未経験でコンサルティングファームへ転職するには
人気の転職先として取り上げられることも多いコンサルティングファーム。グローバルで活躍する一流企業の抱える経営課題に対して解決方法を示すという刺激的な仕事内容や、若い頃から活躍できる環境、高い給与水準などに対して憧れを持つ方もいらっしゃると思います。
一方で、多くの業界未経験の方々にとって見ると、「漠然としたイメージは分かるけれども、具体的にどのような仕事をしているのかは分からない」「未経験の自分が転職に成功できる気がしない」などの認識を持たれている方もいらっしゃると思います。そこで、今回は、コンサルティングファームの基本情報と共に、未経験の方がコンサルティングファームへ転職する方法を纏めてみました。
コンサルティングファームとは
まずは、コンサルティングファームの歴史や、コンサルティングファームの具体的な仕事内容、人気業種と呼ばれる理由などについて、見ていきます。
●コンサルティングファームの歴史
コンサルティングファームの歴史は古く、世界最初の経営コンサルティングファームと呼ばれるアーサー・D・リトルが誕生したのは、1886年にまで遡ります。日本でも、1966年にボストン・コンサルティング・グループが世界で2番目のオフィスを開いた後、マッキンゼー&カンパニーなどの外資系コンサルティングファームが次々と参入、国内のシンクタンク系や会計系ファームも拡大することで、コンサルティング市場は普及していくことになりました。ITバブル崩壊やリーマンショックなどの度に一時的な市場減退は経験しながらも、順調に市場は拡大し、今ではかなりの数の企業がコンサルタントを何らかの形で活用することが一般的になっています。
●コンサルティングファームの仕事内容
コンサルティングファームの仕事の内容は極めてシンプルです。クライアントが抱える経営課題を確認した上で、契約期間内での経営課題の解決に向けた具体的なゴールを設定し、実現に向けてお客様に対して提案を実現していくというものです。
10年以上前ですと、コンサルティングファームが、いくつかの提案資料を作成し、契約期間の最終日に社長をはじめとしたトップマネジメントに対してプレゼンテーションをするという形が一般的でした。
ところが、近年は実際にお客様にその戦略を実行して貰い、成果を出して貰うことがより大切という認識に立ち、大半のプロジェクトにおいて、お客様と一緒にプランを作り上げ、契約期間の後半は、実行にあたっての課題解決を現場の皆様と一緒に実現していくということが一般的になっています。
単に戦略を描くだけでなく、実行支援までを含めたコンサルティングに変化したことで、より多くの企業がコンサルタントを使うことに価値を感じるようになったとも言えるかも知れません。
●コンサルタントの働き方
コンサルタントは、お客様の経営課題に対して答えを導きだすため、プロジェクトごとに、かなり多様な仕事をこなすことになります。特に入社して数年の間には、コンサルタントとしての基礎スキルを身につけるため、以下のような仕事を求められることが多いです。
入社して暫くの間は、慣れないことも多いため、必然的に遅くまで働くことが多いと思います。ただ、仕事をこなすことで、確実にコンサルタントとしての実力も上がっていくのもこの期間の特徴でありますので、是非無理をしない範囲で頑張って頂きたいです。
●コンサルティングファームの歴史
コンサルタントは、お客様の経営課題に対して答えを導きだすため、プロジェクトごとに、かなり多様な仕事をこなすことになります。特に入社して数年の間には、コンサルタントとしての基礎スキルを身につけるため、以下のような仕事を求められることが多いです。
入社して暫くの間は、慣れないことも多いため、必然的に遅くまで働くことが多いと思います。ただ、仕事をこなすことで、確実にコンサルタントとしての実力も上がっていくのもこの期間の特徴でありますので、是非無理をしない範囲で頑張って頂きたいです。
●コンサルティングファームの人気の理由
コンサルティングファームの人気の理由は大きく3つあると思います。
①仕事自体の面白さ
・コンサルティングファームが取り扱うテーマの大半は、その企業の将来を左右するような重要な案件であり、社会に与えるインパクトも大きなプロジェクトとなります。そういった案件に関わり、方向性を一緒に決めていけるということは、非常に刺激的な経験です。
②豊富な成長機会
・コンサルティングファームでは、年齢関係なく、若いころから様々なチャレンジをさせられます。クライアントにとっては、あなたの年齢など関係なく、高い契約金を支払って雇っているコンサルタントの1人であるのですから、当然です。コンサルタントとしての、基礎スキルをマスターすることは勿論ですが、20代~30代にかけて、一流企業のマネジメント層の悩みや、それらをどの様に対処していくのかを共に経験していけることで、飛躍的な成長を遂げられることだと思います。
③高い給料水準
最後に、給料水準ということも人気の理由の1つです。一般的な事業会社と比べると、求められる仕事の量や内容が大きく異なるため、それに応じた形で給料水準も必然的に高くなります。
コンサルティングファームへ未経験で転職することは難しいのか?
コンサルティンングファームへの転職は未経験の方にとっては、かなり高いハードルと感じられるようですが、実際にはそんなことはありません。ここではその理由をいくつかお話したいと思います。
●コンサルタントの大半は未経験からの入社
コンサルタント会社の中途採用において、競合のコンサルティングファームから入社される方は実はかなり少ないです。コンサルティングファームによっては、中途採用の方のうち、競合のファームからの転職者が1割に満たない企業もあると伺います。
●コンサルティング市場の拡大に伴い、コンサルタント自体の数が不足
テクノロジーの進化やグローバル企業との競争激化などが高まる中で、コンサルティングファームに対する企業のニーズは高まる一方です。従来は、コンサルティングファームなどとは無縁であった業種においても、他業種の参入などによる競争環境の激化により、新たにコンサルティング契約を結ぶといった流れもございます。今後もそのような流れは続く中、新たなコンサルタントが業界全体として求められている状況がここしばらくは続くと考えられます。
●多様な人材が求められるコンサルティング市場
コンサルティングファームの業容が拡大し、より大きな価値をクライアントに届けようとすると、これまで以上に深い知識や業界に特化したノウハウが求められることも多くなりました。例えば、「デジタル」というテーマは、今やインダストリーの垣根を越えて幅広く求められるノウハウになっています。そうした中、コンサルティングファーム各社は既にデジタル領域の専門人材の採用を加速する動きも見せています。今後もこのように従来のコンサルタントが持ち合わせていない専門人材を拡充するための採用拡大が続くと考えられます。
コンサルティングファーム転職にあたってのエージェントの選び方
多くの方にとって転職活動は経験がなく、コンサルティング業界に対して知識も必ずしも十分ではない中、コンサルティングファーム転職にあたってエージェント選びは極めて大切です。ここでは、エージェントを選ぶ際のポイントについていくつかお話したいと思います。
●コンサルティングファームへの転職実績がある
実際に過去にそのコンサルティングファームへの転職者のエージェントを務めているかどうかは、大切なポイントになります。転職成功者が多ければ多いほど、エージェントとしても、どの様な方が受かりやすいのか、どの様な点を注意しなければいけないのか等のノウハウも貯まる傾向にあります。
●自分専用の担当者がついてくれる
転職活動において、色々不安や疑問に思うことも多いと思います。そうした際に、自分専用の担当者がついてくれていれば気軽にコミュニケーションをすることで、解決の方向性を見出すことが容易になります。
●転職を考えているコンサルティングファームの記事やインタビューなどがサイトに掲載されているエージェントによっては、コンサルティングファームのインタビューなどを沢山掲載していることがあります。それらのエージェントは、該当のコンサルティングファームとのリレーションも強く、定期的にコミュニケーションを取っていることが一般的です。その結果、ファームが求めている人材等について他のエージェントよりもより深く理解していることが多く、相談をした際により適切な回答を得られる可能性が高いと言えます。
未経験でコンサルティングファームに転職する方法
ここでは、コンサルティングファーム未経験の方を対象に、転職までの基本的な流れに沿う形で、それぞれの概要と大切なポイントについて説明していきます。
●コンサルティングファームの履歴書や職務経歴書の書き方
まずは、履歴書と職務経歴書の提出です。大きくは3つのポイントに注意して書いてみてください。
①これまでの経歴や仕事内容をできるだけ具体的に伝わるように書く
大手コンサルティングファームの場合は、毎月百人単位の応募があるとも伺います。そうした中で、面接に進めて貰うためには、印象に残るように、できるだけ具体的に何をしたかが伝わるよう記載して下さい。
②何故コンサルタントになりたいかの理由や動機を明記する
他の業種ではなくコンサルティングファームになりたい理由や、コンサルタントになった後に何をやりたいのかということを、できるだけ具体的に記載してください。ここでも、抽象的に記載してしまうと他の人と同じになってしまい、読んだ人の印象に残らなくなってしまいます。
③「あなたの強み」をこれまでの仕事での経験やコンサルタントとしての適性と関連付けて説明する
面接を実際にしていると、「本当にそんな強みがあるの?」「どうしてその強みがコンサルタントとして活かせるの?」という素朴な疑問を頂くことが多くあります。自分自身の強みを説明する際に、上記のような面接官の疑問に対しても、シンプルに回答できるよう、書類の段階から深く考えて、強みを記載するようにして見てください。
●コンサルティングファームの筆記試験
コンサルティングファームの転職活動において、多くのファームで筆記試験が求められます。内容は、新卒採用でも求められるような「判断推理」「数的推理」などになります。他にも論文試験を求められるコンサルティングファームも一部ではあります。
対策方法も、新卒採用同様、専用の対策試験本を購入し、繰り返し練習をすることにつきます。社会人として時間がないとは思いますが、練習をすれば、必ずパスできる内容ですので、余裕を持ってしっかり取り組んで下さい。尚、本番では、あえて時間が足りない量の問題を用意するファームもございます。時間管理には注意して、分からない場合は、あえて飛ばすという勇気を持って臨んでください。
●コンサルティングファームの面接対策
最後に、最も大切な面接です。ファームによって回数は異なりますが、多くの場合3~4回程度の面接を受けることになると思います。面接の内容は、いわゆるケース面接が一般的であり、特定の課題に対して、制限時間内に打ち手の方向性を提示することが求められます。ケース面接の対策本は最近では書店でも数多く販売されていると思うので、少なくとも1冊は事前に確認をしておいてください。その上で、面接をしている中で、よく陥りがちな注意点をいくつか書いておきます。
・全体を見ずに、部分の話から始める
課題を解決するためにはどの様なアプローチで取り組むことが大切なのか、最初に何を考えることが、何故大切なのか、という全体感を持った会話をできる人はかなり少ないです。
・理由が分からない、上手く伝えられていない
話している本人の中ではロジックが通っているのかもしれませんが、聞き手としては「どうしてそうなの?」と思うことは数多くあります。論理展開をする際は、意識的に理由を話すようにしてください。
・定量的な視点が少ない
100億円の売上げアップのための議論をしている際に、成功しても1億円の売上にしかならないテーマの深掘りをしていっても意味がありません。自分の話そうとしているテーマが、定量的な観点からも重要性があるということは常に意識してください。
最後に
コンサルティングファームへの転職活動は長く険しい道です。
今の会社でもご活躍されている皆様におかれては、通常業務に追われる中、僅かな隙間時間を探して書類作成や面接対策をこなすことは、新卒採用と比べると、比べ物にならない負担だと思います。
但し、そうした中でも、しっかりと知っておいて欲しいことは、今回の転職にむけて準備した活動は、コンサルタントとして実際に働く中でも非常に役に立つことがほとんどということです。
面接対策に向けた論理的な思考力の磨き込みや、何故、自分がコンサルタントとして頑張っていきたいのかということを改めて整理することは、あなたのビジネスマンとしてのキャリアにおいて極めて大切な機会になります。
是非、あきらめることなく、辛抱強く頑張りぬいて下さい。