コンサルティングファームの面接で求められる論理的思考力とは何か?
今回は、コンサルタントの基礎力として必須となる、論理的思考力について、お話したいと思います。
1. 論理的思考力とは?
一般的に論理的思考力と言っても、細かく分けるといくつかの手法があります。
- MECE
- ロジックツリー
- 仮説思考
- クリティカルシンキング
などの言葉は皆さんも会社や書籍などで目にかけたことが多いかと思います。
それぞれの詳細は、ビジネス書コーナーにいけば沢山参考になる本があると思いますので、ここでは割愛します。代わりに、コンサルタントにとって論理的思考力が必要な理由。そして、面接をしていて、この人は論理的な思考力が十分ではないなと思う典型的なケースについて、いくつかご紹介いたします。
2. コンサルタントにとってなぜ論理的思考力が必要なのか?
私たちコンサルタントがクライアント様に付加価値を提供していく上で、なくてはならないことの一つが論理的思考力です。これまで数十年とその業界に特化して働かれてきた専門家の皆さんに対して、「知識」でバリューを出すことはかなり難しいのが実情です。一方で、これまで常識として行ってきた様々な事柄に対して、環境の変化を踏まえ、論理的な視点で、本当にそれが最適なのかを突き詰めて考えていくことで、大きな業績改善に繋がることは良くあります。
また、現在の社長が立ち上げた肝入りの事業からの撤退などの判断が難しい取組みについても、定量的に効果を示し、撤退し、新たなチャレンジをすることが、企業にとっても、そこで働く社員にとっていかに有効であるかを、分かり易く示すことなども、論理的思考力を持ったコンサルタントだからこそできる仕事の一つと言えます。
3.コンサルティングの面接で良くある失敗例
1.全体を見ずに、部分の話から始める
靴メーカーの売上アップをテーマにディスカッションする際に、ブランド戦略からまずは考えていきたいという応募者。「大きく考えるポイントとしては、○個あります。」という全体像から入っていくアプローチを取ることをお勧めします。
2.理由を明確に言わないまま議論を先に進める
訪日外国人向けのサービスを検討する際に、中国人に向けのサービスだけをしきりに話す応募者。「訪日外国人に占める割合として一番多いことが中国人であるので、そこに絞ってまずは話を進めたいと思います」という理由を言うか言わないかで、面接官の印象は大きく変わります。
3.理由や筋道の妥当性が弱い
逆に、理由はしっかり言って頂いているものの、「本当にそうなの?」と思う様なことも良くあります。風が吹けば桶屋が儲かるというような話が典型的な例です。説明する際には、常に本当にその理由であっているのか、他の可能性はないのかということを確かめながら進めて下さい。
4.定量的な視点が抜け落ちている
訪日外国人向け市場の売上を2倍にするテーマで議論している際に、中国人向けのショッピングを拡大するプランを考えている応募者。確かに中国人の占めるシェアは大きいものの、実は全体の20~30%しかいなく、更にショッピングの金額は、その中の一部ということになります。そこだけにフォーカスすることで、全体の売り上げを2倍以上にすることはかなり難しいと言えます。
5.紋切り型のフレームワークで対応しようとする
面接の対策本で読まれたであろう、フェルミ推計の型通りに説明を進める応募者。1時間弱という限られた時間の面接の中で、たまたま国内にあるコンビニエンスの数を数える必要が出てきた際に、「1平方キロメートルにコンビニは●店舗あって、平野部の面積が●万平方キロメートルだから・・・」という試算を10分近くかけてやる必要が本当にあるのでしょうか。
もし、新聞などで数値の概算を知っているのであれば、「確か●万店舗前後だったと記憶しているので、今回は●万店舗と仮定して進めたいと思います」という一言で済ませて、より深い議論を面接官とする方が有意義だと思います。
4.論理的思考能力を高めるための取組み
最後に、普段の会社生活の中でも、論理的な思考を高めるトレーニング方法をいくつかご紹介します。
- 1.ミーティングの前には、必ず目的を明確にする
- 2.会話の際には、結論から話すことを心がける
- 3.自分では当たり前だと思っていることも、丁寧に理由をつけて説明する
- 4.相手の発言について、発言理由や意図を、その人のおかれた環境なども含めて考える
- 5.新聞やニュースの記事の中から、毎日1つ疑問や違う見かたを考える
- 6.資料を作る前には、まずテキストで、シンプルなストーリーを書く
いずれも最初は大変かと思いますが、慣れれば普段の仕事も一層捗りますので、まずは一つからでもトライしてみてください。