コンサルティングファームと言うと、仕事が出来ない人はすぐに首になるというイメージがあると思います。転職をされる方にとっては、不安材料の一つでもある退職勧告について、本日はお話します。
コンサルティングファームで退職勧告はどの位あるのか?
コンサルティングファームや外資系の企業に勤めているとよく聞く言葉に「Up or Out」というものがあります。日本語で言えば、「昇進するか、もしくは退職するか」という非常に厳しい表現です。確かに、90年代~2000年代は、「Up or Out」が多くのコンサルティングファームの実態を示した言葉でありました。中途入社して数年で昇進のタイミングを迎えタイミングで、昇進が難しい場合は退職、ということが明確に運用されている会社がいくつもありました。
一方で、ここ最近は、上記のような明確な「Up or Out」はかなり少なくなってきているのが実態です。最大の理由は、コンサルティング業界が好況であり、人材が不足しているためです。昇進できる実力はないというものの、今のポジションとしては一定の成果を残せていらっしゃる方は、貴重な戦力であり、会社としても簡単にはクビにはしたくないということです。
他にも、コンサルティングファーム内の教育インフラが充実するにつれて、退職させるのではなく、育てることによって、次のステップに繋げていくというスタンスも時代とともに強まっています。
例えば、アーサー・D・リトルは、公式ホームページ内に、「Up or Out」に関して以下のように明確に記載しております。
「何年以内に昇進しなければならないといったルールは一切ありません。人によって成長の速度も違えば、時期も違います。ADLではプロジェクトやトレーニングを通して、各人に合わせた成長の場を提供していきます。」
但し、勘違いをしないで頂きたいのですが、コンサルティングファームが社員に対して求めている成長のスピード自体は、昔と比べて緩まっているわけではありません。むしろクライアントがおかれるビジネス環境がますます厳しくなっていることに合わせて、コンサルタントに求められる水準は高まっています。
会社から退職を勧告されるかどうかは別として、コンサルタントとして活躍していくためには、成長に対する高いモチベーションを持って頂くことは、最低限の条件であることは今も昔も変わらないと思います。
コンサルティングファームで退職勧告される場合、タイミングは?
上記の通り、コンサルティングファームサイドから退職勧告が伝えられる機会は大きく減ったと思います。とはいうものの、やはりコンサルタントとして将来的に活躍することが難しい方の場合は、会社から次の職業を勧められることは存在します。
私個人としては、このこと自体は一概にマイナスばかりではないと思います。
やはり、自分にフィットしていない職場で働き続けることは、肉体的、精神的にもつらいことが増えますし、また、無理にコンサルタントとして続けるよりも、そこで学んだことを活かして他のフィールドでご活躍されることの方が、幸せなことが多いのも事実です。
会社が次の職業を進めるタイミングとしては、実際に退職される半年ほど前になることが多いようです。ですので、一部の方がイメージされるような、「明日からもう来なくて大丈夫だから」というようなことは実際にはありません。リーマンショックのようなよっぽど大きなイベントがあった場合は例外もあり得ますが、通常は、次の職業を探す間の期間は十分にあると考えて大丈夫ですので、安心してください。
実は、コンサルティングファームとしても、コンサルタントを辞められた方の多くは、事業会社などでご活躍されることが多いため、将来的にはクライアントとして一緒に働くというケースがあることを想定した上で、丁寧なコミュニケーションを取るよう意識している節もあるように思います。勿論、会社のカルチャーを良くすることで、より多くの方に入社して頂きたいという考えもございます。
結論
コンサルティングファームでの退職勧告は、以前と比べてかなり少なくなってきています。
また、コンサルタントとして更なるステップアップが難しい方に対しても、会社としてコンサル以外でのキャリアで活躍して貰えるようサポートする動きもありますので、退職時の心配をして転職を悩まれる必要は少ないのではないでしょうか。