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プロ経営者インタビュー

西谷 浩司 氏

[6]ご自身の性格について教えてください。

たぶん温厚だろう、と自分では思っています。そして、人が好き。多少、頑固。これが私の性格です。子どもの頃から変わっていない気がします。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

「経営者になろう」「なりたい」と思ったことは一度もありません。自分が得意なのは参謀的な役割だと思っていますし、「俺について来い!」というようなキャラクターでもありません。だいたい「つべこべ言わずに黙って俺の言う通りにしろ」という考え方・やり方は間違っていると思っています。特に本間ゴルフの社員は皆、優秀ですし、ゴルフのことも自分たちのブランドも心から愛しているので、誰かが引っ張っていかなくても進むべき方向を明確にして一致団結さえすればうまくいく集団です。たまたま前の社長が退任することになって、私を推す声も上がった。「私でお役に立てるならやりましょう」という気持ちで引き受けたのです。「行きがかり上、なった」というのが真実なんです。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

メンタリティについては、楽観的であることが大事だと考えています。何も考えず、何もしないでニコニコしているのではなく、日々様々なリスクを感じ取り、頭で周到な計算を重ねて行きつつ、表面上は楽観的な姿勢・態度を示していく。それが経営者に求められるメンタリティだと思うのです。

先ほども触れたように、本間ゴルフには優秀で前向きな人材が揃っています。こういう組織は、社員各自が自由に発想したり、それを行動に移せなくなってしまったら機能しなくなります。「これがいいんだ」と信じる人間が、その信念に基づいてガンガン動く。そして、そういう社員をまわりも「いいね」と後押しする。そういう善意と個々のやる気に基づく会社に私はしていきたいと思っています。

なにも本間ゴルフだけの話ではありません。今という時代は産業革命の時代にも似て変化が激しく、「答え」が現場の近くにあるのだと考えるからです。現場にいる社員たちがその「答え」を見つけたなら、すぐにでも動き始めて形にしていく。それがビジネスを成功させる時代だと思うわけです。

現場で起きていることを日頃実感していないトップが、下から上がってきた報告を聞いて意思決定をするようでは必ず遅れが出ます。この遅れが致命傷になる場合も大いにある。もちろん、トップの人間でなければ判断できない課題はあります。経営者が責任持って意思決定すべき問題もあります。そこからは逃げない姿勢を示しつつ、彼らが仕事に取り組み易い環境を整え、同時にすべての社員といつでもコミュニケートし、任せられる判断は任せていくような態勢を常に整えておくのが経営者の役割。私はそう考えています。

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経営者に必要なスキルについてですが、私は「あれもこれもできる必要はない」と考えています。例えばビッグピクチャーを描いて、それを達成するための戦略を組み立て、それらを現場に的確に伝えていく能力というのがあれば、優秀な経営者になれる可能性は上がると思います。しかし、こういう仕事をきちんと実行できる者がそばにいるなら、任せてしまったっていいと思うのです。

ただし、他者に任せてはいけない仕事というのがある。倫理に則った経営判断です。「それは人として、会社として良いことなのか悪いことなのか」という倫理上の判断だけは、トップが責任を背負いながらやらなければいけません。ですから、軸をブラすことなく善悪に関わる判断を下す能力については「必要」といえるかもしれませんね。

経験についても同様の理屈です。その会社の仕事で基本となる「読み・書き・そろばん」はわかっていたほうがベターだし、そうなるための経験ならば蓄積できているに越したことはありません。しかし、「この経験を持っていない者は経営者として失格」などといえる特定のものはないと思います。人としてちゃんとしていること。そちらのほうがずっと大切なんです。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

人を信じる気持ちです。リスクに対して責任をとるのが経営者ですから、人に対しても「怪しい人物か否か」を見分ける感覚は問われますが、人を疑うことを前提にしてチームを作っていたら善意に基づく集団は作れません。原則として信じる。お客様を信じ、社員を信じ、協力企業の人たちを信じる。生立ちなど何かが邪魔をしてこれが出来ないトップが機会損失を起こす様子も間近で経験しましたが、経営者がこれを貫いていけば、おのずとグッドウィルなムードは広がっていくはずです。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

米国系企業に在籍した時、我々のことを「しょせん子会社でしょ」という目線で見て接してくる本社の人間がいて、「こうはなるまい」と心に誓いました。そんな私がミスミの時には中国でのビジネス展開を任されました。もともと日中両国は昔から微妙な空気の漂う関係性でしたから、「日本は」とか「中国は」などというものの言い方をすれば、それだけでピリピリしたムードになってしまうところがありました。ですから、常に人との接し方において言葉や態度に気をつける経験を積んでいきました。

一方で、「すごく見られている」という感覚を強く覚えたのもこの頃です。自分の表情や態度次第でここにいる人たちの気持ちが変わる。会社の空気が一変する。この経験は大きかったと思います。先に申し上げた「経営者は楽観的な姿勢を示すべき」という発想も、この時期に染みついたのだと思っています。

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう?やはり必要だとお考えですか?

業種や業界の知見無しでも社長業が務まるケースは少なくありません。ただし、それは「業種・業界」や「企業の発展段階」次第です。一般的な消費財企業など、技術面はこなれていて、今後それほど大きな技術革新が起こりにくいような業界では、可能だと思います。

他方で、例えば半導体関連の開発事業のように生き馬の目を抜くような業種や、画期的な技術に立脚した創業間もないベンチャー企業などで「業界知見のない経営者」が成功していくのは難しいと思います。トップが自ら技術的変化の読みに基づいて業績を大きく左右する経営判断を日々行う必要があったり、その業界特有の人間関係によって協業関係の構築や交渉を行う必要がある分野というのが存在しています。こうした業種による違い、企業の発展段階による違い、をわきまえたうえで「必要か不必要か」は決まるのだと思います。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください。

マッキンゼーにいた28歳くらいの頃ですが、私はクライアント企業のラインに入って営業本部長という管理職的立場を任されてしまったことがあります。「非常に優秀だったから」というより「当時の本部長が管理職研修で渡米し、しばらく空席になったから」ということもあっての突然の拝命です。とにかく28歳なわけですから、当然「部下」は全員が年上です。これは試練でした(笑)。どんなに偉大なかたが相手でも、時にはラインの立場から言うことを聞いてもらわなければいけない。どうしよう、と考えても始まりません。ですから自分の立ち位置というものを明確にしました。

「年齢は下かもしれないし、コンサルタントとしての実績も絶大ではないけれども、自分はミッションとして、職務としてこの立場にいる。あなたを人として大先輩として尊敬していますが、私は私のミッションに基づいて行動しなければいけない。問題が特にないのならば、私の言うことを聞いていただきます」

と、まあ、こういう姿勢を貫いていきました。しんどい立場ではありましたが、この経験によって大いに成長できたな、と今では思っています。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

やはり同時期の経験談になりますが、マッキンゼーには「エレベータ・スピーチ」という習慣が根付いていました。忙しく奔走している人間たちの集団では、エレベータでたまたま関係者と乗り合わせたような場面が重要になってきます。相手が責任ある立場ならば、向こうも私に仕事の状況を聞いてきますし、こっちも「これは報告するのにいい機会だ」となって短時間で話してしまわなければいけない。

準備ができていなかったら、エレベータに乗り合わせただけの少しの時間で、要点を伝えることなんて無理です。「今、どんなことが問題になっていて、それをどうすればいいと思っていて、事はどこまで進んでいるのか」といった事柄をトップの目線で常に頭の中で整理しておく。エレベータだろうが、街中であろうが、重要人物に会える好機を得たら、それを確実に活かせるように用意しておく。そんな習慣を若い時に身に付けたことが今に至るまで役立っています。

コンサルティングファームのような組織に身を置いていたら、私と同様の学習ができるかもしれませんが、一般的な事業会社ではやはり日々のオペレーションに追われてしまいがちのはずです。それでも「いずれ経営の仕事がしたい」と志しているのならば、ぜひこのエレベータ・スピーチ的な習慣をお勧めしたいですね。経営者の仕事の中では、複雑な状況をある意味概念化して「そもそも論」や「あるべき論」にしていくプロセスが幾度も必要になります。これは早いうちから練習しないとなかなか身につくものではありませんので、トライしてみてほしいです。

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