現場の、いち個人の"想い"に徹底的に寄り添いたい
戦略コンサルティングファームを経て、転職せずQuestを創業したのはなぜですか?
【南】私はブーズ&カンパニーで3年半、ボストン・コンサルティング・グループで6年ほど海外案件や、組織開発、事業開発の案件を掛けた後、当社を創業しました。それはビジネスを通じて、目の前の人の幸せにもっと貢献したいと思ったからです。
もともと学生時代は心理学を専攻し、社会に貢献したいという思いから国際開発を学んでいました。しかしコンサルティングファームで働くうち、いつしかその思いを忘れつつあったんです。
次第に、クライアントのトップマネジメントではなく、もっと現場で実際に事業開発を推進しているいち社員の「想い」に寄り添いたい、そんな思いが強くなっていきました。
最終的には、どんな事業をするのか決めないまま起業を決めました。ただただ、その瞬間自分がやりたいと思ったことを、形にしたかった。そこでやりたいことリストをつくって、友だちと飲みながら「ピッチ大会」のようなことをして、どんな事業をしようか想像を膨らませていきました。
その中で出てきたアイデアの1つを試そうと立ち上げたのが、Questだったのです。規模は小さくても、自分でコントロールできるビジネスを手掛けて何か面白いことができないかと考えました。
事業内容と、強みを教えてください。
【南】いまは大きく3つの事業を手掛けています。
1つ目は、大手企業の新規事業開発や事業推進を支援するコンサルティング事業です。「Drive Business Forward」をビジョンに掲げ、"想い"を持ったコンサルタントが、クライアント企業の事業開発を徹底的に加速することに向き合ったサービス提供を行っています。当社は私や小梶をはじめ戦略コンサルティングファームで事業開発の案件を手掛けてきたメンバーが多いので、その経験やアセットを最大限活用して、事業を提供しています。この事業部のトップを務めるのが、小梶です。
2つ目は、圧倒的なスピードでサービスを提供するリサーチ事業です。「生活者の声をもっと身近に」をビジョンに掲げ、依頼から最短翌日にデータと集計表を納品可能なアンケート調査サービスや、分析・資料作成サポートサービスを提供しています。また、社内外のエンジニアと共に自社プロダクト開発にも力を入れています。
そして3つ目は、2023年2月にスタートした、インターン生を紹介・派遣する「bunk(バンク)」という事業です。もともと私も小梶も、コンサルティングファーム時代から社員の採用選考に関わってきました。そのノウハウを生かし、直近3年で100人のインターン生を採用・育成しています。その結果、ハイスキルなインターン生を育てるノウハウが蓄積され、いまやインターン生がコンサルティング事業のベースを支えるまでになりました。
当社のインターンシップを経験した学生は、各種コンサルティングファームで即戦力として活躍し、入社1年目でMVPを受賞する方もいるほどです。こうした学生を育成するノウハウをもとに、インターン生を紹介・派遣する事業を展開しています。
当社は特徴として、"個人の想いに光を当てる"というミッションのとおり、社員がやりたいことを積極的に応援するカルチャーを持っています。
やりたい事業を思いついたら、手を挙げて事業開発にチャレンジすることを応援しています。とにかく自分自身のやりたいことがメイン。現場社員でも、マネージャークラスでも、ディレクタークラスでも、これまで当社で全くやったことのない事業に取り組むことができるのです。
【小梶】南やQuest創業メンバーの加藤(直樹氏/Director)がそうなのですが、コンサルティングファームで経験を重ねてきた人たちが、その頃抱いていた「こんな事業をやってみたい」という思いを実現できる環境があるのは、非常に面白い特徴だと思っています。
私自身はコンサルティング事業を統括していますが、必ずしもコンサルタント一本でキャリアを重ねていかなくてもいい。コンサルタントとして多様な企業の事業開発案件に取り組んでいると、自分自身でも事業を手掛けてみたい、そんな想いに駆られることが出てき得ると思います。
とはいえいきなり起業したり、スタートアップへ転じたりするのはリスクがあると感じる人もいるかも知れません。当社の場合、3つの事業で得られた収益・アセットをベースに、一人ひとりのやりたいことに真剣に向き合っていきます。当社としても、より一層事業を増やしていきたいという想いもあるので、一人ひとりのやりたいことにどんどんチャレンジできる環境・カルチャー作りをしていきたいと思っています。
新規事業はトップマネジメントのものじゃない。より早く、確実に前へ
小梶さんは、なぜQuestにジョインしたのですか?
【小梶】僕はもともと事業会社で6年弱ほどBtoBの領域で事業企画や生産企画に従事し、その後もっと成長したいという想いで戦略コンサルティングファームに転じました。コンサルティングファームでは、通信・消費財・製造業などの領域で8年ほど大手企業の新規事業開発の案件に携わりました。
南とは、コンサルティングファーム時代から一緒に案件を手掛けることが多くて、プライベートでも、よく飲みに行っていたんです。当時から南は、圧倒的な課題解決能力と、ピュアに誰かのためになることをしようと願っている人でした。
ビジネススキルの高さとマインドセット、その絶妙なバランスに魅力を感じましたし、南や加藤とこれからも一緒に仕事をしたい、そう思い、ジョインすることに決めました。
【南】僕がマネージャーになった際の初めてのプロジェクトでリードコンサルタントだったのが小梶でした。コンサルティングファーム時代も一緒に案件を手掛けることが多く、飛び抜けて優秀で周囲からの信頼も厚い小梶を信用していましたし、もっと彼のやりたいことを叶えられる環境で一緒に働けないかと思っていたんです。
何度か将来のことを話したり、オフィスに招いたりするうち、転職を決めてくれました。
3つの事業の中で、とくにコンサルティング事業にはどんな特徴がありますか?
【小梶】「Drive Business Forward」というビジョンを掲げ、事業開発をより早く、確実に前に進めることに特化しているのが特徴です。その課題解決のプロセスを、徹底的に「型化」し、デリゲーションすることで効率化しています。
手掛けるのは、新規事業立案、コンセプト検証、各種事業戦略の立案などが中心です。たとえば新規事業立案の場合は、市場分析からアイディエーション、コンセプト立案、事業化支援までの一連のプロセスを、クライアントの現場社員とともに、その想いや熱量を共有しながら進めます。
戦略コンサルティングファームでの経験豊富なメンバーがそろっているため、高いスキルでコンテキストを読み取って調査を設計し、要件定義を行い、すばやくファクトを届けながらPoCもお手伝いします。リサーチ事業など、当社の他の事業を組み合わせ、必要なときに・必要なテーマで・最小限のリソースで柔軟にコンサルティングを行うことで、最適化が可能です。
どうしてもコンサルティングの案件を進めていると、市場動向や競合動向の調査等のデスクトップリサーチや市場規模推定など、定型的な作業に膨大な工数がかかることがあります。
既存のコンサルティング業務で生じている定型的な作業を、徹底的に「型化」することで、コンサルタントが付加価値の高い仕事に専念できています。優秀なインターン生が「型化」された業務を学び、自らの成長に繋げながら手伝ってくれていることも、お客様に高い水準のサービスを提供できている大きな要因の1つになっています。
お客様の事業開発の"想い"を形にすることの加速に向け、"想い"を乗せたコンサルタントが徹底的にプロセスの型化・インターン生との協働を行った結果、お客様からは非常に早い・質が高いというお声が多く、事業開発のパートナーとして信頼して頂いています。
いまは、組織を拡大していくフェーズです。アナリストからマネージャークラスに留まらず、ディレクターに至るまで、広くコンサルティング業務の経験者を採用し、事業を大きくしていきたいと考えています。
事業立ち上げ、CFO、組織カルチャーづくりなど多様なキャリアを描ける
Questではどんなキャリアステップを描けますか?
【南】メンバー自身のやりたいことを何よりも重視したキャリアステップを描けます。既に多様なキャリアパスを実現しているパターンがありますね。
例えば、小梶のように当面はコンサルティング事業を立ち上げ、組織として拡大することに専念するパターンです。小梶はコンサルティングが大好きなのですが、コンサルタントが自分の希望する案件を自由に選ぶことができる環境を整え、コンサルタントの"想い"に徹底的に向き合ったコンサルティングを実現しています。想いがあれば若手のうちから複数案件に携わることや新規の業界の開拓も含めてセールスも積極的に推奨しています。それに、自らセールスも行える。裁量が大きく、多角的な経験を積むことができます。
【小梶】メンバーの想いや、やりたいことが何よりも大切なので、コンサルティング事業部でも「やりたい」と手を挙げる人がいない案件や、クライアントと対等なパートナーシップが築けないと思った案件、あるいは事業インパクトに結びつかない案件についてはお断りするケースもあります。
会社側から強制的に案件にアサインすることはなく、コンサルタントに"想い"が乗ることで、結果的にお客様への価値が最大化できている感覚がありますし、コンサルタントのポジティブな成長を加速できている感覚も持てています。
【南】インターン派遣事業を立ち上げた私や、リサーチ事業を立ち上げた加藤などのように、もともとコンサルティング事業部にいて、その後やりたいと思った事業を立ち上げるケースもあります。
また、「CFOになりたい」という願いを叶えるべく、コンサルティング事業からコーポレート部門に移るメンバーもいますし、「組織カルチャーをつくる仕事をやってみたい」と、複数の事業やミッションを兼任して、やりたい仕事に関わるケースもあります。
大切なのは、まず自分が幸せな働き方をすること
社内ではどのような方が活躍していますか?
【小梶】戦略コンサルティングファーム出身者が多いのは事実です。ですが、コンサルティングファーム出身者以外でも、スタートアップで働いた経験のある方や、自衛隊から入社した方もいらっしゃいます。
どのようなキャリアの方でも、共通しているのは4つのバリューに共感していること。
Happiness Driven(幸せにこだわる)
Expand the Circle(共感の輪を広げる)
Change (Y)our Future(想いのこもった変化を起こす)
Fail Fast, Fail Often(まずやってみる)
この4つのバリューに共鳴し、自分のやりたいことを大切にしたいという方が活躍していますね。
もちろん、ベースとなるコンサルティングスキルは重要ではありますが、バリューへの共感やポテンシャルの有無をより重視しています。「個人の想いに光をあてる」というミッションの通り、嘘偽りなくなく真正面から顧客と自らの幸せに向き合いたい、そのためなら全力を出せるという方が、活躍していますね。
【南】クライアントに貢献する前に、働いている自分自身が幸せでなければ、良いソリューションは提供できません。
自らがまず、幸せな働き方ができていれば、仕事にもポジティブに向き合えるし、楽しめるしがんばれる。「アサインされた案件に静かに従います」という感覚のコンサルタントではなく、自分軸で動いてほしいですね。自分のやりたいことや、コミットしたいことが明確な人が合っていると思います。
そして、顧客には徹底的に向き合う。利己的な気持ちよりもギブの方が大きい、利他的な人が向いているのではないでしょうか。
Questという社名にはどんな"想い"が込められていますか?
【南】もともと、リサーチ業務の工数最適化からはじめたこともあって、Questionから取りました。Questionも、Questも、ラテン語の「探究する」という言葉を語源としています。このことばを選んだのは、単純な「質問」や「Q&A」を集めた設問票ではなく、本質的な「問い」を立てたリサーチを行いたかったからです。
それから、様々なQuestをクリアし新しい冒険に出ようという意味も込め、「Quest」という社名に決めました。
今後も、新しい事業をどんどん立ち上げ、本質的な「問い」を立てながら一緒に冒険していける方と働きたいですね。
プロフィール
南 健太 氏
株式会社Quest 代表取締役社長
オックスフォード大学、及びケンブリッジ大学(修士)を卒業後、ブーズ・アンド・カンパニーに入社。その後ボストン・コンサルティング・グループ(東京・ムンバイオフィス)、BCGデジタルベンチャーズを経て、2018年に株式会社Questを設立し代表取締役に就任。
小梶 隆介 氏
株式会社Quest COO
京都大学経済学部卒。新卒で富士フイルムに入社し、事業企画、生産/開発戦略立案等に従事。その後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に参画し、テレコムメディアや消費財領域の大手企業を対象に、新規事業開発、新規事業領域検討、メガトレンド・中長期戦略立案等の多様なコンサルティングプロジェクトを経験し、最終職位はPrincipal。BCGでは、並行して新卒採用のチームリーダーとしても、4年間チームをリード。2021年に株式会社Questにジョイン。
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