当たり前の話ですが、コンサルティングファームはお客様があって初めて成り立つ事業です。どんなに優秀な人材を抱え、優れた分析スキームを持っていたとしても、しっかりとした営業をして、お客様になって頂けなければ存在意義はほとんどありません。
そこで本日は、コンサルティングファームの営業について紹介したいと思います。
コンサルティングファームはどの様にクライアントを獲得するのか?
コンサルティングファームが新しいプロジェクトを開始する場合には、大きく3つのケースがあります。
①コンペティション
コンペティションは、その名の通り、クライアントが明確な経営課題を持っている場合に、複数のコンサルティングファームに対して提案を依頼し、その提案内容を踏まえて、コンサルティングをお願いするかを判断するケースです。この場合は、提案の内容自体がプロジェクト受注の可否の要素として大きくなります。
②コンサルティングの継続依頼
あるプロジェクトを実施している中で、更に派生したテーマが生まれてくることで、次のプロジェクトが開始するというケースもございます。この場合も、今のプロジェクトの中でお客様から深い信頼を得ること、そしてコンサルティングファーム側からも、企業の発展に向けた更なる提案を継続的に実施しているかどうかが要素として大きいです。
③営業提案
新規のお客様や、過去にリレーションのあったお客様に対する営業活動も勿論行っています。コンサルティングファーム側で、その企業が現在直面しているだろう経営課題を把握し、それらに対する初期的な提案を持参します。
3つのプロジェクトの割合は、コンサルティングファームによっても異なります。
比較的大きなコンサルティングファームの場合ですと、①や②の割合が多くなる傾向はあるようですが、③の営業提案を全く行わないファームは存在しません。
営業提案はだれがやっているのか?
営業提案を担う役職はコンサルティングファームによって異なりますが、基本的には「パートナー」という役職の方です。パートナーという役職の最も大切な仕事の一つが、新規のコンサルティングを取ってくることなのです。
但し、実際にはその手前の「マネージャー」あたりから、自分一人ではないものの、営業活動に対しては積極的に関わるようになることが一般的です。ですので、20代後半での中途入社の方の場合、早ければ5年程度で営業活動にも関わっていくことになります。
コンサルティングファームの営業に求められるスキル
コンサルティングファームの営業といっても、基本的には事業会社と求められるスキルは変わりません。
●「お客様(企業)が抱えている本当に重要な課題」を正しく理解できているか
(事前の理解だけでなく、商談の場での議論を正しく理解し、適切な対応をできているか)
●それらの課題に対して、その企業が実行可能なアプローチを提案できているか
●施策を実行する上で、自分たちであれば、より効率的、効果的、確度高く実現できるということを伝えられているか
●お客様が一緒に働きたい、信用できると思われる人間であるか
但し、コンサルティングには、目に見える商品もなければ、実際の効果についても、どの程度あるのかは、実際に契約をしてプロジェクトが開始した後にしか分からないということもあり、他の業種と比べても、特に営業が難しい仕事だとは思います。そのため、それぞれの基本スキルについて、より深く磨き込むことが大切になります。
営業力を高めるためのコツ
それでは具体的に営業力を高めるためにどのような取組みをしているのでしょうか?
最後に、いくつかの例についてご紹介していきたいと思います。
①自分の関心のある業界については、常日頃から情報収集を怠らない
いきなり、知らない会社や業種に対して提案を行うということは、無謀としか言えません。コンサルタントとして、将来自分が一緒に働きたいと思える業界や企業については、常日頃から情報を収集するようにしています。そうすることで、いざ提案をする際にも、業界の新しいトピックスや競合の動きなど、お客さんにとっても興味・関心がわきやすい話題を適切にふれるようになります。
②過去にご一緒したお客様とのリレーションを絶やさない
過去に一緒にプロジェクトをやったお客さんとのリレーション構築も極めて重要です。その方と一緒に新プロジェクトをやるだけでなく、会社の最新の事情や、業界の動きを常にアップデートすることで、よりよい提案をできるようになります。
③提案先が決まったら、徹底的にお客様(企業や部署、担当者)のことを知る
これは基本中の基本ですが、コンサルタントという時間が限られた職業である中、どこまで効率的に、かつ徹底的にできるかが大切です。企業の決算関連資料は勿論のこと、社長や訪問する部署に関する記事やインタビューは過去数年にわたって読みこむことが一般的です。最近では、FacebookやLinkdinに登録されていらっしゃる方も多いこともあり、趣味や出身地なども事前に把握し、話題に活用することもあります。
コンサルティングファームの営業は難しい一方、実際に仕事に繋がった際の喜びも一際大きいです。また、自分自身が持つ課題や理想を提案書にして、大企業の方々と共に議論をできること自体が、非常にエキサイティングな経験でもあります。是非、コンサルティングファームへの転職をゴールとせず、マネージャーに昇進し、営業活動にも挑戦頂きたいです。