コンサルティングファームによっては、選考のプロセスの中でグループディスカッション形式の面接を採用している企業がございます。特に、新卒採用の場合は、比較的早いタイミングで設定されていることが多いです。今回は、コンサルティングファームのグループディスカッションの特徴と対策についてお話したいと思います。
コンサルティングファームにおけるグループディスカッションとは
まずは、コンサルティングファームのグループディスカションがどの様な形式で行われるかについてご説明します。
応募者4~8名程度で構成されたグループが、1時間ほどの時間をかけて、あるテーマについて全員でディスカッションをします。テーマとしては、特定の知識を持っている方が有利にならないように、誰もが分かる一般的な質問が設定されることが多いです。
具体的には、「温泉旅館の利益を2倍にするためには、どの様にすれば良いですか?」「朝の通勤ラッシュを緩和するためには、どの様にすれば良いですか?」というようなタイプの問題です。
時間の使い方などは、応募者同士で決めるようお願いしますが、必ず最後にグループとしての意見を提示することが求められます。
面接官はどの様なことを見ているのか?
グループディスカッションで見ているポイントはいくつかありますが、主なものをここでは紹介します。
①、②、③については、日常的な議論の中でも皆さんが意識して鍛えているポイントかと思います。一方で、④、⑤については、初対面の者同士が短い時間で議論をするグループディスカッションでなければ、なかなか意識しづらいスキルかと思います。実際、多くの応募者が④、⑤については、必ずしも十分な水準のスキルを持たれていないことが多い印象をうけます。
グループディスカッションで良い評価を得るための工夫
別の視点から言うと、④、⑤について、意識して取り組むことで、他の応募者と比較した際に、より良い印象を面接官に与えることもできます。ここでは、④、⑤のそれぞれについて、もう少し詳細に見ていきます。
④ 全員で議論をするために必要な前提や筋道を正しく設定できているか?
初対面の人が議論をするためには、まずは前提をしっかりと揃えておく必要があります。
例えば、「健康食品Aの売り上げを2倍にしてほしい」というお題を提示された際には、「何故、売上を2倍にしなければいけないのか?」「いつまでに達成しなければいけないのか?」「どこまでを所与としなければいけないのか?(たとえば、健康食品Aの商品性自体は変更しない等)」「実現のためにはどの程度のコストをかけて良いのか?」等については、できるだけ早いタイミングで、合意しておいた方が、議論がスムーズに進行します。
1年間で売り上げを2倍にする方法と、5年間かけて2倍にする方法では手段が全く異なるのは当たり前ですが、多くの方々が、前提を明確にしないまま議論を進めるため、かみ合わない議論になり、最後に無理やり全員の発言結果を「とりあえず纏めた」回答をするグループが多く見受けられます。
是非そうならないためにも、最初に「まずは前提を揃えておきたいのだけれども」や「そもそもの話になるのだけれども」というようなコメントを意識してすることが良いと思います。
⑤ リアリティーのある視点で物事を見られているか?
短い時間の中での議論では、「答えを出さなければならない」「何か発言しなければならない」というプレッシャーの元、通常ではありえない答えを提示するグループが意外と多くあります。
例えば、「今後高齢化が更に増えることを考えれば、商品の売り上げを更に拡大していくためにシニア向けのパッケージングやマーケティングをしていくことが大切である」というようなコメントをさまざまな面接で聞くことがあります。グループディスカッションのテーマは、「健康食品」「スポーツ飲料」「スポーツ用品」など毎回異なっているにも関わらずです。
どの様な商品でもシニア向けにすることで売り上げが2倍になるというのは、あまりに短絡的かつ非現実的だと思いますが、グループディスカッションの場では、それが当たり前になってしまうのです。常に、冷静に、「本当にそうなのか?」「具体的に考えるとどういうことなのか?」というような視点でのコメントを是非できるようになってください。
最後に
グループディスカッションで求められる様々なスキルは、実際のビジネスの場でも極めて有力な武器になるスキルばかりです。初対面の方と短い時間での議論をする経験は、なかなか得られるものでもないため、是非ビジネススキルを鍛えるトレーニングの意味合いも含めて、面接の対策をしてみて下さい。