キャリアの変遷、現在の役割、御社に入社したきっかけについて教えてください。
2000年に研究職として新卒入社し、約7年間処方開発に携わった後、マーケティング部門に異動して約11年商品開発、サプライチェーン管理、プロモーションなど幅広い業務に従事し、美容室向け営業も経験しました。産休・育休、早稲田大学MBAへの企業派遣を経て、今年1月に現職のコーポレート本部長に就任しました。
コーポレート本部は経営戦略、財務経理、総務人事を管轄しており、その中で経営戦略部長も兼務しています。経営戦略部長として中期経営計画策定、予算策定、経営会議の運営、アライアンス推進に携わる他、現在弊社は上場を目指しておりその準備にも携わっています。上場準備は全社プロジェクトとして部門横断でチームが組成されているので、様々な部門の社員と協働する機会が多く、日々様々なことを学んでいます。
大学は理学部で、自分が開発した製品が世に出る楽しさを体感したいと考え、外見だけでなく内面にも力を与える美容関連の研究職に関心を持ちました。広い視野で幅広い業務に携われそうな中小企業を中心として就職活動をしていたのですが、当時は就職氷河期で買い手市場。学生に対して高圧的に接する企業が多い中で、弊社は対応が丁寧で、人を大切にする会社だという印象を受けました。また、当時はヘアトリートメント製品が中心でしたが、今後の成長のために新しい領域に拡大していこうという気概もあり面白そうな会社だなと思い、入社しました。
貴社の事業の特長を教えてください。
売上の8割が日本国内の美容室向け製品で、残り2割が国内の一般消費者向け製品と海外事業などとなっています。海外は韓国、タイ、台湾、香港に輸出している他、中国で越境ECを展開しています。もともと自社製造製品が中心でしたが、一昨年に工場を売却し、企画開発に特化したファブレス企業に転換しました。自社の製造能力に縛られず、本当にお客様が求める企画を追求し、そのために必要な技術を持つ国内外の企業とのアライアンスを積極的に行っています。
弊社の特長に、美容師さん達と一緒に製品を共同開発する「共創」という開発方法があります。共同開発自体は他社でもよく行っていますが、予めメーカー側が用意した雛形となる製品があり、それを微調整していく方法がほとんどです。一方、弊社の共創では、雛形は用意せずに最初のコンセプトからデザイン、香り、製品ラインナップ、プロモーションまですべてを美容師さん達と議論しながら作り上げます。そうすることで、美容師さんが本当に欲しい製品を作れますし、発売後も熱意を持ってお客様に薦めていただけます。
この共創のアプローチで初めて開発したのが2009年に発売して大ヒットした「ロレッタ」で、それ以降の弊社の商品開発はすべて共創アプローチを採用しています。現在は共創のパートナーは美容師さん達だけでしたが、今後ニーズに合わせて美容師さん以外の新たな共創パートナーも模索していこうとしています。
貴社の魅力を教えてください。
チャレンジ精神を大切にする会社です。時代に合わせて変革できる柔軟性があり、その中で各社員が自律的に動ける社風があります。2001年に就任した現社長は時代に合わせて変革していくことを重視しており、先程お話した共創のアプローチも、そんな社長の下で生まれました。
私自身もMBAの授業の中で、業界トップの企業ほど組織の大きさや過去の成功に縛られることで変革が起こりにくいというケースを学んだことで変革していくことの大切さを実感しました。
2021年に社名変更をされましたが、どのような思いが込められていますか。
社名の変更は2度目です。長く1975年の創業時の社名である「モルトベーネ」でしたが、2015年にクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんの下行ったリブランディングの一環として社名を「ビューティーエクスペリエンス」に変更しました。これは弊社が大切にしているミッションである『人生に、新しい美の体験を。』をそのまま社名にしたものです。
ミッションを社名にしたことで、私たちが何を目指している会社なのかを顧客に広く認知いただけました。ある程度浸透したので、次のフェーズとして、昨年、顧客の間で略称として普及していた「b-ex(ビーエックス)」を社名にしました。略称を社名にしたことで覚えやすく、ロゴの視認性も高まり、コミュニケーションのスピードも加速しました。
貴社が現在注力していること、今後の方向性について教えてください。
今後の事業の柱として、「クリーンビューティー」に注力しています。クリーンビューティーとは、人や環境に配慮して開発されたエシカル、サステナブルな美容製品です。昨今ではサステナビリティの概念が浸透し、環境意識が高まっています。しかし、ケミカルな薬剤を扱うことが多い美容室では、美容師さん1人ひとりが高い意識を持っていても、アクションを起こしにくいという事情があります。
そうした状況への解決策として、弊社では世界で初めてゼロカーボンシャンプーを発売した台湾メーカーのO'right(オーライト)社と資本業務提携し、日本国内で同社の製品を展開すると共に、今年の3月に「グリーンプロジェクト」を立ち上げました。グリーンプロジェクトは、CO2削減のために美容室が取り組むべき24の項目を制定し、賛同する美容室と共にアクションを起こしていくという取り組みです。また、その他に弊社の既存ブランドも、容器をバイオマスプラスチックに切り替えたり、アップサイクル素材を取り入れるするなどクリーンビューティーブランドへと順次移行しています。
また環境以外にも、ジェンダーフリーなどSDGsの視点を製品に取り入れてリニューアルしています。こうしたクリーンビューティーへの取り組みは業界屈指で、他社との差別化要素にもなっています。「クリーンビューティーと言えばb-ex」と連想していただけるような、アジアNo.1のクリーンビューティーメーカーを目指しています。
働く場所としてのb-exの魅力について教えてください。
7割が中途入社で、温厚・真面目な性格の社員が多く、休日も社員同士で出かけたりするなど、とても雰囲気が良いです。働き方改革にも積極的に取り組んでいて、リモートワーク環境が整っており、フレックス制度もあるため、個人の裁量でコントロールしやすいです。働きやすさに関する社内アンケートでは94%の社員から「満足している」という回答を得ました。
女性社員は過去10年以上全員が産休・育休後に復帰していますし、最近は男性社員の育休取得を推奨しており50%以上が取得しています。また、私自身も利用しましたがMBAへの企業派遣制度もあります。
求める人材像、今後の採用方針について教えてください。
弊社はまだまだ小さな会社ですが、業界トップになろうという気概を持ち、常に挑戦を続けています。そして社員と会社が共に成長できる場所にしたいので、変革を恐れずに新たなことにチャレンジする意欲のある方、会社とともに成長したいという向上心がある方にお越しいただきたいです。また、他者と協力しながら最適解を導き出せるコミュニケ―ション能力の高い方を求めています。ヘアケアへの関心が高い方であれば、楽しみながら仕事ができると思います。
私が管掌するコーポレート部門でも採用をしており、経営戦略部では中計策定やアライアンス、IRを担える方を、人事部では制度設計や労務管理、研修制度、従業員エンゲージメント向上施策を立案できる方を探しています。
プロフィール
篠原 麻理子 氏
取締役 執行役員 コーポレート本部 本部長
2000年、研究職として新卒入社。処方開発業務に約7年間携わった後、マーケティング部門へ異動し、商品開発、サプライチェーン、プロモーション等の広範囲な業務に約11年間携わる。2020年10月執行役員、2022年1月よりコーポレート本部本部長に就任。途中、産休・育休を経て企業派遣で早稲田大学大学院経営管理研究科(MBA)を修了。
注目企業インタビューの最新記事
- 株式会社アダストリア | ロジスティクス本部 部長 兼 株式会社アダストリア・ロジスティクス 代表取締役 社長 中嶋 俊介 氏 / ロジスティクス本部 ゼネラルマネジャー 大塚 健志 氏(2025.1)
- ユニ・チャーム株式会社 | 理事 共同CDXO(Chief DX Officer) 今川 高博 氏 / MDX本部 岩下 恵 氏 / 松薗 美帆 氏 / 下村 香菜子 氏(2024.12)
- 株式会社アダストリア | 執行役員兼マーケティング本部長 田中 順一 氏 (2023.7)
- 株式会社Quest | 代表取締役社長 南 健太 氏 / COO 小梶 隆介 氏 (2023.3)
- 株式会社JDSC | 代表取締役CEO 加藤 エルテス 聡志 氏(2022.9)