はじめに
何日か徹夜に近い状態が続くタイミングでは、どうしても心が弱くなります。
「あぁ、、、自分は何をしているんだろう。これ終わったら次のキャリアを考えよう」と朝日を見ながら頭をよぎることもあります。しかし、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではありませんが、結果として良いアウトプットが出たり、クライアントに感謝をされたりすると「天職だな。続けよう」という気になります。非常に不思議なものです。
なお、働き方については覚悟の上でコンサルティングを始めたので、一過性のものとして後悔することはありますが、心の底から後悔したことはありません。むしろ、このような経験はほとんどのコンサルタントにとって、典型的な"コンサルあるある"ではないでしょうか。
多分、多くのこれから転職を志す方にとっても働き方については、想定の範囲内の話ではないでしょうか。その為、今回は働き方以外の部分で、お伝えできればと思います。
転職者の皆さんからは、コンサルティング業界へ志望する理由として、キャリアアップや成長の機会として期待されている趣旨の話をよく聞きます。
まさに、ここについて私が少し後悔と言えばよいのか、自縄自縛の状態に陥っていると言えばよいのか、迷う部分ではありますが、今回のテーマであるコンサルファームでの後悔話を、お伝えできればと思います。
コンサルティング業界以外に転職することへの恐れ
コンサルティング業界へ転職した後に自己成長し、そして、キャリアアップする形で事業会社での経営幹部候補やスタートアップの創業又は参画を、キャリア展望として描く方は多いかと思います。私自身も積極的にはコンサルティング業界以外を選ぶことはないものの、もし機会があればそのような選択肢も良いかもしれない、とコンサルティングの仕事を始めた当初は考えていました。
しかし、現時点ではコンサルティング業界以外に転職することを躊躇し、恐れていると言っても良い自分自身がいると自己認識しています。その理由は大きく2つあります。
1つ目となりますが、コンサルタントは常日頃から「クライアント企業が自社のみで解決を仕切れないイシューに関する解決」を依頼されます。
そのため、コンサルタントは次第に「コンサルティングファーム以外の企業はほぼ先行きを含めて危ない企業ではないか?」と感じるようになってしまいます。
もちろん、大多数の企業は良く経営され、機能していることは知っていますし、頭では、そんなことはないとは分かっています。
しかし、長年にわたり心理的・感情的に刷り込まれている自分の存在も感じます。
特に、コンサルティングサービスを提供する過程で、クライアント企業内での人間関係のしがらみや非合理な意思決定、ドロドロとした社内闘争を目にする機会も多いことから、余計にそのような考えを抱いている自分がいる可能性も否定できません。
2つ目は、コンサルティングファームの給与水準、並びに役職/責任権限が同年代の事業会社の方と比較して高めであることです。
つまり、生活水準を下げて生活するイメージが湧かない、今更、良く分からない不合理な指示の下で働くストレスに耐え切れそうにないのではないか、といったことを理由に、コンサルティング業界以外への転職を恐れるようになります。
成長圧力に対する疲れ
一方で、現在貰う給与や責任権限に見合う価値を提供し続けることが出来るのか、という不安は常に持ち続けています。日々、コンサルティング業界に参画する優秀な方がおり、それらとの競争に勝ち残り続けた上澄みのコンサルタントと、今後も戦う気力はあるのかといった不安です。
どのコンサルタントもあえて口に出すことはないですが、思っているのではないでしょうか。背景にはUp or Outのポリシーはファームにより濃淡あるものの、実際に隠然としたルールとして存在しています。この「Up」は役職のみ意味せず、シニアに近くなれば近くなる程、昨日の自分より成長が出来ているかという意味合いでの「Up」を強く求められます。終わるとも知れない成長への圧力にさらされる時、ふと心の平穏が欲しいと後悔することはあります。
最後に
大きく責任や役割を任される、意思決定の上流に関われる、給与水準が高いといった、コンサルティング業界を語る魅力的な側面もあれば、表裏一体として、中々、現役コンサルタントが口にしない側面もあります。但し、何事にも良い面と悪い面の表裏一体があり、その良い面に照らして、一方の悪い面をどの程度まで許容できるかにより、意思決定がされるとも思っています。
本テーマは後悔したことがありますか?ということで、色々とネガティブなことは書いていますが、私自身は悪い面を含めて楽しいと思っています。
それは、コンサルティングという仕事を通じて、多面的に物事を考える経験を通じて到達した1つの境地かもしれません。
皆さんも、若い内から多面的に物事を考える経験や、そういった経験を通じた人生観を身につけられると、より良いキャリアが掴めるようになるのではないでしょうか。