はじめに
記事の出だしをよくよく振り返ってみると、だいたい同じトーンでの始まりと思われるかもしれません。今回も、同じように年末年始の過ごし方はプロジェクト状況次第であるというのが、実態ではないでしょうか。但し、過去のコンサルティング業界との比較で考えてみると、クライアントの働き方改革を主のドライバーとして落ち着いた過ごし方をされる方が増えているとは思います。
また、プロジェクトベースで動くコンサルティング業界ですが、現実にはテーマに季節性が存在します。その為、年末年始も、その季節性のテーマに強みを持ったオファリングを持つファームや、そのケイパビリティを持つコンサルタントがプロジェクトに忙殺されているのではないでしょうか。
本日は、その年間サイクルに沿って発生しがちなコンサルティングテーマの実際のところを紹介しつつ、その背景を踏まえた年末年始の過ごし方をお伝えできればと思います。
年間サイクルの中で良く相談されるテーマ
年間サイクルは、日本企業の年度始まりに沿う形で以下4つに大まかに分類されるのではないでしょうか。尚、大まかな傾向の為、この季節はこのテーマのプロジェクトしかない訳ではありません。
4~5月
この時期はクライアント内の異動や、プロジェクトの企画段階である事が多く、コンサルタントの稼働率は年で最も低くなる傾向にあります。この時期は前年度からの継続テーマ(特にPMO系)が多くバラエティーに富んでいます。
6~9月
この時期は秋口に向けた中期経営計画発表に向けた策定支援やリサーチプロジェクト、中経に盛り込む目玉となる新規事業の計画立案、そして事業会社を主体としたM&Aのスタディが増え始めます。この季節は5月までの過ごし方との反動で、気分的に非常に疲労がたまる季節となります。
10~12月
この時期は、主にファンドや銀行がクライアントになって開始されるDDが増え始めます。色々な事情はありますが、例えば各事業会社は中経策定結果を踏まえたカーブアウト、又は買収といったM&Aを実行に移します。その際にアドバイザー系の人たちへの相談(そして、その先にあるコンサルティングファームへのDD依頼)が増えるといった背景もあります。この時期は、複数ファンドから同案件へのDD依頼が持ち込まれる事もあり、どのファンドと実施すべきかというのもファーム内では話し合われたりします。
1~3月
年度末に向けて各事業会社での予算策定もほぼ終わり、人事異動の発表も増え始めます。その為、クライアント側も積極的に新しいプロジェクトを立ち上げて頑張るぞ!、という雰囲気にはなることは少ないです。結果、年度末の予算消化として少額でのリサーチや(頭の体操に近い)新規事業領域への進出検討への相談が増える傾向にあります。イシューベースと言うより、決められた予算範囲で出来ないか?という相談が多くなります。その為、あまり積極的には受けたくないと思いつつも、4~5月の低稼働に備え、提案をすることが多くなります。
以上が年間サイクルに沿って発生しがちなコンサルティングテーマとなります。今回のテーマである「年末年始の過ごし方」という観点では、DDにアサインされるか否かが、多忙になるか否かの分かれ道になるなと経験を通じて思うところです。私自身も年度末もメールや電話でインターナルでの打ち合わせを実施し、帰省する新幹線でも分析作業をしていた、苦い記憶があります。
プロジェクトが忙しくない年末年始の過ごし方
しかし、多忙なプロジェクトにアサインされていなければ、年末年始はコンサルティング業界以外の方と同様に穏やかに過ごすことになります。
過ごし方を同僚や他ファームの友人に聞いてみたところ、最も多い回答として挙がったのは普段は読めない本の消化となりました。似たような回答としては専門領域における海外の先端事例を把握しておく、新たな領域に関する勉強をする、とったようにインプットの時間として使用する方が多い模様です。私自身もインプットの時間として年末年始を過ごすことが多いと思います。
次に多く回答として挙がった過ごし方は、マーケティング活動の一環として、記事の原稿を取り纏める、オファリングを整理する、といったアウトプットの時間となりました。そして、1~3月、4~5月といった比較的、稼働が低くなる時期の合間を使って原稿やオファリングを最終化していく、というサイクルで過ごされる方が多くなります。
最後に
今回、年末年始の過ごし方の意見交換をした方々は、一定年数以上はコンサルティングを続けるマネージャー以上の方となります。実際、ジュニアと年末年始に何をした?という話をしていると、旅行、彼氏/彼女と過ごした、帰省して昔の知り合いと遊んだ、といったリラックスした過ごし方をしている模様です。その為、今回の内容は、ジュニアよりもファーム中心の生活になっているシニアの年末年始の過ごし方ではないかなと思っていますので、その点だけ注意を頂ければと思います。
皆さんの中でもコンサルティング業界へ興味を持たれる方がいるかと思いますが、ジュニアの内はワークライフバランスを保ちやすいと思いますので、その点は安心してチャレンジしても良いと思います。