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プロ経営者インタビュー

稲積 憲 氏

[2]現在のご自身の役割について教えてください

ゲーム会社としてスタートしたNHN PlayArtは、まずゲームの開発会社としての体制づくりを進めました。但し、スマートフォンゲーム事業は業績の変動幅が大きいことから、プラットフォーム型・ストック型の新規事業を始めることとなりました。新たに会社を興すくらいのパワーで取り組む必要があることから、2014年から加藤がゲーム事業を担当し、私が新規事業を担うことになりました。

幸い、コミック事業の「comico」が、わずか1年半足らずで1000万ダウンロードを達成し、各大手出版社の立ち上げるサービスがある中で、スマートフォンコミック市場でトップサービスとなりました。今後は各タイトルのメジャー化(書籍、アニメ、実写、ゲームなどへの展開)、サービスの多様化(ジャンル拡大、ノベル、二次創作他)などにより更に読者層を広げながら、徐々にマネタイズを行っていきます。究極的には「デジタルのトキワ荘」と言えるように、たくさんの有名作家が生まれてほしいと思っています。

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もう1つがBtoB向けインターネット事業を手掛けるテコラスです。EC支援事業のSAVAWAY、インフラ事業のデータホテルがグループ入りし、NHN PlayArtの技術部門も合流して2015年にスタートしました。

EC支援事業はクラウド型のサービスを開発・運営しており、プロダクトラインの揃う2015年後半から本格的に成長していく予定です。データホテル事業は従来のマネージドホスティング事業からプライベートクラウド事業への拡大を進め始めました。加えて情報漏洩対策のセキュリティ商品も販売開始し、マイナンバー対策などで多くの引き合いを頂いています。

comico/テコラスが成長し、長期的に事業の柱となることそれが私の最も重要なミッションです。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

小学校に入学した当座は、勉強にまったく関心を持たない子どもだったのですが、2年生になるころ、父の仕事の都合で引っ越しをすると、近所にあった公文になんとなく通い始めました。すると、突然勉強をすることが楽しくなって、以後はそれなりに成績も上がっていきました。何事についても「面白い」と思うことさえできれば、一気に夢中になる。そんな子どもだったのだと思います。

さらに、かなりの負けず嫌いでもありました。5〜6年時の担任の先生が、子どもたちの競争心を良い意味であおるようなポイント制の学習法を採り入れたりしていたことも手伝って、積極的に発言したり、自主的に勉強する子どもに変身していきました(笑)。けれども、いわゆる優等生とは異なります。放課後はみんなと野球をして遊ぶような普通の小学生でしたし、中学に上がってからも、他の子と違い、しばらく塾通いなどしていなかったので、早い時刻に寝てしまっていたりしました。

[4]高校、大学時代はいかがですか? リーダーシップの芽生えのようなものはあったのでしょうか?

再び父の仕事の都合で引っ越しをして、東京に住むようになり、早稲田の付属校に合格して、そのまま早稲田大学に進学をしました。あいかわらず普通の若者でしたから(笑)、こういうインタビューでお話をするような面白いエピソードを大して持っていない高校〜大学時代でした。しいて特徴的なことを思い出すとすれば、大学時代後半の一人旅でしょうか。

当時、一人旅に出たがる大学生自体は珍しくなかったのですが、私は「他人と同じありきたりの場所には行きたくない」という気持ちが強く、例えばベトナムだったり、ハンガリーだったり、学生人気という意味ではマイナーな場所をわざわざ選んで一人旅をしていました。

リーダーシップの芽生えになるような経験も、学生のうちはありませんでした。そのかわり、社会人になったばかりの時、リコーで経験した飛び込み営業の日々は、とても大きなインパクトを私に与えてくれました。たった1年間の経験ではありましたが、この経験を持てたことがその後の私を大きく形作ってくれたと思っています。

正直に言いますと、当初は「営業成績ゼロ」なんてこともありました。何をどうすればうまく売れるのかがまったくわからなくなり、上司に相談などをしているうちにわかってきたのが「お客様に信頼頂き、心をつかむ」ことの大切さ。ただ漫然と商品のスペックを伝達すればいいってものじゃない、ということです。つまり、人の心の重みというもの。それを、売れない悔しさの中で学び取ったのだと思います。

リーダーシップというよりもオーナーシップが育っていき、「信頼頂く」ための工夫を繰り返す内に成績は上がり、後半にはトップセールスになることができました。「これは社会人としての人生の最初のチャレンジだ。そこで負けてしまったら、オレはずっと負け続けるぞ」というような気持ちがあって、がむしゃらに突き進んだこの時代に、数々の大切なものを私は吸収したのだと考えています。

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

父も親戚の伯父たちの多くも、大企業の一員として働いていました。最終的には役員に就任したり、子会社の社長になったりしましたから、そういう意味では「周りに経営者はいました」と答えることもできますが、見方を変えれば「全員がサラリーマンだった」と言うこともできます。起業家のような存在が近くにいたわけではないので、「経営者が身近にいたことで影響を受けた」と言えるような体験は持ちませんでした。

その代わり、「組織の一員となって、会社のことを思い、目標を追いかけていく」という大人たちに囲まれていたことによる影響は少なからず受けていると思います。そうして働くことが、どれほどの喜びになり、同時にどれほどのストレスになるのか、というような事柄も子どもなりに感じ取っていました。

[6]ご自身の性格について教えてください。

この質問にはどう答えていいかわからず(笑)、周囲の人間に聞いてみました。皆の言い分の中で一番多かったのは「情熱があって真面目」「好奇心旺盛で、人の話しをよく聞く」でした。「本質を見抜いている人」なんて言ってくれた者もいて若干嬉しくなりました(笑)。

こうした皆からの評価を聞いた上で考えてみたところ、私という人間は回り道をせずに、目標に向かって真っ直ぐに動くところがあるのだと再認識しました。また、もともとはかなりディテールを大切にする性分なのですが、あえて細かいことに目をつぶって、「やる」と決めたことに向かって進んでいくところもあると思います。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

冒頭の自己紹介でもお話しした通り、私の「経営」に対する関心は少しずつ大きくなっていったのですが、最初のきっかけはリコー在籍時にあったと思っています。それも、本社に戻って海外販社の経営にタッチした時期よりも前のタイミングです。企業が推し進めている事業の最前線では様々な問題や課題が発生しているのだということ、そしてそうして現場が抱えている課題を、経営陣が適切に解決していくことで経営は良くなっていくのだと言うこと。それを入社1〜2年目の頃に実感した時から、経営というものに惹かれるようになり、自分がその当事者になることもなんとなくイメージし始めました。

一方で、リコー、ソニーという非常に大きな組織にいたおかげで、「経営者って大変だな」という感覚も味わいました。組織が拡大し、レイヤーが多層化すれば、なかなか意思の伝達がうまくいかない。そういう中で問題を解決し、目標を達成していく使命を背負うのも経営者なのだと学びました。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

メンタリティについては、様々な考え方があると思いますが、私は「気持ちをコントロールする」ことを大切にしています。気持ちをフラットに保つことで、状況を正しく捉えて最適な対応をしていく姿勢が経営者には必須だと思うんです。気持ちがざわついた時は、「四耐四不訣」を見ながら、心を落ち着けています。

もう1つ重要だと考えているのが「ヒトに対する関心」です。どのような事業でも、社員1人ひとりがパワーを発揮することは不可欠だと思いますが、NHN PlayArtのようにスピードや創造性が問われる事業展開では、それが顕著に表れます。誰にどのような力があって、どういうチャンスを与えたら持ち前の能力を発揮するか。そういう部分まで経営者が把握していたなら、その企業のパフォーマンスは最大化するはず。個人の問題のみならず、チーム編成の上でも大きな違いにつながります。

続いて必須となるのは状況判断のスキル。もちろん、「経営に関わる状況」を判断するスキルのことです。経営につながる数字が示す「状況」もあれば、自分の会社が事業体として備えている「組織の持つ強み・文化」や「各事業の根本的な原理」という「状況」もあります。私は後者の「状況」を、その会社の「ツボ」などと呼んでいますが、これを正しく判断できているかどうかが非常に重要だと考えています。そしてさらに、業界動向や市場動向、技術面の潮流などなど、広い意味での「トレンド」を把握するスキルも問われます。

特にインターネットに立脚したサービスや事業を展開する当社のような事業体では、1つの技術革新が市場を一変させてしまうほどの影響力を持ちます。コミック事業の「comico」、スマートフォンという新しいデバイスにマッチしたサービスとして提供できたことが成功の1つのポイントだと思っています。1つの事業の成否を決めてしまうほど「状況判断」のスキルは重要だと考えます。

ただし、すべての状況判断と実行を経営者が行えるわけではありません。再度ここで大切さを際立たせるのがヒトのあり方。オーナーシップを持って、自ら経営という名の「皿まわし」のお皿を回していく姿勢が経営者には必要だと思うものの、何枚ものお皿を地面に落とさずに回し続けることなど不可能です。

「この皿は、誰々に任せるのが最適」とか「誰と誰が組めば、こういうお皿を回し続けることができる」といった判断もしていき、「自分以外の社員が回している皿」をどんどん増やしていく。そこまでできたら、経営者としてかなり優秀なんだと言えるでしょうね。環境作りというスキルも必須ということです。私自身、今もこれに挑戦し続けています。

最後に経験についてですが、私はキャリアを作っていく過程で、その局面に応じ、自分に必要なもの、不足しているもの、というのを考え、それを手に入れるために、貪欲に多様な場を求めて動いてきました。ですから、在籍した企業のすべてで価値ある経験を積むことができてきた、と思っています。

しかし、「何を経験するか」以上に「手に入れた経験をどう生かすか」こそが大事です。「こういう経験をしないと経営者にはなれない」などという狭い発想をする必要はありません。過去に得た経験をどう自分の成長に役立てるか、今経験している仕事を通じて、自分の何を育てることができるか......という考え方を持つことができれば、必ず前進する。私はそう思います。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

前の質問への回答で、すべてをお話ししました。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

これまでの自分を振り返ってみて、つくづく感じるのは、あらゆる価値を私は多くの人からいただいてきたのだ、ということです。各企業で出会った上司や諸先輩はもちろん、部下となって働いてくれた後輩たちにも、たくさんのことを教えてもらいました。そしてもう1つ、しみじみと思うのは、数々の経験の中でも、成功したものより失敗したもののほうが、より多くの教訓を私にくれたということです。

もしも1つの会社に長く在籍していたなら、これほど多くの人と出会うこともなかったでしょうし、成功と失敗を行ったり来たりするような人生を歩まなくても済んだかもしれませんが(苦笑)、私にとってはこれらのすべてが、メンタリティやスキルの醸成に役立っています。

もちろん、だからといってプロ経営者を目指す皆さんに「私のように何度も転職しましょう」とは言いません。けれども、仮に1つの会社に居続けたとしても、経験できることは無限にあるはずです。新たな経験を求めて自ら動けば、今までで会ったことのない人とつながることもあるでしょう。未知の知識やスキルとの出会いもあるはずです。そういうものに対して積極的になっていけば、いずれ必ず役に立ちます。

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