コンサルティングファームに転職すると、一般の事業会社とは異なると思うことがいくつかありますが、その中でもプロジェクト体制という働き方は大きな特徴になっています。本日はコンサルティングファームのプロジェクトチームについてお話します。
コンサルティングファームの組織形態
まず、戦略系のコンサルティングファームには、一般の事業会社と異なり、基本的には所属部門というものがないことが一般的です。勿論、バックオフィス業務を行う人事部や、経理部といった部門は存在しますが、コンサルタントは全て一つの部門として扱われます。一方で、総合系のファームの場合は、インダストリーやソリューションごとに部門が分かれていることがあります。各コンサルタントはその部門の中で専門性を磨き、昇進していくことになります。
但し、いずれのファームの場合も、仕事は、原則プロジェクト単位で行われます。一般企業の場合は、部門ごとに、部長、課長、担当という明確な上下関係が存在し、それらの関係は基本的には数年単位で変わらないことが一般的です。一方で、コンサルティングファームの場合は、プロジェクトが開始されるタイミングで、毎回チームが組成されて、プロジェクトが終了するまでの、期間中はそのチームで働くことになります。つまり、プロジェクトが変わるごとに、毎回上司や部下は移り変わっていくことになるのです。
ある程度コンサルタントとしての経験を積むようになると、戦略系のコンサルティングファームの場合でも、専門性が明確になってくるため、同じような上司と働く機会が増えることが多くなりますが、入社して数年のコンサルタントの場合は、全く異なったテーマやインダストリーのプロジェクトに1ヶ月単位でアサインされることなどもあります。そういった場合は、毎月異なる上司や部下という、一般の事業会社とはかなり異なる環境で働くことになります。
プロジェクトチームの組成方法
チームの組成は、パートナーやマネージャーがプロジェクトを契約するとすぐに行われます。
チームメンバーの構成は、プロジェクトの規模によって異なりますが、一般的には、パートナーが1名、その下にプロジェクトの運営に責任を持つマネージャーが1名、更にその下にコンサルタントスタッフが2~3名ほど付くことが多いです。但し、企業全体のトランスフォーメーションや、システム導入に関わるプロジェクトなどの大型ケースの場合は、複数のパートナー、マネージャーによる、数十名規模のチームが作られることもあります。
チームメンバーの決定方法については、コンサルティングファームごとに若干の違いがあります。契約が決まった、もしくは決まりそうなプロジェクトをコンサルタントに公開した上で、スタッフ自らが応募する公募制を採用している企業もあれば、パートナーが個別に働きたいメンバーを指定して決定するファーム、更には、アサインメントを専門に行う担当者がスタッフ層のキャリアやこれまでの経験を考慮しつつ、決定していくファームなどもあります。
但し、メンバーの意向を全く反映しないファームは基本的にはありませんので、明確にやりたいテーマやインダストリーがある場合は、常日頃から、パートナーやマネージャー等にそのことをお伝え頂くよう心がけることが大切です。
入社当時のプロジェクトチームにおける役割
入社して暫くの間は、前職とかなり近いテーマのプロジェクトなどでない限りは、プロジェクトで大きな活躍をすることは、正直難しいと思います。一方で、コンサルティングファームでは、一般企業の数倍のスピードでの成長やプロジェクトへの貢献が求められるため、最初のプロジェクトだからとりあえず教えて貰えれば良いというようなスタンスでは、駄目です。厳しい言い方をすると、次回以降のプロジェクトに呼ばれにくくなるリスクもあります。
また、プロジェクトを買ってくださっているクライアントにとってみては、あなたがいつ入社したかは全く関係ありません。そういった意味でも、とにかく出来ることであれば、時間を惜しまず取り組むことがまずは大切です。
入社してすぐのスタッフでも、時間を費やせば、一定の成果が出せる、リサーチ業務や、インタビュー業務、また場合によっては印刷や、クライアントとのスケジュール調整など、できることを確実にこなしていくことで、周りからの信頼を勝ち取ることを心がけて下さい。
コンサルティングファームで扱うテーマは、どれも難易度が高く、チャレンジングな仕事です。
とても大変ことではありますが、一方で、周囲の信頼を勝ち取ることで、刺激的で面白い仕事を次々と任されるようになり、より充実したコンサルティングライフになることだと思います。