戦略コンサルと総合コンサルの違いとは?

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はじめに

写真:戦略コンサルと総合コンサルの違いとは?

以前に比べて、近年では戦略ファームと総合ファーム間でのコンサルタントの行き来が増えています。そのため、最近の傾向としては、戦略ファームか総合ファームかでの違いは大きく存在するものの、どちらかといえばパートナーやシニアマネージャーに紐づくチーム間での違いが目立つようになってきました。

そのため、ファーム間でのリテラルの転職においては「どこのファームというよりは、そのファーム内で誰と仕事をしていたか」を気にする場面も増えてきています。結果、知名度のあるファームに入社したら次の転職は楽になる、ということはなくなってきました。

戦略ファームと総合ファームの違いで、最も大きなものが採用する人材に求める基準(ケイパビリティ)です。基本的に、コンサルティング業界は労働集約型産業なので、人材の違いがそのまま業界の違いとして現れます。

結果、戦略ファームで戦略コンサルティングを提供していたコンサルタントが総合ファームへ転職しても同じような勝手で仕事が出来るわけではなく、どうしてもやりにくい部分があるとよく聞きます。

また、逆に、総合ファームでコンサルティングをしていたコンサルタントが戦略ファームへ転職した場合に、今まで自分がしていたのと同じ「コンサルティング」という仕事だとは思えないことがあるというのは、そのような転職をしたコンサルから例外なく聞かれると言っても過言ではありません。

何を言っているかというと、総合ファームで採用する人材を戦略ファームのケイパビリティをもったマネージャーが十分に活用しきれるかというと、そうではないということです。またその逆のパターンも然りです。

このことはケイパビリティの高い低いという観点というよりは、求められるケイパビリティの違い(例えば、「論理性や深い知見」と、「その場でのレスポンスやコミュニケーションの良さ」どちらをより求めるか、等)が根底にあります。その違いが採用基準に反映され、そして結果としてファーム間を転職したコンサルタントにとっての仕事のやり易さ・やりにくさに反映されているようです。私自身も戦略ファームも総合ファームも所属したことがあるので、その違いは強く感じていました。

成果物の違い

それでは、クライアントにとっての戦略ファームと総合ファームの違いは何でしょうか?
これは、大きくは成果物の品質だと言えると私は考えています。
もちろん、このことはクライアントも十分に理解をしており、またその違いを期待しているので、総合ファームと比較して高めな戦略ファームのコンサルティングフィーが受け入れられているのです。

(余談ですが、以前は成果品質がフィーに大きく影響を及ぼしていましたが、最近はニーズとコンサルタントの人材不足により需給の観点からフィーがあがっていることから、今後、需給が一段落ついたのちには、現在フィーをあげているコンサルティングファームは苦戦するのではないかと業界内では見ています。もし皆さんもコンサルティングファームを志望されるなら、志望先の将来性を見る上では、その点も面接で質問をしても良いかもしれません。)

では、具体的になぜ成果品質は異なるのでしょうか。それは大きく3つの観点で整理できます。

1つ目はインプットの観点です。
どんなに腕の良い料理人であったとしても材料が良くなければ料理の美味しさも異なります。同様にコンサルティングにおいても、いかにイシューを解く上で必要な情報を解像度高く集められるかが品質に影響します。戦略も総合も両ファームに所属していましたが、戦略ファームは集め方の基盤とノウハウがあるのが、まずは大きな違いではないでしょうか。

2つ目は収集した情報の処理の仕方です。
よく戦略ファーム内で聞くのが「社内レビューの方がクライアントへのプレゼンテーションよりも大変」というコメントです。総合ファームのビジネスモデルでは一人のシニアが多くのプロジェクトを担当します。そのため、社内レビューにそこまでシニアは力をかけることができません。その結果、クライアントミーティングの場が"燃える"ことも少なくありません。

一方の戦略ファームでは社内で"熱血指導"が入ることは多いものの、クライアントミーティングはすんなりと終わることが多くなります。改めですが、ビジネスモデルの違いに起因した働き方やクライアントとの働き方の違いなので、その優劣を論じるものではありません。

最後の3つ目はインプットしてプロセスで処理した後に出てくるアウトプットの観点です。
成果物はあくまでイシューベースで纏めていくことが徹底されています。コンサルティング業界における働き方や資料作成方法のお題目として唱えて、お茶を濁しているという話ではありません。戦略ファームでは徹底的に「なんでそれを検討しているのか?」「今検討する必要があるのか?」といった点が常に社内のミーティングで問われることとなります。

一方の総合ファームでは、たとえ成果品質がファームの基準に満たなかったとしても、プロジェクトが前に進めばよいという一定の割り切りの下で進められているように感じていました。これも重視する点の違いに起因する話で優劣を論じる話ではありません。

最後に

現在、私自身が戦略ファームに所属するため、少し戦略ファームが凄いといった印象を与えてしまったかもしれません。
ただ、そういった優劣を伝えたい訳ではなく、戦略と総合ファームの違いは社会的に求められている役割の違いに過ぎないと思っています。総合ファームには総合ファームにしかできない価値の出し方があります。例えば、多くの人を必要とするシステム構築やPMI(Post Merger Integration)といったプロジェクトは総合ファームが担当するケースが多くなっています。
どちらにせよ、皆さんにおいては違いがあるというのを理解した上で、自身のキャリアにとってフィットする方を選択されることが良いのではないかと考えています。


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Profile

プロフィール

写真:戦略コンサルタント

戦略コンサルタント

大学卒業後、HR系スタートアップにジョインした後、国内外のコンサルティング・ファームを経て外資系トップ戦略コンサルティング・ファームへ転職。現在、コンサルタントとしてのみならずファーム経営の舵取りも実施。


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