社員数が少なく、守秘義務も多いコンサルティング業界において、あまり一般的には知られていないことが数多くあります。今回は、そうした中でもコンサルティングファーム自体のビジネスモデルについて簡単にご紹介したいと思います。
コンサルティングファームのビジネスモデル
コンサルティングファームは、クライアントとなる企業に対して様々な提案を行うことに対して売上を得るビジネスです。但し、何をどこまで提案するのか、その対価をどの様に受け取るのかについては、コンサルティングファームやプロジェクト内容によっても異なってきます。
例えば、提案の幅について言うと、以下のようにさまざまなものがございます。
また提案の深さについては、戦略提案、アクションプランの具体化、プロトタイプ構築・テストマーケティング実施、実行支援、システム導入などをどこまで実施するのかはプロジェクトごとに異なります。但し、最近はどこのコンサルティングファームも、戦略提案に留まらず、実行支援までをサポートするプロジェクトが大半になりつつあります。
対価の受け取り方についても、従来は、プロジェクトにアサインされるスタッフ数、及び稼働時間に応じて固定のフィーが支払われる契約形態が一般的でした。しかしながら、クライアントやプロジェクトテーマの幅が広がるにつれて、より多くのニーズに応えるために、新たに成果報酬形式のプロジェクトも登場しつつあります。現在では、主にコスト削減プロジェクト等の定量的に成果が測定し易いテーマが中心ですが、将来的には、より幅広い分野で採用されるようになるかもしれません。
コンサルティングファームの料金体系
コンサルティングの料金はあまり馴染みが無い方が大半だと思います。コンサルティングファームの種類やプロジェクトの内容によっても大きく異なるのですが、基本的には皆さんが想像される以上の値段になっていることが一般的です。具体的には、外資系の大手コンサルティングファームの場合は、1ヶ月のプロジェクトで、1500~3000万円程度になることもあります。以下では、何故これほどの金額を企業が払ってまで、コンサルティングファームを採用したいのかについてお話したいと思います。
コンサルティングファームが提案する付加価値とは
何故多くの企業はコンサルティングファームに依頼するのでしょうか?
コンサルティングファームはどのような付加価値を提供することが出来ているのでしょうか?
1つ目には、短期間でアウトプットを出せるということがあります。企業買収や事業再生など極めて短い時間の間に次々と意思決定をしていく必要性があるケースなどがこれにあたります。短期間に企業内外の膨大な情報を収集し、整理、分析をするためには、内部の専門人材だけではなく、外部のコンサルタントを採用することの意味が大きくあるのです。
2つ目には、外部環境が大きく変わる中で、新たなビジネスの方向性を提示できるということです。テクノロジーの進化に伴い、ユーザーの行動や企業のビジネスプロセスは大きく変わりつつあります。更に、これまで想定していなかったような競合への対抗や新たなビジネスリスクへの対応なども新たにしていく必要性が急激に拡大しています。コンサルティングファームでは、様々な業界の企業へのコンサルティングを通じて、それらの環境変化に対する打ち手を形式知化し、他の企業に対しても適応させるためのノウハウとして蓄積しているのです。
3つ目には、幅広い業界に対する知見があります。先ほど申し上げました通り、外部環境の変化に伴い、異業種への事業拡大や、異業種間での事業連携などの必要性は高まりつつあります。これまで全く関わったことがない領域への事業進出にあたって、コンサルティングファームが持つノウハウを活用することで、よりスムーズに、より効果的な事業展開を実現できた例は数多くあるのです。例えば、最近話題のフィンテック等についても、金融機関に対して、テクノロジー領域を専門に担当してきたコンサルタントが、金融担当のコンサルタントと共に提案を行うことで、より早く、より実現性と実効性を高くプロジェクトを推進できるようになるのです。
最後に
今回はコンサルティングファームのビジネスモデルについてお話をしましたが、あくまで今回記載したのは今現在のコンサルティングファームについてです。20年前のコンサルティング業界では、戦略提案が中心であり、実行支援などほとんど実施されておりませんでした。また契約形態としても成果報酬型のビジネスなどはここ数年で急激に増えてきた形態です。一般的な事業会社と同様、コンサルティングファームも時代の変化とともに大きく変わっていくものです、そのことを意識し、是非皆さんと新しいコンサルティング業界を一緒に作り上げていきたいと思っています。