コンサルティングファームの採用動向について
コンサルティングファームへの転職を考えていらっしゃる皆様にとって、タイミングは大変大切です。ご自身のキャリアにとってのタイミングが勿論一番ですが、コンサルティングファーム側の採用動向についても、是非事前にチェックしておいて頂きたいと思います。
本日は、そんな採用動向について、お話していきたいと思います。
コンサルティングファームの採用数は順調に拡大
コンサルティングファーム全体で見ると、リーマンショックが落ち着いた2009年の秋以降、東日本大震災の一時期を除いて、採用数は積極的に拡大しています。
大きな理由としては、「①日本の景気自体が良くなってきていること」と、「②企業にとってコンサルティングファームを使う機会がより多くなってきていること」の2つが挙げられます。
①については、特にアベノミクスによる円高の解消により、海外進出案件などの数が大きく伸びてきています。また、新規事業の立案や、クロスボーダーでのM&A案件もかなり増えてきていることで、コンサルティング市場は活況です。
但し、最近は中国景気の減速や、イギリスのEU離脱などの世界経済の先行きに対する不安が高まりつつあり、「①日本景気が良くなってきていること」だけで言えば、必ずしも将来にわたってコンサルティング業界が安泰とは言えないことも確かです。
一方で、もうひとつの理由である「②企業にとってコンサルティングファームを使う機会がより多くなってきていること」は今後も更に高まってくると思います。意外と知られていない事実ですが、国別にみるとコンサルティングファームの利用率は大きく変わってきます。
アメリカやヨーロッパでのコンサルティングファームの利用率は、国内に比べると約2倍という調査結果もあります。
日本の企業のコンサルティングファームの利用率が低いことには、さまざまな理由がありましたが、グローバル化が進み海外企業とも競合する機会が増えたことや、テクノロジーの進化により市場のプレイヤーや戦い方が大きく変わりつつあること、実際にコンサルティングファームを使ってみて、その効果を実感すること等により、利用率は着実に高まってきているのです。
良く転職の面接で受ける質問の一つとして、元コンサルファームの人が事業会社で働くことが増えたことで、コンサルの仕事は減るのではないか?ということを聞かれることがありますが、事実は全く逆です。元コンサルファームの方は、コンサルファームの使いどころや使い方を良く理解されていらっしゃるため、成果を出すために積極的に活用することが多いのです。私も過去に何度か、元コンサルティング会社の方のプロジェクトを担当させて頂きましたが、短期間で、非常に高い成果を残すことができたと思っています。
採用される方々のバックグラウンド
中途採用の場合、年齢では、20代前半の第二新卒から30代前半の方が大半を占めています。
業界については、事業会社からの転職は引き続き大きなシェアを占めている一方、最近は、ベンチャー企業や弁護士、公認会計士、医師、公務員など幅広い方々が転職をされていらっしゃいます。
背景には、コンサルティングファームの市場規模が大きくなる中、これまで以上にニッチな市場や実行支援の強化により、今まで以上に現場に近いフィールドでのプロジェクトが増えたことが挙げられます。勿論、海外MBA卒業者や他コンサルティングファームの経験者の転職も引き続き多い状況です。
また職種についても、営業職、システムエンジニア、WEBマーケター、人事、財務、経営企画などと、多様なバックグラウンドをお持ちの方が集まっています。
このことは、つまり、転職にあたって現在の職業はあまり気になさらなくても良いということです。今の仕事がコンサルティングとは必ずしも関係ないとしても、コンサルティング業界に興味を持たれたのであれば、躊躇うことなく本気で検討してみることをお勧めします。