バイアウトファンドの仕事内容について説明します。
【1】ファンドの組成
各種投資家より資金を集めるために、ファンドコンセプトの周知、チームの紹介等を行います。銀行、信託銀行、生命保険会社、損害保険会社、証券会社、年金等の機関投資家のほかに、事業会社や個人富裕層から資金を集めるファンドもあります。
● 投資対象(業界、対象企業のサイズ、投資手法)の決定
● 機関投資家、その他投資家への営業活動
● 契約書の作成、調印等のクロージング
【2】投資案件開拓
投資案件の開拓は大きく2つのパターンがあります。一つ目は、売主側から案件が持ち込まれるパターンです。投資銀行、FAS、ブティックM&Aファーム等の仲介アドバイザーから持ち込みこまれる事がほとんどです。
二つ目はバイアウトファンド側からアプローチするパターンです。ファンドの投資戦略に応じターゲット企業を選定し、投資銀行、FAS、ブティックM&Aファーム等の仲介アドバイザーやファンドの親会社やメンバーの属人的なコネクションから、アプローチを行います。
● 投資業界または投資テーマの策定
● 投資対象企業のスクリーニング/簡易評価
● 投資対象へのアプローチ
● 銀行への初期コンタクト(LBOの場合)
【3】投資実行
投資実行のフェーズに入ると、秘密保持契約書(NDA、CA)を締結するところから始まります。秘密保持契約書が締結できると、情報収集、各種分析を通じ、意向表明書(LOI)作成し、売主へ提示します。売主との合意がとれると基本合意書(MOU)の締結をおこない、デューデリジェンス(DD)の実施に入り、最終契約(DA)の締結、クロージングとなります。
● 事業分析、投資シナリオの作成
● 各種DD(ビジネス、財務、法務、人事等)の実施
● LBOモデルの作成
● 銀行からLBOローンの調達
● 投資後のインテグレーションプラン策定(100日プラン等)
【4】バリューアップ・モニタリング
投資実行が決定すると、投資先企業のバリューアップ・モニタリング業務を行います。バイアウトファンド、対象企業の状況によっても、ハンズオンの度合いは異なりますが、経営会議を通じてのモニタリング、外部コンサルタントを活用しての経営改善は共通して行われます。
● 経営計画の策定
● 各種リストラクチャリング業務
● 新規事業立ち上げ、M&A支援、人材採用等の実行支援
● KPIの設定とCFOからのレポーティング/取締役会への出席等を通じたモニタリング
【5】EXIT
投資先企業のバリューアップが終了すると、投資資金の回収へ入ります。投資利益の最大化は大前提ですが、投資先企業と売却先のシナジー等も勘案し、適切な売却先を選定します。
● EXIT戦略の立案
● M&A、IPO等の実行
タイトル(役職)構成と役割
各ファンドによりタイトル(役職)の構成は異なりますが、下記のような4階層から成るファンドが多く見られます。
【1】MD(マネージングディレクター)
【2】ディレクター
【3】VP(ヴァイスプレジデント)
【4】アソシエイト
投資ファンドでは1案件3~5人程でプロジェクトを遂行します。
タイトル(役職)構成例
各タイトルの役割
【1】MD(マネージングディレクター)
MDはファンド全体のパフォーマンスに責任を負います。また、一定の金額をファンドへ出資することを求められるケースも見られます。
【2】ディレクター
ディレクターは各案件の責任者として、投資先企業との交渉、バリューアップ責任を負いプロジェクトを遂行します。また、投資案件開拓も大きなミッションとなります。
【3】VP(ヴァイスプレジデント)
VPは各フェーズの実行責任者として、プロジェクトをコントロールします。アソシエイトへの指示出し、外部プロフェッショナルファームのコントロールを行います。
【4】アソシエイト
アソシエイトは各フェーズでの実行のメインプレイヤーとして業務を行います。各種分析業務、資料の作成、ロジの手配等を外部のプロフェッショナルファームを巻き込み行います。ファンドによってはアソシエイトクラスから投資先企業の経営者との交渉等も行える場合もあります。