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プロ経営者インタビュー

中村 史朗 氏

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

結婚後、義理の父が大手メーカーの専務だったので、身近な経営者ということになりますが、幼少時に身近にいた経営者というと、祖父が町工場を経営していたくらいで、他にはいませんでした。後々、自分が経営者を志すようになるきっかけというのも特になかったと思うのですが、今でも覚えていることが1つだけあります。小学生の夏休みに祖父のところに帰省した際に、祖父から一枚のグラフを渡され説明を受けました。業績推移か何かのグラフだったと思いますが、説明を聞いてももちろん何のことだか分からない。ただしS字型に折れ曲がっている形を見て、それに目が留まり「へえー、会社って面白いなあ」と子ども心に感じていました。

[6]ご自身の性格について教えてください。

妻からは「短気」と言われますが(苦笑)、はっきり自覚しているのはやはり「頑固」だということです。頑固でありたいと思って、そうしているところもあります。大事なことについて、決めるまでは自分で調べものをしたり他人の意見に耳を傾けたり、割りと慎重なアプローチをとるのですが、一度「こう」と決めてからは、どんなことがあってもやり抜く、という意味です。軸をブラさず、リスクがあっても頑固にやりぬく人間でありたい。そう考えています。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

三菱商事時代の後半、入社から4〜5年経った頃だったと思います。一通り仕事が出来るようになって、周りを見渡す余裕が出来て、任される領域も広がり、自らもより大きな仕事をしたいと思い、同時に、その為には組織を動かす、といった問題意識を抱いた頃でもありました。だからこそ留学も決意しました。ただし、留学前の私にはまだ「経営って何なのか」「経営者になる、というのはどういうことなのか」が、きちんとわかってはいませんでした。

大きく変わるきっかけはビジネススクールでの日々。ここで出会えて良かったな、と思っている最大の収穫はMBAがらみの知識やスキルではありません。ビジネススクールやそこに集った仲間全体に漂っていた空気や価値観が「自分を高めていいんだ」と思わせてくれた。おかげで「日本的な悪い垢(あか)を落とすことができた」と思っています。

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日本的な垢とは、例えば「悪平等」なる価値観です。学校でも会社でも「がんばろう」と奨励はするけれど、それでも頑張った人と頑張らなかった人とが常に平等、という独特の価値観が日本にはある。私は違うと思うんです。頑張れなかった人が、仮に頑張った人と平等に扱われたとしても、それはきっとハッピーじゃあない。頑張った人にしても、頑張らなかった人と同じ扱いを受けていたらハッピーな気持ちにはなれない。

結局、この変な平等意識が双方をアンハッピーにしている。ところがビジネススクールには高みを目指す人たちが集まっていました。「そうだよな。自分を高めることに遠慮なんていらないんだよな」と自信を持って考えられるようになったことで、目の前が大きく開けていく気がしました。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

経営者に求められる資質といっても、それはその会社の規模や、経営上直面している問題点や、どの程度の成長ステージにいるのか、といった環境次第で変化してくると思っています。ただ、そうした事柄に左右されず、常に持っていた方がいいもの、というのもあります。私が考えているのは「人間的な器(うつわ)や魅力」、そして「責任を背負いながら結果を出せる力、もしくはその経験」だと考えます。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

本当は1つ前の質問で答えるべきかもしれませんが、あえて、こちらで返答します。

これからの企業経営者には論理的思考や戦略思考が不可欠だと考えます。前例が効かない、より不確実さを増していく事業環境における経営において、まさに必須の能力だからです。例えば「自分たちの会社の何が強くて、何が弱いのか」。これを論理的・客観的にしっかり捉え、「ではどうやって強さを伸ばすのか。弱さをカバーするのか」について、具体的戦略を打ち立て、実行して、現実的なインパクトを示していく。......こういうことができない経営者では戦えません。

ではなぜ、この返答を後に持ってきたのかというと、「これからの経営者には論理的思考や戦略思考が大切」なんて話を最初にしてしまうと、経営に従事する人として最も大事にすべき事を軽んじていることになるのではないか、という思いからです。

私が心から伝えたいメッセージは、前の質問の返答なんです。もしもどんなに鋭い現状分析を論理的に行って、どんなに有効な戦略を描いたとしても、その人に何が何でも会社を良くするんだ、という気迫や覚悟、また言動に滲み出る会社への愛情がなかったら、まわりの仲間たちは「よし、やるぞ」とは思わない。「やりましょう」と呼びかけても、その人に「困難を乗り越え、責任を背負いながら結果を出した経験」がなかったり、「リスクをとるメンタリティ」を感じられなければ、やはり人は動かない。これを賢い人たちにこそ強く意識してほしい、と私は望んでいます。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

申し上げたスキルや経験を全て申し分なく自分は手に入れた、とは考えておりませんが、多くのものを三菱商事において学びました。本当に素晴らしい方々が、決してせせこましくなく王道を歩まれていた。そんな器の大きな人たちに囲まれ、その背中を見ていくことで、多くを学びました。

また、論理的思考力等は言うまでもなくBCGで学びました。正直なところ、ここへ行くまでは「戦略、戦略とうるさく言うけど、実際のリアルな仕事の現場では違うことがあるだろ」というような気分がどこかにありました。しかし、実際にコンサルタントとなって様々な会社の現場を見ていく中で、論理的思考や分析、戦略思考とその実行が持っている重要な意義や意味を体感していったのです。

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

知らないよりは知っていたほうがいい。そう答えることもできますが、「業界のことを知らなくても、経営者にはやれること、やるべきことがある」、「むしろそれこそが経営という仕事」というほうが、私の本音に近いですね。

例えば、私は商社マンとコンサルタントの経験しかないままレインズに行きました。大まかに言えば多数抱えるレストランの経営を成功させるのがミッションです。レストランの成功を決める要素は現場に多々あります。接客、調理、レジ管理などなど。では、そうしたタスクのすべてを知らないと経営は成り立たないかというと、そうではないわけです。経営者がレストランで用いられる調理器具の名前をすべて知っている必要などありません。
 
ただし、誤解してほしくないのは、「じゃあ現場のことや業界の知識はまったく要らないのか」といえば、そうじゃないということ。例えばレストランでそれぞれに異なるタスクを担っている人たちが何を思って仕事をしているか、どう接すれば彼らが本気で成功を目指すのか、というようなことを常に知ろうとすることは重要です。知らなくても済むことはあるけれど、知ろうとすべきこともたくさんあるのです。

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