今回は、私が担当している外食産業において、近年とくに注目を集めている「デジタル化の動き」について整理してみました。日々の生活の中でも、スマホでのモバイルオーダーやフードデリバリーはすっかり定着しましたが、現場レベルでは何が起きているのでしょうか?
私自身、食べることが大好きで、最近は行きつけのカフェでスマホから事前注文→席に座るだけで料理が運ばれてくる仕組みに感動しています。外食=「人と会って注文するもの」というイメージが、少しずつ変わってきている実感があります。
1. 急速に進む「食のDX化」──コロナ禍をきっかけに
2020年以降、コロナ禍によって「非接触ニーズ」が急拡大し、外食業界でもデジタル化の加速が見られました。特にモバイルオーダー、セルフレジ、配膳ロボット、アプリでのクーポン配信やCRMなどが一気に浸透。
たとえばマクドナルドやスターバックスでは、モバイルオーダーが日常的に使われており、注文→決済→受取までをアプリで完結できるため、レジに並ぶ時間がほとんど不要になっています。
また、すかいらーくグループやくら寿司では、配膳ロボットや自動案内システムを導入し、少人数でも効率的に運営できる店舗づくりを進めています。
2. なぜ今、ここまでデジタル化が求められているのか?
背景にあるのは、「人手不足」と「コスト増」、そして「消費者ニーズの変化」です。
慢性的なアルバイト不足や最低賃金の上昇により、人件費の抑制が急務となっている一方で、Z世代・ミレニアル世代を中心とした"スマホネイティブ"な層は、スムーズで待ち時間の少ない飲食体験を求めています。
つまり、店舗運営の最適化だけでなく、顧客満足度の向上という意味でも、テクノロジーの活用が避けては通れない選択肢になっているのです。
3. 飲食店は「料理を出す場所」から「体験を設計する空間」へ
最近では、アプリでの事前注文やスタンプ機能、レコメンド(おすすめ)メニューの表示など、デジタルによる"個別最適化"が進んでいます。これは単なる業務効率化にとどまらず、「また行きたい」と思ってもらえる体験設計の一部でもあります。
私自身、子どもと一緒に外食する際、待ち時間の少なさや事前決済のありがたさを日々実感しています。家族連れやビジネスパーソンにとっても、"時短"は大きな付加価値になっているようです。
4. 今後の展望と求められる人材像
今後は、AIによる需要予測、顔認証での注文管理、さらにはサブスクリプション型サービスなど、さらに新しいデジタル施策の導入が見込まれます。
このような変化の中で、求められる人材像も変わってきました。これまでは「現場で動ける力」「サービス精神」が重視されていましたが、今後はこれに加えて、
•デジタルツールの理解・運用スキル
•顧客体験を可視化・設計できる視点
•業務改善や分析に基づいた提案力
といった要素が重要になっていくと思います。
5. 最後に
外食産業は、「食事の提供」から「価値ある体験の創出」へと進化しています。
テクノロジーの力で、業務効率と顧客満足の両立を図る取り組みがますます進む中、企業にとっても働く人にとっても、「食」と「テクノロジー」の交差点にいることの意味を問い直す時期に来ているのではないでしょうか。
引き続き、変化の只中にある外食業界を追いかけていきたいと思います!