正していく。そういう姿勢が必要になります。

スキルについても共通した部分があります。これは自戒の念をこめて言うのですが、経営者になったなら「話を聞く」というスキルがとても重要になります。実はマースの社長に就任してしばらくしてから、経営陣のメンバーから同じような指摘を私は受けました。それは「会議に出る前に結論を決めていませんか?」という指摘です。

当時の私は「社長は強くなくてはならない」と思い込み、「分からない」とか「困っている」という言葉を口にしていませんでした。経営陣メンバーたちからの指摘を耳にして、大いに反省しました。そして、何でも自分で決めなくてはと思い込んでいたことを正直にカミング・アウトしました。すると、逆にみんな活き活きと私をどんどん助けてくれるようになった。

気負って何でも自分で決めようとするのではなく、心を開いて力ある社員たちに耳を傾けて、頼りにしていく。そうすることで、あらゆることが本当にスムーズに動き出した。「なるほど、そういうことだったのか」と学びました。同時にマースに根付いている「自由の原則」「互恵の原則」「責任の原則」の本当の意味と素晴らしさを実感しました。

経験については、とにかくできる限りたくさん、多様な経験を「必死に」すること。特に若いうちはやること・やらないことを食わず嫌いで取捨選択せずに、目の前にあることに徹底的に食らいついていくぐらいでちょうどいいと思います。必死にやって初めて本当の学びがあると思うので。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

「志」だと思います。以前、BCG時代の先輩に言われたんです「仕事をする上で、志というのは大事だよ」と。志という言葉にはたくさんの意味が含まれているとは思うのですが、簡単に言えば「自分たちのしている仕事の本当の意義が分かっている」という意識のこと。これは経営者に限らず、すべての人にとって不可欠な資質だと思います。

マースに来てわかったこと、それはチョコレートやお菓子を食べたら人は笑顔になるということです。愛する猫や犬にペットフードを買ってきて、彼らがそれをおいしそうに食べてくれたら飼い主はやっぱり笑顔になる。「そうか、私たちはスマイルを届けているんだな」と気づきました。

これこそがマースにおける「仕事の意味」、つまり志だと考えています。どんな仕事をするにせよ、どんな会社の経営者になるにせよ、必ず考え、把握しておくべきは「仕事をすることの意味」「志」です。

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