はじめに
今ではすっかりとWEBを使用した会議がクライアントにも浸透してきました。
たった1-2年で企業内の慣習や行動が変容している姿を見ると、今では古典の様に扱われる企業変革力(ジョン・P・コッター著)でも触れられていた「危機意識」を持つことは、やっぱり重要であると再認識している次第です。
余談ですが、最近のコンサルタントに対し、ジョン・P・コッターというリーダーシップ論や企業変革(今流だと「トランスフォーメーション」)の大家の名前を出しても、キョトンとされるというコンサルティング業界の地盤沈下は日々感じています。
以前問題とされていたWEB会議でのアクシデントといえば、
「WEB会議で使用したい資料の投影方法が分からない」
「音声を切らないまま社内の会話をしてしまう」
「生活感のある背景が映り込んでしまっている」
といったような、ツールの扱いによるものが多くを占めていました。
しかし、WEB会議が普及し、多くの人がツールの使い方にも習熟してきた結果、更に一歩踏み込んだポイントが問題になってきていると感じています。
つまり、「WEB会議をいかに対面での会議に限りなく近い、あるいはそれ以上の生産性を実現する場にするか」という、WEB会議の質に関心が高まっています。
イメージの通り、こんにちのコンサルティング業界ではWEB会議が主流となっています。
そして、生産性向上を実現する高度化に向けたポイントを日々意識をして仕事をしています。この生産性向上へのこだわりはコンサルタントがそれなりの額のフィーでクライアントとプロジェクト契約をしている事情も背景に存在しています。クライアントの立場になってみれば、最低限は支払い額に見合う価値を提供して欲しいものです。そのため、クライアントはアウトプットの良し悪しのみならず、その進め方についても(成果とは関係ないとはいえ)気持ちよく支払っても良いと思わせてもらう振る舞いをコンサルタントへ期待しています。コンサルタントもその期待を超え続けるために、生産性へのこだわりを持ちつづけます。
本日は、現在のコンサルティング業界において意識されている、生産性向上を実現する高度化に向けてWEB会議で気をつけたいポイントの一端をお伝え出来ればと思います。
気をつけたいポイント:非言語コミュニケーションの補完
WEB会議は対面での打ち合わせと比較すると、どうしても非言語的な要素が伝わりにくくなります。
結果として、コンテンツが良かったとしても非言語的コミュニケーションの影響が大きいコンテンツへの相手の受容度がどうしても高まりにくくなります。
具体的に言えば、「価値ある内容を報告したけど、反応が悪い。」というクライアントインパクトの低い状態です。
これは対クライアントの場面以外でも発生します。インターナルでの資料レビューやフィードバックの際にも同様の事象が起きます。「なんか上手く伝わってない気がする。」という状態です。
そのため、この非言語コミュニケーションの影響が下がり易いという前提に立った上で、気をつけてWEB会議を進めていく必要があります。
たとえば先ほどのクライアントインパクトの側面では
●印象に残るメッセージやエピソードにこだわる
●コメントした内容を直ぐにスライド化して会議終了1時間以内に送付する
といった、"劇場型政治"改め"劇場型コンサルティング"を実現していくような工夫となります。
また、社内だと対面での会議で使用できたホワイトボードの代わりに、共同編集できる状態のファイルを一つ用意して、その場でパパっと抽象度の高いイメージチャートを作ったり、過去資料からイメージチャートを挿入したりします。
ただし、非言語コミュニケーションを補完する際には、漏洩リスクやハラスメントで討たれるリスクを回避する工夫が必要です。
WEB会議は画面のキャプチャや手元での録音を他会議の参加者にばれることなくできるようになります。そのため、余談ですが、コンサルティングファームが主催するWEBセミナーでも、漏洩リスクを恐れて具体的な情報をなるべく開示しないように最近はなっています。また、そういった場で話すエピソードもハラスメントに抵触しないことを指導されます。このことは以前は良くいた"尖った"コンサルタントを生み出さないようになっている理由の一端かもしれません。
最後に
WEB会議内でのポイントという観点以外だと、WEB会議の設定タイミングというスケジューリングの観点でも気をつけたいポイントは存在します。
当然ですが、WEB会議では会議場所から会議場所への移動時間が発生しません。そのため、WEB会議が前提となった今では、明らかに移動を考慮しないスケジュール設定が増えてきています。
その結果、ミーティングが時間通りに終わらなかった場合に、次のミーティングへ遅れて参加することで迷惑をかけるか、現在出席中のミーティングで良い所だけど退出して迷惑をかけるかという二択を迫られるケースが発生しやすくなっているのです。
そのため、以前はオフィス間の移動時間が代替していたバッファを前後30分設定するといった点に気をつける必要があります。
本日は全てを紹介し切れませんでしたが、コンサルタントの実践するWEB会議で気をつけたいポイントに興味のある方は、是非コンサルティング業界へ飛び込んで体験して頂ければと思います。