今回のタイトルは少し刺激的ですが、コンサルティングファームに転職を考えていらっしゃる方にとっては、表現方法は異なるものの、気になっている内容だと思います。
今回は、ブラック企業とは「長時間労働やパワハラなどの結果として離職率が高い企業」という風に定義した上で、
①どのくらいの長時間労働なのか?
②パワハラは存在するのか?
③離職率はどの程度なのか、その原因は「長時間労働」や「パワハラ」なのか?
という視点から、現状と、それらに対するコンサルティングファームとしての認識と対策を書いていきたいと思います。
①コンサルティングファームはどの位の長時間労働なのか?
コンサルタントというと長時間労働はもはや代名詞のひとつといっても良いかと思いますが、実際にはどの程度の長時間労働をしているのでしょうか?
この問いは、プロジェクトの内容やタイミング、コンサルタントの働き方によっても異なってくるので、回答が難しいのですが、今回は、実際に私自身の入社3年目のスケジュールを改めて見直した上で、最も忙しい月と、最も楽だった月(※)の残業時間を計算したところ以下のようになっていました。
●【業務概要】1ヶ月半の短期プロジェクトの前半。国内外の複数の業界に関するエキスパート約10名へのインタビューと示唆出しに加えて、ユーザーアンケートの設計、実施、分析を担当。
●【残業時間】約100時間/月
・平日の残業が21日×平均4時間で約84時間
・祝日の出勤が3回×平均6時間で約18時間
●【業務概要】4ヶ月のプロジェクトの前半。クライアントのオペレーションフローをインタビュー通じて見える化した上で、最適化に向けたシュミレーションを実施
●【残業時間】約30時間/月
・平日の残業が20日×平均1.5時間で約30時間
・祝日の出勤はなし
上記のように、月によっても労働時間は大きく異なっており、繁忙期は長時間労働になってしまっているのも実態ではあります。
ただし、忙しい月であっても毎日6時間の残業があるわけではなく、メリハリを付けて早く帰られる日もありますし、またこのプロジェクト終了後は1週間の有給も頂きました。
更に、昨今の働き方改革の流れをうけて、追加的に以下のような取り組みも推進することで、業務の平準化や労働時間の短縮、労働環境の改善を試みています。
②コンサルティングファームにパワハラは存在するのか?
次にパワハラについてです。
コンサルタントスタッフの中には、短期間で難易度の高い課題を解決する必要があるため、精神的な苛立ちが募り、言動が烈しくなる人は確かにいらっしゃいます。
しかしながら、コンサルティングファームにおけるパワハラは、仕事の特性上、一般的な企業と比べてかなり少ないのが現状です。
というのも、コンサルティングファームは基本的にはプロジェクト単位で上司や先輩が代わっていくのが一般的です。そのため、一般の企業と異なり「地位」や「権力」を使って威圧的なハラスメントを行うということが構造的に難しいからです。
加えて、さらにパワハラを撲滅するための相談窓口を設けるなどの追加的な取り組みも実施していることが一般的です。
③コンサルティングファームの離職率とその背景は?
さて、それでは、コンサルティングファームの離職率はどのようになっているのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、一般的な労働者(パートを除く)の離職率は、平成28年で11.4%とのことです。
一方で、コンサルティングファームの場合は、この数値よりは少なくとも高いのが実態です。
正式な数値はファームによっても異なりますし、公表されていないためわかりかねますが、仮に平均在籍期間が5年としても、離職率は大まかに20%程度ですので、目安にはなると思います。
但し、この離職率の高さの背景にあるのは、「長時間労働」や「パワハラ」ではないと思います。
退職する方とお話をしていると、以下の理由でやめられる方が多いです。
「ワークライフバランスを改善したいから」という理由を伺うこともありますが、単純に「長時間労働」が問題というよりかは、「常に難しい課題に挑戦し続けることに対する精神的なプレッシャーが辛くなってきた」や「コンサルタントで磨いたスキルを活用してフリーランスとして、一般の企業で働く以上に自由なライフスタイルを手に入れたい」といったことがよくあります。
最後に
今回は「コンサルティングファームはブラック企業なのか?」というテーマについて、現状とファームの取り組み状況を中心に紹介いたしました。
コンサルティングファームは、何よりも「人材」を大切にする業界です。そのため、魅力的な人材を確保、維持するために、労働環境については、今後ますます改善されていくと思います。