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 ユニ・チャーム株式会社 注目企業インタビュー

注目企業インタビュー

ユニ・チャーム株式会社

フェミニンケア市場で最高のUXを提供し、新規事業を生み出す
ユニ・チャームが挑む顧客起点のビジネスデザイン

「世界中の全ての人々に快適な生活を提供する」という願いで、ユニ・チャームは創業間もない1963年に生理用品事業を開始。近年では中核を成すソフィブランドから「ソフィ シンクロフィット」や「ソフィ 妊活おりものシート」など女性の切なる想いを独自技術によって商品を生み出し、ヒットに繋げている。

その中でリアルとデジタルの融合により顧客起点で新規事業を生み出し、顧客体験を改善しようと創設したのが、昨年・2023年7月MDX本部(Marketing by DX)だ。MDX本部を立ち上げた今川 高博氏に、ユニ・チャームが目指す顧客体験やビジネスデザイン、新規事業の方向性について聞いた。
モデレーターは、キャリアインキュベーションでコンサルティング業界・スタートアップをはじめとするデジタル・イノベーション領域を担当するマネージングディレクター 服部泰三が務めた。

人口増加に頼ったビジネスモデルからライフタイムバリュー(LTV)最大化への転換

MDX 本部は2023年に設立されたばかりとのことですが、背景にはどのような市場の変化や企業戦略がありましたか。

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【今川】ユニ・チャームはもともと、人口が増加している地域に進出し現地に根ざしたビジネスで事業を拡大してきました。私も2010年に人口増加が著しい中国へ赴任し、ブランドマーケティングを行った経験があります。ところが2010年代後半から世界各地で人口が減少のフェーズに入りました。日本に帰任した2016年は、中国でも人口が減少傾向に転じた年でした。

そんな時にLTV最大化を目的とした全社プロジェクトがスタートし、私もそこで新規事業を創出すべくディスカッションを重ねていきました。その過程で私の出したアイデアが、フェミニンケア領域の新規事業でした。

私が2004年からソフィブランドに携わって感じていたのは、女性の間でも「生理は嫌だ」と感じている方が多いということでした。生理をポジティブなものに変えるのは難しいかもしれませんが、経血やおりもの中にある情報を活かして少しでも有益な体験価値を提供できないかと考えました。

そして "おりもの"には、妊活タイミングを知るうえで重要なサインをもたらす「妊活おしらせ物質」が含まれることを発見し、2023年11月に『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』を発売することになりました。
その過程で、リアルとデジタルの双方からユーザー体験を変えようと考えたのがMDX本部創設のきっかけです。

現在、MDX本部が目指しているのはどのような方向性ですか。

【今川】MDX本部が目指しているのは、LTVを最大化するリレーションシップモデルを構築です。目的は、女性のライフステージに合わせた新しい商品・サービスを開発し、より良いユーザーエクスペリエンス(UX)を提供することです。生理から妊活、出産、育児、更年期に至るまでの幅広い領域をカバーしようと考えています。

部署の名前は「Marketing by DX」ですが、DXはあくまでも手段だと捉えています。私たちがトランスフォーメーションしようとしているのは、UXを駆使したビジネスモデルです。顧客起点でUXを改善し、多様なエントリーポイントを設けてLTVを最大化するビジネスモデルを構築していくことを目指しています。

フェミニンケア領域で新規事業を生み出し、顧客起点で社会課題を解決する

MDX本部は現在、ユニ・チャーム全体の中でどのような役割を担い、どのようなことを大切にしていますか。

【今川】大きな役割としては、女性のライフサイクル全体を通じたLTVの最大化です。「女性を取り巻く社会課題の解決」をパーパスに掲げ、「フェミニンケア領域での新規事業創出」というミッションを担っています。

ほとんどの女性には、初経から閉経まで約40年もの間生理があります。当社の調べにおいて、女性の一生において生理期間は6年9カ月に及びます。女性の心身の問題は、生理中の経血のみならず生理痛やPMS、ホルモンバランスの変化、妊活、妊娠、出産、育児、更年期や閉経と地続きです。

こうした課題を真摯に捉えてフェミニンケア領域のUX改善について考えきれていませんでした。新しい事業領域について議論している中で、「フェミニンケア領域は全人口の半分にあたる方々の一生に関わる問題なのだ」と気づきました。

女性の心身にまつわる悩みには、生理、妊娠、出産、育児など多様なエントリーポイント含まれます。この領域に真剣に向き合うことで、初経から50年近くにわたるLTVを創出することが可能です。また近年ではこした悩みは女性だけでなく、パートナーや社会、家庭環境も女性の健康におおきな影響を及ぼす重要な要素と捉えています。つまり、フェミニンケア領域の支援対策は、女性本人だけでなく、その周囲の男性や社会全体にまで広がる可能性があります。

部門全体に共有しているのは、短期的なROIに焦点をあてるだけではなく、長期的な視点でマーケットを拡大するという考え方です。新しい事業であるため、成果が現れるまでには時間がかかりますが、チャレンジャーシップを重視し、10年を見据えてカテゴリを育てていく姿勢を大切にしています。

ユニ・チャームはもともとチャレンジャーシップを大切にしており、過去にもそれほど注目されてこなかったカテゴリを育て上げてきた実績があります。例えば、介護向け排泄ケア商品の『ライフリー リハビリパンツ』は、当時の「介護は寝かせきり」と言われていた二十数年前に、残存能力を最大限活かして自分でトイレに行くことの重要性を発信しました。受け入れられるまで時間はかかりましたが、現在は「健康寿命を伸ばそう」というメッセージを伝える先駆けになったと捉えています。このようなチャレンジャーシップ持ち、フェミニンケア領域のさらなる発展を目指しています。

ユーザーインタビューでの「発見」から生まれたホルモンと体調の関係がわかる生理管理アプリ

現在、MDX本部ではどのようなプロジェクトが進んでいますか。

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【今川】ホルモンの変化に着眼することで体調をモニタリングする生理管理アプリ「ソフィBe」の開発・運用を行っています。

「ソフィ Be」は「ホルモンの波を乗りこなそう」というコンセプトで、1カ月のホルモンバランスをグラフ化したり、心身の調子をAIチャットに相談できたりするアプリです。アプリを開発した目的は、顧客に最高のUXを提供するデータプラットフォームをつくること。アプリ単体でマネタイズするつもりはないため、課金モデルやアプリ内広告は一切導入していません。UX設計に集中し、デジタルとリアルを融合させて女性の不を解消したいと考えています。

また、今年入社したディレクターが手掛けているのが「ソフィ おまもり保険 女性向け医療サポート」です。
近年、不妊治療を含む医療サポートの備えを検討する女性が増えています。女性向け医療分野へのサポートは、自治体による助成の拡充や、医療保険特約への組み込みなどの動きがありますが、お子さんを望むすべての方々に活用いただくには至っていないのが実情です。
「ソフィ おまもり保険 女性向け医療サポート」は、『ソフィBe』から簡単に申し込みができるようにしています。
これも、女性の暮らしという視点で考えたとき、「お金の備え」という領域において女性が安心して自分らしい人生を歩むための選択肢を広げたいという思いから生まれたサービスです。

将来的には、新しく生まれたフェミニンケア領域の事業を「ソフィ Be」を基点に1つに繋げ、女性の自己効力感を高めることに貢献したいと考えています。

現在、どのようなポジションの採用を行っていますか。

【今川】ビジネスデベロップメント、ストラテジックデザイン、プロダクトマネジメント、グロースマネージメント、データサイエンスの各ポジションで活躍していただける人材を募集しています。

どのポジションでも大切なのは、顧客起点でマーケットをとらえること。採用においては類似領域から市場を考えるのではなく、どのように顧客に向き合っているかを重視します。たとえばリサーチの仕方も、商品リサーチにとどまらずデザインリサーチの考え方に基づいて実施できるのかも見ています。

プロジェクトを行う際は、全てのポジションのメンバーがワンチームとなって進めます。プロジェクトごとにストラテジックデザインとプロダクトマネジメントのメンバーが協働することもありますし、ビジネスデベロップメントとプロダクトマネジメントのメンバーが協働することもあります。いずれも数多くのユーザーインタビューを行い、ユーザーの声から出発して、プロダクトの0→1に繋げるところがMDX本部の特徴です。

始まったばかりの組織ですので、職域ごとの業務が固定化されているわけではありません。状況に応じてストラテジックデザインのメンバーが要件定義を行うこともありますし、ビジネスデベロップメントのメンバーがリサーチを行うこともあります。さまざまなポジションの業務がオーバーラップしているところがMDX本部の仕事の醍醐味でもあると思います。

ユニ・チャームのアセットを活かし、事業を立ち上げスケールさせる

MDX本部には中途採用の方も多いのではないでしょうか。長い歴史を持つ事業会社であるユニ・チャームでどのようなキャリアアップ、スキルアップが見込めますか。

【今川】MDX本部は社長直下の組織です。ですから、担当プロジェクトを進めるときは経営陣に直接答申してアドバイスをもらうことができます。「ソフィ おまもり保険 女性向け医療サポート」を担当するディレクターは当社にとって全く新しい領域のビジネスを行うため、入社1年のうちに何度も役員にプレゼンすることになりました。当社のような規模の事業会社で直接経営陣とディスカッションできるのは、事業思考や経営視点をレベルアップできるまたとない機会になるのではないでしょうか。

いっぽうで、MDX本部はユニ・チャームの「出島組織」ですので、プロジェクトの進め方もカルチャーもスタートアップのような雰囲気です。服装は自由ですし、出社は週に3回ほど。社内のフリーエリアの一角に社内外のメンバーが集まり活発にディスカッションしています。

プロジェクトは旧来のウォーターフォール型ではなく、アジャイル型でトライ&エラーを繰り返しながら進めます。「ソフィBe」アプリをリリースした際もまずはローンチし、その後ユーザーの反応やフィードバックを踏まえて大きなリニューアルを行う方針を取りました。これは安全性を第一に考える生理用品のプロジェクトとはまったく異なるやり方です。

ユニ・チャームのもつ生産管理のスキームやブランド力、販売網などこれまで積み重ねてきたアセットについては、存分に活用できるはずです。

0→1で事業を立ち上げるだけでなく、1→10も10→100も自分で手掛けられる。これは事業会社で事業を立ち上げる面白さの1つだと思います。既存の枠組みにとらわれずスケールの大きい新規事業を立ち上げ、社会にも、ユニ・チャームのカルチャーにも大きな変化をもたらしてほしいと考えています。

MDX本部のプロジェクトで活躍している方に共通する考え方や価値観、行動はありますか。

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【今川】フェミニンケア領域や女性向け商品・サービスの開発経験は必要ありません。当社にとって未知の領域で新規事業やUXデザインを手掛けたことのある方を歓迎しています。重要なのは「経験やスキルを活かして社会課題を解決したい」という自分なりのパーパスを持っていること。これは選考のプロセスを通じて確認しています。

また、活躍している方は顧客起点によるUX改善や、ビジネスモデルの転換、サービスデザインの経験がある方が多いですね。デザイン領域のプロフェッショナルや、高いデジタルケイパビリティをお持ちの方、ビジネスデザインのエキスパートも活躍しています。

コンサルティングファームやデザインファームの出身者と事業会社の出身者はほぼ半数ずつではないでしょうか。スタートアップからの転職者も多いです。

とはいえ新規事業ですから組織への説明責任も重大です。既存ブランドを毀損していないか、法務部門との調整は十分にできているかなどにも目を配る必要があります。当社はどちらかというと穏やかな人が多いですが、健全なコンフリクトを恐れず、事業を前進させるために必要なディスカッションができる方が活躍しています。

新規事業立ち上げやUXデザインの経験を活かして社会課題の解決に取り組みたい、大きな事業・サービスを1から100までスケールさせたいと考えている方にはおすすめの環境だと思います。

◆ ユニ・チャーム株式会社 ニュースリリース
※ホルモンと体調の関係がわかる生理管理アプリ『ソフィBe』
※ソフィ おまもり保険 女性用医療サポート

プロフィール

写真:今川 高博 氏

今川 高博 氏
ユニ・チャーム株式会社
理事 共同CDXO(Chief DX Officer)
兼 グローバル フェミニンケア マーケティング本部長代理
兼 MDX(Marketing by DX)本部長代理

2001年ユニ・チャーム株式会社に入社。2004年より国内フェミニンケア事業である生理用品ブランド「ソフィ」を担当し、2010年より中国の現地法人でブランドマネジメントを5年半担当。帰国後は、グローバルのソフィブランド戦略を推進しながら、2016年より新規事業プロジェクトに手を上げ、共生社会研究所と共に新しい商品とサービスの開発を行う。新規事業のグロースを経て、2023年より新組織であるMDX本部の立ち上げ、組織を率いている。

写真:岩下 恵 氏

岩下 恵 氏
ユニ・チャーム株式会社
MDX本部 ビジネスデヴェロップメント ディレクター

ディレクターとして、企業の新たな成長を可能にする人中心のイノベーティブなビジネス・モデルの開発を担当。以前は、IDEOのサンフランシスコや東京支社で新商品・サービスのデザインに携わっていた。また、Bain & Companyにてコンシューマー商品からプライベート・エクイティまで多岐に渡る業界の戦略、新規事業開拓、サプライチェーン管理およびM&Aを担当していた。Spotify Japanの4人目の従業員として入社し、同社のサービス立ち上げに尽力。スタンフォード大学経営大学院にてMBAを、ブラウン大学にて有機化学学士号を取得。2024年1月、ユニ・チャーム MDX本部にジョイン。

写真:松薗 美帆 氏

松薗 美帆 氏
ユニ・チャーム株式会社
MDX本部 ストラテジックデザイン マネージャー

株式会社リクルートにて人材領域のデジタルマーケティング、プロダクトマネジメント、サービスデザインを経験したのち、2019年より株式会社メルペイにてUXリサーチャーとして新規事業の立ち上げやグロースに従事。北陸先端科学技術大学院大学、修士(知識科学)。同学博士課程にて応用人類学を研究中。著書「はじめてのUXリサーチ」。2024年8月、ユニ・チャーム MDX本部にジョイン。

写真:下村 香菜子 氏

下村 香菜子 氏
ユニ・チャーム株式会社
MDX本部 プロダクトマネージメント マネージャー

長岡造形大学卒業後、チームラボ株式会社で3年半、リクルートで6年間、UIUXデザイナーとして経験を重ねる。フリーランスのUIUXデザイナー/UXコンサルタントとしてのキャリアも重ね、2023年に活動の拠点をカナダ・バンクーバーに移し、留学しながら多様な企業のプロジェクトに携わる。2024年8月、ユニ・チャーム MDX本部にジョイン。

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