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画像:加茂 純 氏

CxOインタビュー

加茂 純 氏

キャリアインキュベーションはビジネス領域としてプロフェッショナル人材およびCxO人材の紹介に力を入れています。とくに昨今、DX(デジタル・トランスフォーメーション)需要の高まりから注目を集めている、CDO(チーフ・デジタル/データ・オフィサー)も例外ではありません。今回は2021年6月、キャリアインキュべーションの顧問にご就任いただいた、CDO Club Japanの代表理事を務める加茂純氏に、日本のDXの現状と問題点についてお話を聞きました。

■ 聞き手:赤池 辰介(キャリアインキュベーション)

加茂 純 氏
一般社団法人CDO Club Japan 代表理事 https://cdoclub.jp

東京大学理学部情報科学科卒。米イリノイ大学大学院アーバナ・シャンペーン校コンピュータサイエンス学科AI専攻修士。電通に入社。電通退社後はセコイアキャピタルの出資で米Harmonic Communicationsを創業し、アジアパシフィック地域統括担当副社長、日本支社長に就任。2017年11月、一般社団法人CDO Club Japan代表理事就任。2021年6月より、キャリアインキュベーションの顧問を務める。

新顧問 加茂純氏に聞く「日本のDXの現状と未来」

ネット革命前夜、シリコンバレーでITの可能性に開眼

【赤池】早速ですがまずは加茂さんのこれまでのキャリアを読者の皆さんにご紹介したいと思います。社会人の第一歩は電通のアカウント担当だったそうですね。

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【加茂】電通は文系出身者が多い会社です。外資系コンピュータメーカーと密なコミュニケーションを取るなら、理系の素養がある理系出身の人間に任せたほうがよかろうという判断があったのでしょう。学部で情報科学を専攻していた私に白羽の矢が立ちました。ちょうどインテルやマイクロソフト、アップルが続々と日本に進出し、活動領域を広げていたタイミングでしたから非常に面白かったですよ。

【赤池】日本のIT黎明期のど真ん中にいらしたんですね。その後、アメリカの大学院にいかれました。当時のアメリカはどのような状況だったのですか?

【加茂】いまのインターネット産業の基盤をつくったような人たち、たとえば、ウェブブラウザのネットスケープナビゲーターで名を成したマーク・アンドリーセンや、ペイパルを創業したピーター・ティール、アマゾンを創業したジェフ・ベゾスなどが世に出だした頃でした。

【赤池】すごいタイミングに居合わせていらしたんですね。

【加茂】当時はまさにインターネットブーム真っ只中。大学院を出て電通に戻ってから、電通USA内にデジタルラボを設立してシリコンバレーで活動しはじめたのですが、年下の起業家たちの活躍はまぶしいほどでしたね。私自身も感化され、セコイア・キャピタルの出資で、インターネット広告のトラッキングビジネスで起業することにしました。

【赤池】セコイア・キャピタルですか。グーグルを上場させたことでも知られている著名なベンチャーキャピタルですね。

【加茂】グーグルの成長を後押ししたマイケル・モリッツや、リンクトインを育てたマーク・クワミ、先ほど挙げたマーク・アンドリーセンにも出資してもらったのですが、残念ながら創業直後にドットコムバブルが終焉。数年後、事業を売却し日本に戻ることになりました。

【赤池】日本に戻られてからはどうされたのでしょうか?

【加茂】知人に声を掛けられ、1年間だけエンターテインメント企業の事業再生に携わった後、当時のPwCコンサルティングの戦略部門に入りコンサルタントとして活動していました。

【赤池】加茂さんは、いつごろからCDO(チーフ・デジタル/データ・オフィサー)に着目されたのですか。

【加茂】PwCコンサルティング時代に「CMO」という役職が増えていると聞き、情報収集と研究を兼ねて社内プロジェクトを立ち上げたのが最初です。その後、PwCコンサルティングを辞め、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)にフォーカスしたビジネスで独立・起業しました。数年活動を続けた後、日本で「CDO」の需要が高まると判断し、世界各国でCDOコミュニティを展開するCDO Clubの日本の窓口として2017年にCDO Club Japanを立ち上げました。

CDOがいるのは上場企業の1割のみ。日本が抱える"厳しい"の現状

【赤池】CDO Club Japan設立当時の状況を教えてください。

【加茂】私がCDO Club Japanの設立を本部に打診した2016年当時は、まだ主要な日本企業の中でCDOの肩書きを持つ人はいなかったと思います。本部のCDOから「日本にはCDOが存在しないのに、いま立ち上げる必要があるか?」と訝しがられるほど、寒々しい状況でした。それからまもなく、外資系企業の日本支社や先進的な大手企業の中にぽつぽつとCDOが生まれはじめ、1年越しの交渉でようやく設立できたというわけです。

【赤池】CDOの定義は企業によってもさまざまです。改めて加茂さんのお口からCDOの役割についてお考えをお聞かせいただけますか?

【加茂】Dには「デジタル」と「データ」の2つの意味を持っています。欧米では一般的にCDOはこの両者を元から対象としていました。一方で日本においてはDXを実現するリーダーということになると思いますが、膨大な人員を抱える大手企業では事情が異なることもあります。DXを主導する責任者としてCDTO(チーフ・デジタル・トランスフォーメーション・オフィサー)を置き、別途データの統括に責任を持つCDO(チーフ・データ・オフィサー)を立て、共同統治体制を敷くケースも見られます。一口にCDOといっても、企業規模や向き合う課題の大きさによっても負うべき責任の範疇はさまざまです。

【赤池】具体的にどのような責任を担うのでしょうか?

【加茂】CDOの活動は大きく4つのステップがあります。まずは社内プロセスの改革、
次に社外との連携を行うエコシステム連携。更にはビジネスモデルの再構築に加え、最近では脱炭素化、SDGsへの対応などがあります。上記の活動のためには、全社でDXを進めることになり、CEOの信頼、強いリーダーシップも必要です。

【赤池】なるほど。よくわかりました。ところでCDO Club Japanの現状についてもお聞かせください。現在CDO Club Japanにはどれくらいの数のCDOがいらっしゃいますか?

【加茂】現在、各業界のトップ5に入る上位企業を中心に100人を超えるCDOが在籍しています。

【赤池】かなりの規模ですね。

【加茂】確かに設立当初に比べると会員は増えました。ただビジネス界全体を見渡すと、CDOを置く企業はまだまだ少数派といえます。上場企業6,000社のうち1割程度の企業にしかCDOがいないからです。

【赤池】欧米ではどのような状況なのですか?

【加茂】全体でおよそ7割の企業にCDOがいるといわれています。それに比べると日本はまだまだ。とはいえここにきて、少しずつ風向きが変わりはじめたのを感じます。

【赤池】といいますと?

【加茂】コロナ禍の影響です。テレワークの普及や業態の変更が迫られる企業が増えた結果、世間一般にもDXへの関心が高まり、CDO Club Japanへの入会希望者も増えはじめました。いまは面接待ちの状況です。

【赤池】2021年にデジタル庁が新設されるなど、新型コロナウイルス対策を契機に政府もデジタル施策に本腰を入れはじめたように見えます。

【加茂】そうですね。CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)が、社内の情報管理や基幹業務システムの運用を担当する「守りの要」なら、CDOはデジタルテクノロジーとデータを使って企業全体を変革する「攻めの要」です。両者は本来ITを真ん中に挟んだ双子の関係にあります。これまではCIOとCDOの役割がごっちゃにされがちでしたが、新型コロナウイルスの蔓延という一種の「外圧」によって、CDOの重要性が広く認識されるようになったのは、コロナ禍がもたらした数少ない「怪我の功名」といえるかも知れません。

経営者のコミット、ITの手の内化がDX推進のカギになる

【赤池】加茂さんの目からご覧になって、いまの日本企業のDXはどの段階にあると思われますか?

【加茂】CDOの普及度合いからも推察できる通り、まだまだ不十分という感触を持っています。データの扱い1つとっても、必要なデータが取れていないことも多いですし、部門間でデータがサイロ化され、共有ができていないことも珍しくありません。全社挙げてのDXというよりは、部分最適に終始したデジタイゼーション、デジタライゼーションに留まるケースも見かけます。

【赤池】欧米企業に比べて日本企業のDXが遅れているのはなぜだと思われますか?

【加茂】欧米企業が進んでいるのは、株主などステークホルダーから受ける変革を促す圧力が強いこと、もう1つが企業文化としてトップダウンで物事が決まりやすい体制になっていることが大きな要因でしょう。もう1つ、欧米では以前から社内に技術者を抱え、システム開発を手の内化してきた事業会社が多く、デジタルやデータ活用への理解力が高いことも関係していると思います。

【赤池】日本では「餅は餅屋」の観点から、自社のシステム子会社を介してシステムベンダーに丸投げしているケースが多いですよね。

【加茂】そうですね。社会が定常的で変化が乏しければ、丸投げでもよかったのかも知れません。しかしいまは変革の時。ゲームのルールやプレイヤーの顔ぶれもどんどん変わっていきます。市場の変化に素早く対応しようにも、丸投げしていてはスピーディーな変化は望めません。ここに日本でDXが遅々として進まない大きな問題があると思います。自社内に開発リソースを抱えていることは、決してリスクや無駄ではなく、むしろ大きなアドバンテージといえる時代になったわけです。

【赤池】さらに昨今は、製造業を中心にゼロエミッションやグリーン対策も急務ですね。

【加茂】その意味でもデジタルテクノロジーとデータを活用したデータドリブンな企業経営、ビジネス戦略の必要性は高まっているといえます。まずは経営陣が旧態依然とした組織体制やビジネススタイルを刷新する覚悟を決めること、そう一旦腹を決めたからには、ITとビジネスに精通したCDOを専任し支援を惜しまないことが、変革の第一歩になるでしょう。

CDOとDX推進室メンバーに求められるもの

【赤池】多くの企業が悩まれていると思いますが、加茂さんは、どのようなプロセスでDXに取り組むべきだとお考えですか?

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【加茂】実務的な面でいうと、外部から実績のある人物をCDOに招聘したら、その下に「DX推進室」を作り、最低限PoC(概念検証)ができる機能を持たせるのが定石です。チームメンバーの核となるのは、データサイエンティスト、データエンジニア、セキュリティエンジニアなど、デジタル系のバックグラウンドを持つメンバーと、テクノロジーと経営のブリッジ役を担い、DX戦略のロードマップを描けるコンサルタントです。その後、各事業部からビジネスや業務に精通したメンバーを募り、徐々に規模を大きくしていくというのが1つの成功パターンになっています。

【赤池】CDOについてはいかがですか? どのような素養が必要でしょうか?

【加茂】CDOはメンバーほど実務に長けている必要はありませんが、何らかの変革プロジェクトをリードした経験は必要でしょう。IT全般の知識や人脈、企業パートナーとの連携やリクルーティングのために社内外への発信力も必要でしょう。もちろん経営者からの信任を得るのも大切です。

【赤池】デジタル系の人材だけではなく、事業部からも人を募ることも大切なポイントなのですね。

【加茂】事業部から人を募るのは、事業部の歴史的経緯に分け入って解きほぐす必要があるからです。DXは現場に根づいてはじめて機能するもの。理想論を振りかざすだけで動くほど、現場の業務は単純ではありません。

【赤池】DXというと、大型ディスプレイに映し出されたデータやグラフを見て、新しい戦略を考えるような「キレイ」で「カッコいい」イメージがありますが、そこまで辿り着くには、幾多の困難を乗り越えなければならないわけですね。

【加茂】すべてお膳立てが揃ってから分析したり、企画を考えたりするわけではありませんからね。既存事業のトランスフォーメーションや新規事業の立ち上げに挑む前に、現状把握と「地ならし」が欠かせません。むしろこちらのほうがメインの仕事といってもいいくらいです。

【赤池】たとえばどのような困難が待ち受けているのでしょう?

【加茂】あるはずのデータがない、データはあっても欠損している、本当に必要なデータなのか判断がつかないという状況は、日本のあちこちで起こっています。こうした現実をつぶさに把握し、どうやって新たな環境を築いていくべきかを考え、周囲を巻き込みながら実現していくのがCDOの役割であり、DX推進室の使命です。現場の実情、経営の意向やビジョンを踏まえての活動になるので、息の長い取り組みになるのを覚悟するべきでしょう。

DXでどのような社会を築くか。教養が問われる時代に

【赤池】日本企業の99.7%は中堅・中小企業です。日本全国にDXの恩恵を届けるには何が一番必要だと思われますか?

【加茂】DXの必要性を経営者自身が理解することが第一ですが、実務を担う人材を集められるかが大きなネックになるでしょう。たとえ変革したい問題が見えていても、動かせる人材がいなければ、事態を打開することはできません。システム周りの技術やノウハウが外注先にガッチリと握られてしまい、身動きが取れない中小企業経営者も多いと聞きます。

【赤池】大企業同様、中堅・中小企業も安穏としていられませんね。

【加茂】そう思います。長期的には教育システムも見直しが迫られるでしょうね。日本はまだDX人材を輩出する仕組みが欧米に比べて貧弱で、理系学生も減少傾向です。数少ない理系学生もコンピュータサイエンスよりは工学系の比重が高く、多くはモノづくり志向。変えるべき点を挙げればキリがありません。

【赤池】日本をいち早くDX先進国にするための有効な手立てはありますか?

【加茂】短期的には、外国人も含め、社会人の中から素養のある人材を見つけ出し、キャリアの選択肢に加えていただく努力も必要になるでしょうね。そういう意味では、人材エージェントであるキャリアインキュベーションの皆さんにはとても期待しています。

【赤池】ありがとうございます。現状、当社を訪れる候補者の方見ていると、とくに技術系のバックグラウンドをお持ちの方の場合、実際のビジネスや事業に対する興味を深めるよりも、その道を極める志向を持つ方が多いように思います。そのため、本来なら、CDOやCDO推進室のメンバーになってもおかしくない方の多くが、戦略コンサルタントやDXコンサルタントを志望されることが多い状況です。

【加茂】なるほど。本来、事業会社の中でDXに携わることに意義があり、今後の市場性を考えると有望なキャリアだと思うのですが、まだまだ認知が薄いのでしょうね。われわれCDO Club Japanとしても、成功事例を世に知らしめたり、実績を挙げた"ヒーロー"にスポットライトを当てたりするなどして、CDOやCDOのもとで実務に携わるメンバーのステータスを高めていく必要性を感じます。

【赤池】加茂さんの弊社顧問へのご就任を機に、われわれとしてもCDOを1つのゴールとしたキャリアプランニングの有効性を積極的に提案していきたいと思っています。最後に加茂さん個人として、今後やっていきたいことや抱負をお聞かせいただけますか?

【加茂】すでにCDO Club Japanに参加してくださっているCDOの皆さんの協力を得ながら、情報発信を強化し、まずはCDOの数を増やしていきたいと思っています。これと並行して注力したいのが、成功事例や失敗事例の共有を通じ、DXのスピード向上と質を高めていく活動です。

【赤池】デジタル社会の実現には多くの課題があるわけですが、加茂さんがとりわけ大切にすべき点は何だと思われますか?

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【加茂】デジタルテクノロジーやデータは、これからの社会を支えるインフラに過ぎません。このインフラの上に、どのような社会を築くかを決めるのは人間です。テクノロジーもデータも社会を豊かにし、人を幸せにするために使うべきものであって、DXを人員削減やコスト削減の道具と短絡的に捉えるのは拙速に過ぎます。哲学なき効率化は、社会に不幸をもたらすばかりだからです。今後は歴史や思想、科学や芸術など、人間を人間たらしめる教養の重要性がますます高まっていくでしょうし、そうあるべきだと思います。

【赤池】デジタル時代にこそ人間の内面性が問われるというのは、考えさせられるお言葉です。

【加茂】決して容易な道のりでないのは確かです。しかしアグレッシブで人格的にも優れたリーダーが日本にも増えつつあります。彼ら、彼女たちのこれからの活躍には大いに期待を寄せています。

【赤池】われわれも、せっかく加茂さんという顧問を得たのですから、少しでも社会のお役に立てるよう、人材の啓蒙と獲得に尽力します。ぜひともお力添えをお願いいたします。

【加茂】そうですね。いい関係が築けるようお互い知恵を絞っていきましょう。

【赤池】本日は長時間にわたりありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

【加茂】こちらこそよろしくお願いします。

■ 聞き手
赤池 辰介(キャリアインキュベーション ディレクター)

<プロフィール>早稲田大学卒業後、新卒で株式会社電通国際情報サービスへ入社。金融機関、親会社電通向けの法人アカウント営業に従事。電通へ出向し、システム企画業務を担当。
企業の成長の源は人であることに着目し、人材紹介業へキャリアチェンジ。キャリアインキュベーションへ参画。企業のエグゼクティブレイヤの人材紹介を通じて、課題解決を支援している。

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