コンサルタントへの転職に有利になる資格とは?
「コンサルタントへの転職の際に有利になる資格はありますか?」という質問を良く頂きます。今日は、採用においての資格の位置づけ、そして実際に入社した後にどの程度役立つかについて、お話したいと思います。
1. 採用においてどのような資格が有利になるのか?
まず、結論から申し上げますと、特定の資格を持っていることによる採用への影響は、コンサルティングファームのタイプごとに異なります。
例えば、会計コンサルティングファームや、再生ファームなどでは、「公認会計士」や「税理士」の資格を持っていることの重要性は大きいです。但し、逆にそのようなファームを受ける方の多くは上記の資格を保有していらっしゃる方であり、資格自体が大きな差別化要素になるかと言われると判断が分かれるところです。
また、戦略コンサルティングファームなどの場合は、特定の資格を持っていることが採用に与える影響は更に限定的です。一部例外があるとすると、例えばコンサルティングファームの事業戦略として、ヘルスケア領域の事業拡大を狙っている場合に、医師免許をお持ちの方が優遇されるなどはあります。但し、その場合も恒常的というわけではなく、求める人材は時とともに移り変わりますし、人数としても決して多いとは言えません。実際、元公認会計士や元弁護士といったコンサルタントは既にご活躍されており、その資格を持っていること自体の価値は薄まりつつあるのが実態です。
では、資格を取ること自体が無駄であるのかというと、決してそのようなことはありません。
士業とは異なり、コンサルティングという業務は、誰でも行うことができる仕事です。そのため、当たり前ですが、資格自体ではなく、その人がどのような価値をクライアントに対して提供できるかという点のみが重要になってきます。
つまり、資格を取る過程、もしくは資格を持ったことで、実際にどのように役立ててきたのかということをコンサルティング会社の採用者は聞きたがっているのです。
2.入社した後に役立つ資格とは?
それでは、別の視点として、実際に入社後にどのような資格を持っていると仕事に役立つのかということについて見てみたいと思います。
今回は、戦略系コンサルティングファームを例にとりあげます。
MBA
コンサルタント関連資格の代表格と言えばMBAかと思います。実際、中途入社で働かれていらっしゃる方のうち、MBAをお持ちの方は多数いらっしゃいます。経営戦略、マーケティング、会計、財務、組織論といった幅広い分野に関する基礎知識を持っていることは、コンサルタントとしての基礎力を持っているという点で強みとなります。但し、あくまで「基礎力」であるということは注意してください。
公認会計士や税理士
企業経営に関わる重要なファクターである「財務」「経理」の視点を深く理解されていらっしゃることは大きな強みとして活かされる方が多いと思います。特に、企業再生や、M&Aに関わるプロジェクトなどでは、メンバーの1人として、元公認会計士が参画することが、よくあります。また最近はグローバルのプロジェクトの中で「米国公認会計士」などをお持ちの方も見かけます。
TOEICやTOEFL等の英語資格
最近のプロジェクトは半数以上のプロジェクトは英語を使う機会が求められています。英語については、資格で高い点数をとること以上に、ビジネスの場で活用できる能力を持っていることが重要です。一方で、語学の習得には時間を要することも確かなので、今のうちから地道に努力をされることが望ましいです。
繰り返しになってしまいますが、コンサルタントにとって、資格とは、それ自体では何の意味も持ちません。実際、クライアントに対して、「私は元弁護士でした。」と伝えたところで、「すごいですね」と言われることはあっても、感謝されることはありません。
ですので、その資格で得たノウハウを使って何ができるのかということを是非考えてみてください。
また、特に資格を持っていない皆様は、そのことで面接が不利になることはありません。
普段の仕事の経験が、資格以上に大きな学びになることは沢山あると思いますので、是非その経験を面接の場でお伝え頂ければと思います。