コンサルティングファームに特徴的な企業文化

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はじめに

写真:コンサルティングファームに特徴的な企業文化

企業文化とは、その企業で働く人々の共有する価値観、ビジョン、慣行を指します。それは単なる組織のルールや方針に留まらず、日々の業務や意思決定のあり方にまで影響を及ぼします。そして、企業ごとに独自の文化がある中でも、コンサルティングファームという業界全体としての企業文化には特徴があると考えられます。

コンサルティングファームの企業文化が他の企業と異なる要因をいくつか挙げてみましょう。

1つは事業の特性として、自社を主体とした事業よりも、クライアントの事業を成功させることを目的としていること。ある企業に入社した人は、当然自社のビジョンに従い、事業を如何に良いものにしていくかを考えていきますが、コンサルティングファームにおいては様々なクライアントの様々なビジョンを理解し、その目的に合わせた課題解決方針を提供するなど、クライアントに合わせて活動することになります。

続いて、プロジェクトベースの仕事の仕方。事業会社においては、それぞれの社員に担当業務が割り当てられ、日々のやるべきことが明確であることが多いと思いますが、コンサルティングファームにおいてはプロジェクト以外の日常業務はほぼ存在しません。

また、人事ローテーションやキャリア形成等も大きな違いでしょう。最近は事業会社においても多様なキャリア形成が可能になってきていると理解しておりますが、これまでは最初に配属された部署を「背番号」とし、会社が定めるルートに従いキャリアを形成することが多かったのではないでしょうか。一方、コンサルティングファームにおいてはキャリア形成は個人の意思に委ねられている部分が大半です。

もちろんこれら以外にも様々な要因はありますが、本稿では、コンサルティングファームに特徴的な企業文化について、
● クライアントファーストという考え方
● プロジェクトベースの働き方
● キャリアの流動性
の3つのキーワードを中心に考察します。これを通じて、この文化がどのようにして形成され、企業のビジョンや慣行にどのような影響を与えているのかを明らかにしていきます。

クライアントファーストという考え方

コンサルティングファームにおいても、自社のビジョンやパーパスを設定することは近年一般的になりつつあります。ただ、自社のマーケティングコンセプトや注力領域を説明することはできても、ファームとしてのビジョンやパーパスを説明できるコンサルタントはそう多くないのではないでしょうか。逆に、担当しているクライアントのビジョンやパーパスについてはすぐに言葉にできる人の方が多いでしょう。なぜなら、コンサルタントは、入社時からクライアントファーストという考え方を叩き込まれるからです。自社に対して考える時間の数十倍をクライアントについて考えるために費やします。

クライアントファーストという言葉はコンサルティングファームにおけるマジック・ワードです。社内の調整事項にはクライアントとの対応に優先順位がつけられます。例えばコンサルタントが自社の社長との面談の時間に、重要なクライアントとのコールが設定された場合は、そちらを優先しても咎められることはありません。

一般事業会社においても、当然お客様を重視する姿勢はもちろん存在すると思いますが、社内よりも圧倒的に社外を優先する点では企業文化の違いとして挙げられるのではないでしょうか。時にそれが行き過ぎると、社内対応や業務を軽視することにもつながってしまうことがあるので、正しく理解することが重要です。

プロジェクトベースの働き方

コンサルティングファームで働く人々にとって、「日常業務」という概念はほとんど存在しません。多くの企業では、定型的なルーティン業務が組織の運営を支える重要な役割を果たしますが、コンサルティングファームではそのような定常業務が本質的に不要です。

コンサルティングファームの業務は、クライアント企業の課題を特定し、それを解決するための具体的な提案を行うことにあります。これらの課題はクライアントごとに異なるため、全く同じプロセスを繰り返すことはほとんどありません。たとえば、あるプロジェクトでは新規事業立案の支援を行い、別のプロジェクトでは業務プロセスの改善提案を行うといったように、毎回新しい問題に取り組む必要があります。

こうしたプロジェクトベースの働き方は、事業会社を経験された方にとっては戸惑いの対象となっています。特に入社後すぐにアサインが決まらないようなケースにおいては、入社時研修を終えても何もすることがなく、どうしたらよいかという相談を受けることがありました。基本的にはそういう時は自己学習の時間として捉えてくださいとお伝えしております。この自己学習の時間というのは、優しいようで厳しい時間でもあります。次のアサインに向けて、自分自身に何が不足しており、何を充足すればよいのかを考えなければいけません。特に転職したての人にはハードルが高いでしょう(もちろん、そういった不安解消のためにメンター制度やフォローの仕組みを設定しているファームが多いですが)。

プロジェクトベースの「非日常性」は社員一人ひとりにとって常に挑戦を意味します。過去の経験に基づく知識やスキルは役立つものの、それだけでは不十分であり、常に新しい知識を吸収し、状況に応じた柔軟な対応が求められるのです。この点から、コンサルティングファームでは「学び続ける文化」が重要な価値観として共有されています。社員は、新しい業界や分野に飛び込むことを厭わず、未経験の課題にも積極的に挑戦する姿勢が求められます。

キャリアの流動性

コンサルティングファームの文化を語る上で、流動性の高さは欠かせない要素です。この流動性は、社員のキャリアパスと組織の構造の両面に現れます。

まず、社員のキャリアパスにおける流動性です。コンサルティングファームの多くでは、社員が短期間でスキルを磨き、市場価値を高めていくことが奨励されます。このような環境では、ある程度の経験を積んだ後に他業界や起業に挑戦する社員も多く、社内外でのキャリアの移動が活発です。また、プロジェクトベースの働き方により、社員は短期間でさまざまな業界や課題に触れる機会を得られるため、多岐にわたる知見やスキルを身につけることができます。

今は多くの日本企業においても転職が一般的なキャリアパスとして認識されていますが、コンサルティングファームはその先駆けといってもいいでしょう。コンサルティングファームに入社を検討される方の中には、成長のためのキャリアパスとしてコンサルを中間目標として定められる方もいらっしゃいますし、ファーム側もそれを受け入れます。筆者も面接において「将来経営者になりたいので、まずコンサルで広く経験を積みたい」という方に何人もお会いし(能力が期待値に合えば)採用判断をしてきました。

一方で、組織全体の構造も流動的です。プロジェクトのニーズに応じて人員が柔軟に配置されるため、社員は一定の部署に固定されることなく、さまざまなチームやプロジェクトに参画します。このような仕組みは、変化に迅速に対応できる組織運営を可能にする一方で、社員にとっては安定性の欠如という側面もあります。一般事業会社にあるような、「上司と部下」の関係も希薄です。帰属意識の低さも近年課題になっています。

この流動性は、コンサルティングファームの「柔軟性」や「スピード」を象徴するものであり、同時に社員にとっては適応力を試される要素でもあります。こうした流動的な環境に適応できる人材が、コンサルティングファームでは特に重宝されるのです。

終わりに

本稿では、コンサルティングファームの企業文化について、「クライアントファーストという考え方」「プロジェクトベースの働き方」「キャリアの流動性」の3つの観点から考察しました。これらの特徴は、コンサルティングファームがプロジェクト型業務や成果主義に基づいて運営されていることから生まれています。

この独特な文化は、社員一人ひとりの自立性や柔軟性を育むと同時に、高い成果を求める厳しさも伴います。それは、常に学び、変化に対応し続ける覚悟を持つ人にとっては非常に魅力的な環境であり、成長の機会を提供するものです。一方で、安定性を求める人や固定的な上下関係を好む人にとっては、挑戦的な環境といえるでしょう。

コンサルティングファームの文化は、変化を受け入れる力と成果を追求する精神によって成り立っています。これらの価値観が、企業や社会全体に与える影響は少なからずあるのではないでしょうか。

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Profile

プロフィール

写真:戦略コンサルタント

戦略コンサルタント

新卒で内定したコンサルティングファームが買収され、そこからIT系、総合系ファームで様々なプロジェクトを渡り歩き、外資系戦略コンサルティング・ファームへ転職。現場から経営との対話まで多様な経験を保有する。


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