海外MBAはコンサルタントへの転職に必要なのか?
コンサルティングファームのホームページを見ていると、経歴の欄に海外MBAを持たれたパートナーを良く見かけます。今回は経営コンサルタントにおける、海外のMBAの重要性についてお話したいと思います。
海外MBAを取得することのメリット
海外のMBAを持つことのメリットは一般的には下記のようなことが上げられるかと思います。 「経営に関する幅広い分野の理解」「グローバルでの人脈ネットワークの構築」「ビジネス英語能力の向上」などなど
但し、実際には、上記のメリットは海外MBAに行った人全員が享受できるわけではなく、かなり個人差があることも事実です。
例えば、「グローバルでの人脈ネットワークの構築」に関して言えば、コンサルティング業務の視点からだけでみると、実際にプロジェクトを進める中で、個人的なグローバルのリレーションがあることで、非常に役だった経験がある方は、実はそれほどいないと思います。
ご自身の例を振り返って貰えば分かり易いと思うのですが、国内の高校や大学時代の友人が沢山いらっしゃる場合でも、実際に仕事をする中で、そのリレーションが役立つことは非常に稀な経験だと思います。
また、そもそもコンサルティングファーム自体が海外に多様なリレーションを持っており、社内の海外オフィスの専門家に聞けば、事が足りるということも別の要因としてあります。勿論、個人の人生という視点で見た場合には、プライベートでグローバルの人脈ネットワークを持っていることの価値は極めて大きいと思います。
「ビジネス英語」に関しても同様です。
海外のMBAを卒業された方であれば、どなたでも流暢に英語の会議をこなされるかと言えば、そのようなことはございません。コミュニケーションとしてはきちんと成立しているが、ネイティブとは全く異なる方も沢山いらっしゃいます。
コンサルティング会社への転職に海外MBAは有利なのか?
まず海外MBAを取得された方のうち、コンサルティングファームに転職される方は比較的多くいらっしゃると思います。
また、国内のコンサルティングファームの多くが、海外MBA取得者に対してリクルーティング活動を積極的に行っていることも事実です。
有名な例で言いますと、世界最大の日英バイリンガルジョブフェアであるボストンキャリアフォーラムには、毎年多くのコンサルティング会社が日本からも参加し、採用活動を行っています。
そのような観点から考えると、海外MBAを取ることは、コンサルティングファームに転職するにあたって、ポジティブな要素であることは間違いないと思います。
海外MBAを卒業していないことでデメリットはあるのか?
一方で、コンサルティング会社への転職をする上で、海外MBAを必ず取得しなければいけないのかと問われれば、私の答えは明確にNOです。
まず、国内の面接において、海外MBAの取得有無に応じて、採用の結果が変わるということは、ほとんどないと思ってください。あくまで、海外MBAを通して学んだノウハウやスキルが、面接時のパフォーマンスに活かされているかどうかということだけで、結果は判断されます。言い換えると、コンサルタントとして活躍されるポテンシャルが十分に高い方は、海外のMBAを未保有であっても、ちゃんと採用されます。
実際、会社によっても異なりますが、外資系のコンサルティング会社であったとしても、入社のタイミングで海外のMBAを保有されていらっしゃる方は、半分にも満たないケースが一般的だと思います。
ですので、海外MBAを取得するかどうかは、コンサルタントに転職するためという視点ではなく、ご自身のキャリア全体を見据えた上で、ご判断されることが良いと思います。また、海外MBAと一言にいっても、大学やプログラムは様々です。自分のやりたいことや達成したいことを明らかにした上で、慎重に大学選びをされることが大切です。
一方で、すでに海外のMBAをお持ちの皆様は、学ばれたことを活かす、そして更に深めていくという観点からコンサルティングファームは魅力的な転職先の一つだと思いますので、ご関心が高ければ是非、ご友人のコンサルタントの方とお話をされることや、説明会等をのぞいてみることが良いかと思います。