商社業界研究

総合商社について(総合商社とは/商社の歴史/事業領域/5大商社の概要)

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総合商社について

総合商社とは

日本独自の発展を遂げたユニークなビジネスモデルです。海外にも多国籍商社というものや専門商社は存在しますが日本のような発展はみられませんでした。取扱い商材が多岐に渡り、世界中に展開しその売上規模は兆を超える存在は稀有です。欧米の商社は選択と集中やその機能をメーカーに取って代わられるなどのため総合商社にはなりませんでした。

商社斜陽論、不要論、冬の時代など厳しい時期もありましたが、変化を機会と捉えビジネスモデルを進化させ生き残り、生き残るだけではなく今や莫大な利益を稼ぎ出しています。

輸出入貿易のトレーディング中心のマージン収入、投資事業による配当、金利、売却益、連結及び関係会社による製造・サービス事業の事業収益などその収益モデルも多角化してきています。

三菱商事、三井物産のトップ2社は年に1兆円前後の投融資を行っていますがこれは世界を代表する外資系PEファンドの運用額にも負けていません。総合商社が凄まじい規模の投資家であることを物語っています。

因みに、日本初の総合商社は三井物産で1876年に設立されています。総合商社の総合とは、扱い商品が多岐に渡ることの総合、グローバル展開の地域の総合、そしてトレーディングをベースとして投資・事業開発、マーケティング、IT、物流のサービスや機能の高度化、総合化の総合です。

商社の歴史

その歴史は明治以降の近代化と同じくしています。幕末から明治初期の貿易は外国商館により牛耳られており、独占や日本人にとって非常に不利な条件による搾取のような形態でした。そのため日本人の手による貿易を行うことが当時の国益に適うことでした。

外国商館を通さず石炭の直輸出を始めて成し遂げたのは三井物産ですが、そのためには輸出先の事情に明るく英語を巧みに話しそれだけでなくタフな交渉を成し遂げることのできる極めて優秀な人材が必要でした。明治時代に今と変わらない人材を育成していた「人の三井」には驚くばかりですが当時はやはりそう簡単なことではありませんでした。

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多くの商社はこのように日本人自らによる貿易を行うため設立され、時代のニーズに応えるように近代化に貢献してきました。そして、戦後は財閥解体により一旦は各社解散することになりますが再度新会社として合同し、復興のため、事業構造の高度化に邁進していくことになります。

高度成長期には総合商社は積極的に資源開発への融資や経営参画を開始し、ニクソン・ショック、オイル・ショックを経てエネルギー開発投資、金属資源の安定供給に取り組みました。

バブル崩壊後は財テクの失敗や不動産事業の損失などからリストラを行うとともに10大商社が7大商社に投合されるなど業界の再編がありました。最近では生活産業領域にも積極展開しており総合事業会社へと変貌を遂げています。

商社の強み

環境適応能力、新たな事業を創造する力、リスクマネジメント、資金力、人材などですが強みの元はやはり「人」以外にありません。明治時代から、大卒者を雇用し、海外に派遣し、経験させて長期に渡り人材を育成してきました。その分厚い人材の蓄積が強みの源泉です。

三井物産の創業者である益田孝は「三井には人間が養成してある。これが三井の宝である」と口癖のように述べていたと伝えられています。日本で最も優秀な人材を獲得し続けていられる限り総合商社はこれからも輝く存在であり続けることができるでしょう。

事業領域

各社の事業領域はおおよそ以下のようになります。

◆ エネルギー分野(石油、LNG、再生可能エネルギー、シェールガスなど)
◆ 金属分野(金属資源、鉄鋼製品)
◆ 化学品分野(化学品原料、農薬他)
◆ 機械・インフラ分野(輸送用機器、IPP、プラントなど)
◆ 生活産業(食糧・食品、ファッション、サービス、流通・コンビニ、都市開発など)
◆ 次世代・新分野(金融、情報、物流など)

明治初期の茶、米、石炭等を輸出し富国強兵のため産業機械などを輸入することから始まり、現在では上記のような幅広い事業領域を有しています。

各事業領域では伝統的なトレーディングを通じて培ってきたネットワークを駆使して、川上(資源、原料等)から川下(最終製品や小売・サービス業)までの各段階に自らが投資し全ての収益機会を押さえて収益の最大化を図る「バリューチェーン戦略」を取っています。

自動車販売のバリューチェーンの場合、ある国にメーカーの輸入総代理店を設立する。そこではマーケティング活動を行い、傘下のディーラーチェーンを構築していく。日本から完成車を輸入し商社の資金力を活かしてクレジット販売のための金融子会社も設立する。販売台数が増えて現地生産の必要性が出てくるとメーカーと共同出資し工場を設立、経営に参画する。そして自動車部品や必要な鋼材、部材も商社が調達する。

このように「輸入・卸売」「小売」「金融」そして「生産」「調達」にまでも関与して自動車販売の各段階で儲ける仕組みを構築していくのがバリューチェーン戦略です。

代表的な事業
エネルギー
  • industry_1.jpg石油、天然ガス、再生可能エネルギー(ソーラー、風力他)など資源のない我が国は石油・ガスのほぼ全量を輸入に頼っており、それを担う商社の役割は大きい。2003年ごろから原油価格は上昇を続け(リーマンショック時以外)ており後程説明する金属資源と同様に商社の稼ぎ頭である。ビジネスモデルは、オイル、ガスの上流権益の取得、天然ガスの液化プラントによるLNG生産、原油、石油製品のトレードなど幅広く展開している。
金属資源
  • industry_2.jpg石炭、鉄鉱石、銅、ニッケル、アルミニュウムなどを扱う。新興国の需要拡大により取扱量が増え業績の向上に大きく貢献している事業。三菱商事の石炭、三井物産の鉄鉱石は他を圧倒している。伊藤忠は鉄鉱石と石炭、住友商事は銅、銀などの非鉄金属、丸紅は銅、双日はレアメタルに注力している。三井物産の鉄鉱石事業は3大メジャーに次ぐ第4位に位置しておりブラジルとオーストラリアの2大生産地に権益を有しているのが強み。
IPP事業(インデペンデントパワープロデューサー)
  • industry_3.jpgEPC(エンジニアリング、プロキュアメント&コンストラクション)を手掛けていた各社はプロファイの組成、電力売買のノウハウなどを学びIPP事業に参入した。IPP事業は日本ではまだ緒に就いたばかりだが発送電が分離されていることが条件である。公益事業分野に民間の資金や活力を入れて効率的に運営することが狙いで1980年代後半以降世界中で広がりを見せた。発電所を製造し運営、電力を卸売りすることで莫大な投資を長期に渡って回収し安定した収益を上げるビジネスモデル。日本では各地域の電力やガス会社が電気・都市ガスの供給を行っているが世界ではこのような形態は珍しくない。丸紅は日本最大級の発電事業者(総合商社では1位)で早くから取り組み世界22か国で事業を展開。長期で安定的な収益を確保している。住友商事、三井物産がそれに続いている。
食糧・食品
  • industry_4.jpg商社は川上の食糧の生産・調達から川中の食品卸、そして川下の小売りまでバリューチェーンを有している。丸紅は米国第3位の穀物商社のガビロンを約2900億円で買収、今や穀物メジャーと呼べるほどの取扱量を誇っている。
    三菱商事は食品・菓子メーカー90社近くと三菱フードグループを作っており、また卸の三菱食品、コンビニのローソンを経営しており食品領域は大変強い。伊藤忠も日本アクセス、伊藤忠食品の卸2社とファミリーマートを持っている。また、ドールのアジア青果物事業と世界の加工品事業を買収し食糧・食品事業を強化している。三井物産はブラジルのマルチグレイン社の買収で農業集荷事業及び農業生産事業に参画した。また、セブン&アイ・ホールディングスに約500億円の出資を行い関係強化に努め、共同で中国の重慶市でコンビニの展開などをしている。
ヘルスケア事業
  • industry_5.jpgこの領域でリードしているのは三井物産である。2011年ASEANの一大病院チェーンであるIHH社に約950億円を投資して経営に参画した。
    IHHはシンガポール証券取引所に上場後もアジア域内でM&Aを進め更なる規模の拡大を目指している。またインドのジェネリック薬品の会社を買収するなど国内外でバリューチェーンを強化している。

5大総合商社の概要

◆ 三菱商事
三菱商事の会社情報

http://www.mitsubishicorp.com/

【特徴】総合商社のトップ。資源分野、非資源分野ともに強固な収益基盤を持つ。資源では石炭とLNGが主力。
非資源は生活産業と機械が強い。生活産業は三菱食品、ローソン、ライフコーポレーション等を有し機械ではいすゞ自動車、三菱自動車とパートナーシップを組み海外自動車事業を展開。部品調達、組み立て、ディーラー事業、販売金融までを行っている。

  • 【創立】1954年7月1日(設立1950年4月1日)
  • 【資本金】204,446,667,326円
  • 【事業内容】地球環境・インフラ事業、新産業金融事業、エネルギー事業、金属、機械、化学品、生活産業の7グループにビジネスサービス部門を加えた体制で、幅広い産業を事業領域としており、600社を超える連結対象会社と共に、世界中のお客様とビジネスを展開
  • ◆ 三井物産
    三井物産の会社情報

    http://www.mitsui.com/jp

    【特徴】日本最初の総合商社。資源分野を中心に強い収益基盤を有する。鉄鉱石、原油・ガス、LNGが強い。原油・ガスの生産量は商社トップである。資源ばかりが注目されているが非資源分野にも積極投資を行っている。海外IPP事業、ブラジル農業事業、ダウ・ケミカルとの合弁事業やASEAN最大の病院チェーンIHHへの900億の投資など今後大いに期待を持てる。

    【創立】1947年(昭和22年)7月25日

    【資本金】341,481,648,946円

    【事業内容】鉄鋼製品、金属資源、プロジェクト、機械・輸送システム、化学品、エネルギー、食糧、食品事業、コンシューマーサービス、次世代・機能推進の各分野において、全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力などを活かし、多種多様な商品販売とそれを支えるロジスティクス、ファイナンス、さらには国際的なプロジェクト案件の構築など、各種事業を多角的に展開
    ◆ 住友商事
    住友商事の会社情報

    http://www.sumitomocorp.co.jp

    【特徴】1945年に商事部門に進出。バランスのとれた事業ポートフォリオを構築している。資源分野は非鉄金属に強み。非資源分野はケーブルテレビのジュピターテレコム、モンゴルで最大の携帯会社のモビコム、IT大手のSCSK、スーパーのサミットストア、ドラッグストアのトモズなどを傘下に持ち安定的な収益を上げている。

    【創立】1919年12月24日

    【資本金】2,193億円

    【事業内容】全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における企業・消費者との信頼関係をベースに、多様な商品・サービスの国内販売、輸出入および三国間取引、さらには国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動を展開
    ◆ 伊藤忠商事
    伊藤忠商事の会社情報

    http://www.itochu.co.jp

    【特徴】従来から繊維や食料等の非資源に強みを持つ商社。近年は資源分野も伸ばしている。総合商社でトップの取扱量を誇る繊維事業ではブランドビジネスで数多くの成功を収めている(アルマーニ、ポール・スミス、レスポートサック、コンバース等)。食糧事業は日本アクセス、伊藤忠食品を抱え三菱商事に並ぶ規模を誇る。川下もファミリーマートを持ちバリューチェーンを強固にしている。ドールのアジアでの青果事業及びグローバルでの加工品事業を買収し益々強みを伸ばしている。

    【創業】1858年【設立】1949年12月1日

    【資本金】253,448百万円

    【事業内容】繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、保険、物流、建設、金融の各分野において、国内、輸出入および三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開
    ◆ 丸紅
    丸紅の会社情報

    http://www.marubeni.co.jp/

    【特徴】伊藤忠商事と同一の起源を持つ。非資源・資源ともにバランスのとれたポートフォリオを構築している。資源分野はチリの銅鉱山、米国のシェールオイル・ガスの権益獲得と言った積極的な投資を行っている。非資源分野は紙パルプ、食糧、電力・インフラ等が圧倒的に強い。食糧はガビロンの買収で世界トップクラスとなった。電力IPPは商社トップの実績を持ち安定的な収益を確保している。

    【創業】1858年5月

    【資本金】262,686百万円

    【事業内容】国内外のネットワークを通じて、食料、繊維、資材、紙パルプ、化学品、エネルギー、金属、機械、金融、物流、情報関連、開発建設その他の広範な分野において、輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引の他、各種サービス業務、内外事業投資や資源開発等の事業活動を多角的に展開
    次ページでは総合商社のキャリア採用/転職事例について説明します。

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